
バスケットボール男子日本代表(FIBAランキング21位)は12日、FIBAアジアカップ2025予選ウインドウ3に向けた合宿の公開練習を行った。
今回の合宿では、初招集メンバーと育成強化選手を含めた21名を招集。西田優大(シーホース三河)、松脇圭志(琉球ゴールデンキングス)、山口颯斗(長崎ヴェルカ)がコンディション不良などで不参加となり、総勢18名のメンバーでロスター入りをかけた合宿が行われている。
若手中心のメンバーが集められたチーム編成の中でも注目を集めているのは、日本代表合宿初招集の津屋一球(三遠ネオフェニックス)だ。Bリーグの三遠でプレーする今季はここまで36試合に出場し、平均6.8得点2.0リバウンドを記録。チームも好調でここまで32勝4敗とリーグで最高勝率を残しており、その中でも主力として活躍する津屋の貢献度は高い。
武器であるディフェンスはもちろん、今季はオフェンス面での成長も著しい。津屋が今シーズンに放ったフィールドゴールの90%以上が3ポイントシュートであり、3P成功率43.3%はキャリアハイを記録。リーグ全体でも3位の好成績となっている。
粘り強いディフェンスに加え、シューターとしても開花し、晴れて代表合宿に初招集された津屋。サンロッカーズ渋谷に在籍していた2023年11月のバスケットボールニュース2for1のインタビューで、日本代表への思いについては「(代表入りを)目指してはいるんですけど、パリ(五輪)は(ワールドカップで)やっていたメンバーでいくのがベスト」と語っていたが、そこから約1年半で急成長を遂げ、憧れの日の丸を背負うまであと一歩に迫っている。
難聴を抱える津屋は、デフバスケットボールの日本代表としてもプレーしており、今回のアジアカップ予選(20日中国戦、23日モンゴル戦)でアカツキジャパンに選ばれれば2競技で日本代表に選出されることになる。
さまざまな思いを胸に日本代表を目指す津屋に、現在の心境などを聞いた。
シューターとして開花 「自信は持っています」
-初めて代表合宿に参加してみて
(選出は)素直に嬉しかったです。この場にいて、Bリーグでトップにいる選手たちとバチバチやれているっていうのもすごくいい経験になりますし、すごく楽しくやっています。
-今回、自身が選ばれた理由としてはどういったものが挙げられるか
今三遠でプレーしてるんですけど、今僕はシューターとして(シュートアテンプトは)ほぼ3Pのシュートなんですけど、それが今多分評価されてるのかなと。プラス、ディフェンスのところでも、フィジカルにやれるところは僕の武器でもあるので、その二つが評価されたのかなと思っています。
-トム・ホーバスHCとの会話は
自分の持ち味のシュートっていうところで、「自分のタイミングだと思ったらどんどん打ってください」と(いわれた)。あとは「逆に打たなかったら怒りますよ」みたいな感じなので、「いつも通り自分のチームと変わらず、自分が打てるタイミングだと思ったら打ちます」と会話をしました。
-シュートについてはかなり自信を持っている?
はい。今まで(シュートレンジは)3Pラインの上だけとかだったんですけど、レンジが広がってきたりとか、ディープスリーとかも打てるようになったので、それなりに自信は持っています。
-合宿はサバイバルであり、選ばれるかはまだわからない部分がある。そこに対しての思いは
できる限りの自分の力を出し切るっていうところに目標を掲げている。そこをしっかり100%やり切って、それでだめならだめで、また次に生かせるように頑張りたいなと思いますし、本当に選ばれたいという気持ちはものすごくあります。
-同年代の選手も数多く代表に選ばれているが、これまでの日本代表への思いは
正直、小学校を卒業してからずっと小学校の先生に「日本代表の選手になれ」ってずっと言われてきたので、そういう意味では心の中では日本代表のA代表に入りたいという気持ちはずっとあった。(そういう思いが)ありつつも、今までもその先輩とか同級生とかが日本代表に選ばれ始めたときに、「やっぱり無理なのかな」と思っていたところもあったんですけど、諦めずにこうやってやってきたのが、僕としては報われたという感じはすごくあります。

難聴でもやれると「知ってもらうすごくいい機会」
-難聴を抱える方への思いは
こうやって僕は表立ってトップでやっているということを皆さんに知ってもらうということはすごくいい機会だと思っている。それ(難聴)が関係なく、難聴だろうが何かあろうが関係なくトップでやれるというところを僕は見てほしいですし、それを見て、(他の人たちが)いろんなことに挑戦してみたいって思ってもらえる人たちが増えてきたらいいなと思います。
-デフリンピックへはどういう思いを持っているか
合宿とかを重ねているんですけど、今は(Bリーグの)シーズン中だったり、こういう(5人制の)代表の活動に呼ばれたということもあって、そっち(デフバスケ)の合宿にまともに参加できてはいない。二刀流じゃないですけど、どっちもできるように頑張りたいなとは思っています。
-この1年半ほどで攻守ともに成長したように感じるが、手ごたえは
(サンロッカーズ)渋谷にいたときは本当にディフェンスの方が鍛えられましたし、ルカさん(パヴィチェヴィッチHC)のもとでやれたということは僕の中でもすごく大きい学びがありました。今はそのディフェンスを生かしたうえで、大野さんのもとで「自分のタイミングだったら(打て)」とトムさんと同じように言ってくれるので。そういう意味でやっと自分の中でその2年間が、本当にディフェンスの部分とオフェンスの部分と、ともにレベルアップしている感じがすごくある。手応えはすごく感じていますし、感じたうえで自分は満足はしたくない人なので。まだまだここからとはすごく思っています。
-同世代の選手も多い中で、合宿に参加してみての感想は
自分の持ち味である3Pも決められていますし、そういうアピールはできてるかなと思います。かつ、それが僕だけじゃなくてみんなもそうなので、そこでどうやって上回れるかとか、ディフェンスのところでとか、すごい自分の中で試行錯誤しながらやっています。でも、すごくみんな上手いので、逆に楽しんでやっています。
-仲のいいジョシュ・ホーキンソンから代表選出について何か連絡はあったか
「一緒にやれたらいいね」っていう話はしたんですけど、彼もコンディションがあったりとかあると思うので。また僕が今回だけじゃなくて、次の合宿とかにも選ばれるように頑張ればいいなと思うので、一緒にやれたらなと思います。

(滝澤俊之)