「僕らがチャンピオンを取れるレベルではない」 リーダーとして貢献する信州ブレイブウォリアーズ小玉大智、さらなる成長誓う
信州ブレイブウォリアーズの小玉大智©Basketball News 2for1
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 Bリーグ2部(B2)は11月28日から30日にかけて各地でレギュラーシーズンの第10節が行われ、東地区3位の信州ブレイブウォリアーズはホームのホワイトリングで西地区7位のベルテックス静岡と対戦。29日の第1戦を76-64、30日の第2戦を78-46で勝利し、通算3連勝とした。

 信州は栗原ルイスマイク・ダウムがロスターに復帰した一方で、小栗瑛哉生原秀将ウェイン・マーシャルがロスターを外れ、渡邉飛勇も代表活動のため欠場。そんな状況の中、第2戦でチームを救ったのが小玉大智だ。20分41秒の出場で放った6本の3ポイントシュートのうち5本を沈め、15得点2リバウンド1アシストを記録。ビッグマンが手薄なチームを支え、勝利に貢献した。

4連続3P成功で勝利に貢献

 第2戦、序盤はディフェンシブで重苦しい展開が続いていたものの、第1クォーター終了間際に小玉が3ポイントシュートを沈め、流れを変える。続く第2Qでも開始から2ポゼッション連続で3Pを沈めると、オフィシャルタイムアウト明けの残り4分9秒にも4本目をヒット。ミスなしの4本連続で長距離砲を沈め、チームを勢いづけた。

「個人的には今日(第2戦)はシュートタッチがすごく良かったです。(土家)大輝や(東海林)奨からの良いパスもあり、自信を持って打つことができました。また自信につながったかなと思います」(小玉)

 第2Q、土屋のアシストからシュートを決めた際には、土家が小玉に後ろから抱きつく場面も見られるなど、チームの雰囲気の良さも垣間見えた。小玉は笑顔で振り返る。

「前半ほとんどが大輝からのパスでした。いつもは大輝がプレーメーカーで最後打つシーンがある中で、僕にパスを出してくれたことがすごくうれしかったです。やっぱり昔からの仲なので決めるしかなかったなと。(ハグは)熱いですよね」

小玉(手前)に抱きつく土家大輝©Basketball News 2for1

 小玉の爆発で思い出すのは、昨季のプレーオフ3位決定戦、ライジングゼファー福岡との第1戦だ。大一番で3P6本を含む22得点の活躍を見せた小玉は、今回と同様にチームの勝利に大きく貢献した。

 毎年シュート改善に挑み、着実にステップアップを遂げてきた小玉にとって、今や3Pシュートは武器の一つともいえる。しかし、今季は静岡戦の前までで成功率は28.8%(15/52)と、調子を上げきれずにいた。それだけに、第2戦での活躍は転機にもなり得るものだっただろう。それでも、小玉は納得する様子はない。

「まだまだですね。今回も自分の中で『シュートタッチが良かった』という感覚がありました。それはまだ自分の中で『いつも入る』というイメージではないです。毎試合このようになってきて初めて実力だと思えるので、これを継続しないといけないと思います」

頼れる兄貴分に成長 勝久HC「全てにおいて素晴らしい選手」

 小玉の武器は3Pシュートだけではない。コート内外で発揮するリーダーシップと外国籍選手にも負けないフィジカルの強さも武器だ。練習生として加入した2023年2月当初から、チームの主力だったジョシュ・ホーキンソンアンソニー・マクヘンリーらにも臆することなく声をかけ続けた。

 そして今季は、小玉よりもさらに若い福島ハリス慈恩ウチェ石川裕大がチームに加入。練習やその後のワークアウト、試合中にも熱心にアドバイスを送るなど、コミュニケーションを取り続けている。ベンチにいてもコートに立っても頼れる兄貴分に成長している小玉。その進化に勝久マイケルヘッドコーチ(HC)も目を細める。

「大智はいつも評価が高いです。(そして今日は)チームで(相手を)崩して良いバスケができた。シュートを大智が最後に決めたことは本当に素晴らしかったです。大智はシュートが入る入らないじゃなくて、彼のエナジー、スピリット、メンタリティー、プロフェッショナルさも、全てにおいて素晴らしい選手です」

 今季はポイントガードも守れるよう、脚力の強化にも力を入れている。ゴール付近に限らず幅広いポジションを守れることで、ローテーションに組み込みやすい存在となっている。ディフェンス面での成長について小玉はこう語る。

「チームとしても僕個人としても、ディフェンスで圧を上げるところだったり、スモールラインナップの時にリバウンドを取られてしまうところはもっとなくさないといけないです。良い試合だったからこそ『成長する』という意味で、その課題がよく見えた試合でした」

 シーズンの約3分の1を消化し、チームとしても個人としてもさらなる課題が浮かび上がってきた。チームの核へと成長を続けている小玉は、最後にチーム状況をこう形容した。

「やっぱり40分間やりきることを目標にしている中で、まだできないっていうのは、僕らがチャンピオンを取れるレベルではないということだと思っています。こういう(内容の)試合を僕らはどんどん減らしていかないといけない。人数とか言い訳なしに、40分間やりきることはまだまだできていないので、それが課題だと思っています」

 信州でのプロ生活3季目を迎え、チームに欠かせない存在へと成長している小玉。3ポイントシュートとディフェンス、リーダーシップにさらに磨き上げることで、小玉がチームに与える影響はさらに高まっていくだろう。

笑顔でピースをする小玉©Basketball News 2for1

(芋川史貴)

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