【バスケ日本代表】馬場雄大が体現した「バックカット」の重要性 ドイツに63ー81で敗れた日本代表のオフェンスを考える
沖縄を拠点とするフリーランス記者で2for1沖縄支局長。沖縄の地元新聞で琉球ゴールデンキングスや東京五輪を3年間担当し、退職後もキングスを中心に沖縄スポーツの取材を続ける。趣味はNBA観戦。好物はヤギ汁。

 FIBA男子ワールドカップが25日、沖縄、フィリピン・マニラ、インドネシア・ジャカルタの3都市を舞台に開幕した。グループEに入った日本(FIBAランキング36位)は同日、1次ラウンドの初戦でドイツ(同11位)と対戦し、63ー81で敗北。失点数は許容範囲だが、トム・ホーバスHCが強化試合の頃から言い続けている「80点台」に得点を乗せられなかった。

 27日にはフィンランド(同24位)戦を控える日本にとって、ドイツ戦から見えた課題、継続すべきことは何か。オフェンスを中心に考える。

終盤ハドルを組む日本代表 ©BasketballNews2for1

3P成功率が“17.1%”に低迷 富永は封殺される

 PG富樫勇樹、SG原修太、SG馬場雄大、SF渡邊雄太、C/PFジョシュ・ホーキンソンでスタートしたドイツ戦。NBAでプレーするPGデニス・シュルーダーを警戒し、本番前に行った国際強化試合で先発していたPG河村勇輝、SG富永啓生のコンビに変え、原を入れてガードのディフェンス力を高めた形だ。

 初めのシュートは渡邊が3Pを放つが、リングに嫌われる。するとシュルーダーに前線へパスを送られ、速攻から先制された。その後、シュルーダーに富樫とのミスマッチを突かれてポストアップされるが、素早くカバーに入った渡邊がブロック。馬場のスティールからの単独速攻や渡邊の3Pで食らい付いていく。

 しかし開始から5分ほどでチーム最高身長208cmのホーキンソンがファウル二つでベンチに下がると、ドイツに立て続けにゴール下を攻められて引き離され、第1Qを11ー23で終えた。

 第2Q開始直後に馬場がドライブからダンクを決めて流れを変えようとするが、相変わらずシュルーダーを起点に内外を攻めてくるドイツの攻撃を止められず。オフェンスではチーム一の3Pの名手である富永を警戒され、前半は生命線である3Pの成功率が16.6%(18本中3本)まで低迷。31ー53とリードを広げられ、折り返した。

 第3Qはゲーム再開と同時に原を中心に前線から強烈なプレッシャーを仕掛ける。ホーキンソンがオフェンスリバウンドを奪取してからのゴール下、渡邊の速攻からのレイアップとミドルシュートの連続6得点でドイツにタイムアウトを取らせた。

 しかし、大きく流れを引き寄せる場面はなし。3P成功率は17.1%(35本中6本)と最後まで向上することはなく、そのまま敗れた。

成功率40%なら「87ー81」で勝利

 3Pに関しては、開始当初はキックアウトやピック&ポップからフリーのシチュエーションはつくれていた。特に渡邊は第1Qだけで7本の3Pを放った。しかし、そのうち決められたのは2本で、本人も「前半に自分のシュートがもっと入っていたら、展開が変わっていたと思うので、チームに迷惑をかけてしまった」と悔やんでいた。

前半9本の3Pを放った渡邊雄太 ©BasketballNews2for1

 直前の強化試合などで高確率で決めていた富樫は、20cmの身長差があるシュルーダーとのマッチアップでほぼ打てるスペースをつくれず、2分の0。富永もオンボール、オフボールともにサイズのある選手に徹底マークされ、2分の1と沈黙した。

 この試合はドイツの3P成功率を18.2%(33本中6本)に抑えたため、数字だけで見れば十分に勝てる可能性はあった。実際、日本が目標に掲げる「成功率40%」を達成できていれば、単純計算で「87ー81」で勝利していたことになる。

ペイントタッチで活路見出す

 ただホーバスHCが「ドイツのディフェンスだから」と言ったように、12人中7人が200cm以上あるドイツを相手に3Pを高確率で決めることは容易ではない。第2Qを境にドイツのプレッシャー強度が増し、フリーシチュエーションも激減した。ただ、次戦のフィンランド、3試合目のオーストラリアともサイズがあるため、やはり日本が勝利への活路を見出すには3Pの確率を向上させるしか道はない。

 もちろん決めるための正解はないが、成功率をできるだけ上げる努力はできる。そのヒントが、馬場が度々見せたプレーにある。

 この試合で渡邊の20得点に次ぐ、15得点を挙げた馬場。スティールからの速攻や3Pもあったが、目立ったのは「バックカット」からのイージーなゴール下シュートである。もともと得意としている動きではあるが、この試合ではより威力を発揮していた。

バックカットからレイアップを決める馬場雄大 ©BasketballNews2for1

 その理由は、オフェンスでコート上の5人がいずれもスリーポイントライン付近でプレーする「5アウト」の陣形にある。ドイツは明らかに日本の3Pを最も警戒していたため、ディフェンスが広がってインサイドが手薄になる傾向が見られた。渡邊がドライブでディフェンダーを抜き、そのままレイアップまで行くことも多かった。

 ペイントへの進入を繰り返して相手ディフェンスを収縮させれば、その分フリーでの3Pシチュエーションも増えるため、この動きをより徹底していく必要がある。特に渡邊、馬場、SG比江島慎はビッグマン相手でもインサイドでフィニッシュまでいったり、フリースローをもらったりすることができるため、今後の試合でも積極的にリングにアタックしたい。

果敢にドライブを仕掛ける馬場雄大 ©BasketballNews2for1

パリ五輪出場へ 「18点差」の評価は…

 最後に、日本が目標とする2024年のパリ五輪出場権の獲得に向け、ドイツ戦の「18点差」での敗北を評価してみたい。改めてではあるが、獲得の条件はW杯に出場しているアジア6カ国の中でトップになることである。

 初日のアジア各国の結果は以下。(左側がアジア国)

レバノン70ー109ラトビア(グループA)

日本63ー81ドイツ(グループE)

フィリピン81ー87ドミニカ(グループH)

 3カ国とも黒星となったため、現状では得失点で「−6」のフィリピンがトップということになる。極めてレベルの高い日本は、39点差で敗れたレバノンのように大差を付けられるリスクも常に隣り合わせのため、ドイツ相手の18点差は「我慢した」と言えるのではないだろうか。

 26日、アジアの国ではグループBの中国がセルビア、グループGのイランがブラジル、グループCのヨルダンはギリシャと対戦する。2次ラウンドにも1次ラウンドの成績は引き継がれるため、アジア各国の成績もチェックしながら日本戦を見ると、より日本の戦い方を考察することができるはずだ。

(長嶺 真輝)

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