【バスケ日本代表】八村塁合流も「今までのプレーを忘れずに」富樫勇樹キャプテンが考えるパリ五輪8強へのカギ
強化合宿で笑顔を見せる日本代表の富樫勇樹©Basketball News 2for1
バスケットボールニュース2for1代表。スポーツニッポン新聞社の編集者・記者を経て、2020年に現メディアを立ち上げる。日本代表やBリーグからNBA、WNBAまで国内外さまざまなバスケイベントを取材。スポーツライターとしても活動している。

 今月27日に開幕するパリ五輪に向けて都内で強化合宿を行っているバスケットボール男子日本代表(FIBAランキング26位)。先月28日からは八村塁渡邊雄太のNBA組も合流し、パリ五輪8強という目標に向けてチーム強化に努めている。

 今月5日と7日には五輪前の国内最後の強化試合となる韓国(同50位)戦が行われ、その後ヨーロッパへと移動する予定のアカツキジャパン。主力の一人である渡邊の左ふくらはぎの負傷が明かされ、パリ五輪への出場も不透明となっている中、昨夏ワールドカップ出場メンバーと八村がいかにチームワークを高めていけるかが成功のカギとなる。

 戦力としてはもちろん、八村とW杯メンバーの仲介役としても重要な役割を担うのがキャプテンの富樫勇樹だ。2021年の東京五輪では八村とともにプレーし、3連敗と苦杯を飲んだ一人。現在、最終候補に残っている16人のうち、八村とプレーした経験があるのは富樫、渡邊、比江島慎馬場雄大渡邉飛勇の5人のみ。3年ぶりの代表復帰となる八村が加入した日本代表を、いかにチームとしてまとめ上げることができるか。富樫のキャプテンシーにも期待がかかる。

 初の五輪8強入りを目指して意気込む富樫。先月29日、公開練習後の囲み取材での富樫のコメントを紹介する。

チームの成熟「まだまだ時間かかる」

-キャプテンとして意識していること

 代表というのは短い期間でチームを作らなきゃいけないので、やっぱりコミュニケーションを一番意識してやっています。本当にトムさん(ホーバスHC)はキャプテンに対してすごくいろんな役割を与えてくれているので、期待というか、どういうことを求めているかを分かってきた。その中でチームが良くなっていけるようにコミュニケーションを取るように意識しています。

-チームの雰囲気

 僕とか何人かは(八村)塁と今まで一緒に練習と試合をしてきていますけど、(今のチームのメンバーは)半分以上、(八村と)会ったこともない選手が多い。これから時間はまだまだかかるかなと思いますし、まずは塁が全員の名前を覚えるところから始まると思うので。彼次第だなと思います(笑)。

-チームの強み

 トムさん体制になってからのスタイルというか、それを本当に突き詰めていって、やり切るしかないと思う。いろんな課題がワールドカップで見えてきたので、そこを修正しながら、でもやっぱり自分たちがやりたいところは最大限強調していきたいなと思う。すごく僕自身も2度目のオリンピックを楽しみにしています。

-3年ぶりに八村が代表に合流したが、どんなコミュニケーションを取った?

 いい質問ですね。僕ではないんですけど、多分、彼は本当に久しぶりの日本だと思うんですよ。一番最初にトレーナー陣と挨拶をして、最初に言った言葉が「今って、平成何年ですか?」って言ったらしいです(笑)。もうそれで分かっていただけると思います(笑)。

-本番にピークを合わせることの重要性

 気持ちといろんな面で、ピークをオリンピックの本番に持っていきたいという気持ちはありますけど、前回のワールドカップも含め、今は正直この練習しているメンバーはこの1ヶ月間、1ヶ月半、常にもうピークの状態というか、いつ(代表から)落ちても変わらないような状態で練習している。僕たち(合宿を乗り越えてきたメンバー)はもうあんまりそこに関しては関係ないかなと思いますけど、やっぱり塁と雄太が合流してこれから一緒にやっていく上で、やっぱりいろんなコミュニケーションが(必要になる)。時間はかかるかなと思うので、そういう意味でまだ4週間あるということはすごく良いこと。1日1日を大事に。トムさんもよく「毎日成長」といっていますけど、本当にその通り。いいチームを作っていきたいです。

記者の質問に答える富樫©Basketball News 2for1

渡邊雄太負傷で「最悪な状況も考えながら」

-強化試合のオーストラリア戦の結果について

 もちろん自分たちもあの結果(1分1敗)に満足はしていないですし、厳しい結果でありますけど、でも、これからどういうチームを作っていけるかだと思います。今の日本代表の実力というのは全員わかっていますし、ドイツ代表はもしかしたら10回やって1回勝てるかもしれない(という相手)。その1回をこの試合に持って来られればいいという話だと思うので。これから若い世代だったり、いろんなところでレベルアップをして、そのレベルに追いつきたいという気持ちはもちろんありますけど、かといって何十回やっても1回も勝てない相手ではないと思っているので。その1回をこのオリンピックに持っていきたいなという気持ちです。

-渡邊雄太の負傷でチームの士気が下がらないようにするために必要なこと

 雄太はその辺はしっかり自分の中でコントロールしてというか、最後は自分の体と相談しながらだと思いますけど、(出場のために)最大限の努力してくれると思う。でも、前回のワールドカップも塁が来られないということで、塁なしで合宿からワールドカップでオリンピックの出場を掴んだということもあります。オンコートもそうですけど、オフコートでの雄太の存在というのもチームにとってはすごく大きなものあった。

 この1ヶ月、一緒にチームを作っていく上ですごく大事な存在ですけど、でも彼(渡邊)の状況を見ながら、チームとしてはもちろん最悪な状況も考えながらやっていくしかないかなと思う。でも、戻ってきてくれるんじゃないかなと信じています。

-八村が合流して、チームがどう変化すると思うか

 いい意味で八村選手を頼りにするバスケットではないと思っている。そういう意味で僕は北海道(大会)終わりに全員に「塁と雄太が合流しても今までのプレーを忘れずにやってほしい」と(伝えた)。遠慮せずに(富永)啓生だったら同じアテンプトというか、同じようなシュートを打ってほしいというのも伝えましたし。彼がいるというのはもちろん強みですけど、やっぱりそこで今までやってきたメンバーが小さくなってプレーしては意味ないと思うので。それでもやっぱり塁の存在が大きいので、トランジションだったり、3Pだったり、かなりチームで助けにはなっていると思います。

キャプテンの富樫©Basketball News 2for1

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