
Bリーグ西地区首位の琉球ゴールデンキングスは3月29、30の両日、沖縄サントリーアリーナで東地区の群馬クレインサンダーズと連戦を行い、87ー68、73ー64でいずれも勝利した。連勝を6に伸ばし、通算成績は34勝13敗。西地区2位の島根スサノオマジックとは4ゲーム差で、地区優勝マジックを10に減らした。
群馬との2連戦はいずれもターンオーバーが15という多さだったが、最大の武器であるリバウンドで圧倒。群馬はトレイ・ジョーンズが不在で、2戦目はさらにヨハネス・ティーマンも欠場した中、琉球は得点面も含めてインサイドの強みを強調した。
3月を通して見ると、琉球は東アジアスーパーリーグ(EASL)ファイナル4、第100回天皇杯全日本選手権決勝を含めて13試合を戦った。そのうち10試合は海外、県外で行われ、極めてタフなスケジュールをこなした。EASLファイナル4は4位に終わったものの、天皇杯では初優勝を達成し、Bリーグにおける10試合も8勝2敗という好成績で乗り切った。
激動の3月を終え、一つ壁を越えた感触を持っている選手がいる。ルーキーイヤーの脇真大だ。
引いて守られた時の対応策は…
群馬との2戦目を終え、会見場に姿を見せた脇。開幕時から先発に定着してきたが、この2連戦はベンチスタートとなった。チームが相手の特徴によってスターティング5の顔ぶれを変えていることもあり、最近は試合ごとで先発かベンチスタートかが異なる。
試合に入る上では、特に意識の違いはないようだ。
「相手のラインナップによって僕が下がったり、アレックス(カーク)が最初に出たりしていて、そこが結構入れ替わります。でも、やることは全然変わりません。どの時間帯に出ようが、僕のプレーをやるだけです」
自身のプレーを貫くというメンタルは、個人としてのプレーの質に浮き沈みのあった3月を通して、より強くなった印象だ。EASLファイナル4では相手にうまく守られたこともあり、持ち味の積極性をなかなか発揮できなかったが、大会ベスト5に輝いた天皇杯の決勝を境目に存在感が復活した。
自身も成長の手応えを語る。
「プロはバスケットの強度が全然違うので、自分が思ってたよりハードに来るな、と感じるところはありました。そこに対してどうアジャストするかという部分で、僕はこの3月で自分を変えられたと思います。うまくできなくても、次の試合が待ってるからすぐに切り替える。この3月がなければずっと改善できなかったかもしれないので、僕を苦しみを楽しみながらできたと思っています」
レギュラーシーズン終盤に入り、自身に対する相手のスカウティングも深まってくる中、脇は3ポイントシュートの成功率が28.8%と高くはないため、ハンドラーとしてピックを使う際は大体の相手がアンダーを通る。アウトサイドでボールを持った時は引いて守られるのも常だ。
それでもボールを止めずにもう一度ピックを使ったり、ハンドオフを使ったりすることで、強みであるドライブがしやすい状況を自ら作り出している。「スカウティングをされたら僕が対応するしかない。そういったところをずっと考えながらやっていますし、ボールシェアも意識しています」とプレー中の冷静さが増している。
昨年10月の開幕時点では「Bリーグで通用するか不安があった」と明かす。それでも地区首位を走る強豪で主力に定着し、タイトル戦を含めた濃密な1カ月間となった3月を経て、「うまくできなかった時期もありましたが、その壁を乗り越えて今は生き生きとプレーできています。しっかり継続していきたいです」と頼もしいコメントを発した。

3Pシュートに好感触…松脇圭志からの助言も
最近は課題の3ポイントシュートにも改善が見られる。
直近の6連勝の初戦となった京都ハンナリーズ戦で9試合ぶり(Bリーグのみ)に1本沈め、この6試合中5試合で3ポイントシュートを1本ずつヒットさせた。好調なタッチを支える裏には、チームを代表するシューターからの助言があったという。
「空いたら打つことは意識しています。あと、僕はシュートを打つ時にボールを見ていたんですが、最近マツさん(松脇圭志)に『ボールを見るな』とアドバイスをもらって、ちょっと入るようになりました。いい感覚をつかんできたので、感謝しています。松さんのおかげです」
琉球はジャック・クーリーとアレックス・カークを中心に強烈なインサイド陣を形成しているため、相手に中を固められることが多い。チームとしても、動きが少ない中でシンプルにインサイドにパスを送ってしまい、オフェンスの流動性が停滞する状態に陥ることもあるため、ガード、フォワード陣がどれだけ3ポイントシュートを決め切れるかは勝敗を分ける大きなポイントだ。
脇も「ノーマークの3ポイントシュートを打つのは僕だけに限らず、全員がしっかり打ち切って、決めていかないといけない。これはチームの課題なので、やり続けていきたいです」と気を引き締める。

19歳の崎濱秀斗が加入「ご飯に連れて行きたい」
6連勝中の変化がもう一つある。19歳の崎濱秀斗が特別指定選手のプロ契約で入団し、後輩が増えたことだ。
群馬との1戦目、崎濱はホーム戦デビューを飾った。3分1秒の出場ながら、鋭いドライブや激しいディフェンスで会場から声援を浴びた。頼もしい姿を目にし、「短いプレータイムの中でお客さんを沸かすことできる選手。秀斗が入ってきてくれて、僕もうれしいです」と笑みを浮かべる。
先輩たちとの接し方を見る限り、極めてコミュニケーション能力の高い脇。「同じ若手としてアドバイスできるところはやっていきたいので、秀斗が自信を持ってできるように『僕はこういうことをしてたよ』とか『気にせずにプレーしたらいいよ』とかは言っています。ご飯にも連れて行きたいと思っています」と面倒見の良さをのぞかせる。
これからレギュラーシーズン最終盤、そして、進出を確定させるのも近いチャンピオンシップへと向かう琉球。一戦一戦の重みが増す中、いいチーム状態を保つためにも、オンコート、オフコートの両面で脇が大きなキーマンになることは間違いないだろう。

(長嶺真輝)