
バスケットボール男子日本代表は今月10日より「FIBAアジアカップ2025 ウィンドウ3」に向けた合宿を行っており、12日にはメディア向けに公開練習を行った。日本代表は今回の直前合宿を終えた後、20日に中国代表(同30位)と、23日にモンゴル代表(同109位)とそれぞれアウェイで対戦する。
今回の合宿では、Bリーグで活躍する若手選手を中心にメンバーが招集されており、パリ五輪に出場した富樫勇樹や比江島慎、渡邊雄太などのベテラン選手は参加していない。しかしながら、ウィンドウ3のキャプテンとして指名された吉井裕鷹(三遠ネオフェニックス)や、パリ五輪メンバーのテーブス海(アルバルク東京)、2023年のワールドカップに出場した川真田絋也(長崎ヴェルカ)など、ホーバスジャパンを知る面々も参加しており、キャプテンの吉井を中心にチームの結束は高まっている。
若手選手が中心の合宿の中でも、メンバー入りに向けて闘志を燃やしているのが金近廉(千葉ジェッツ)だ。昨年11月のウインドウ2の合宿時には招集されず、今回がパリ五輪前の合宿以来の代表参加となった金近。以前の記者会見ではトム・ホーバスHCから「代表に入りたいならステップアップしないと」と発破をかけられており、そのエールに応えるように日々練習を重ねている。
今シーズンは千葉Jでここまで全37試合に出場し、平均6.0得点2.3リバウンドと飛び抜けた数字ではないものの、タレント揃いのチームの中でベテランにも引けをとらない活躍をみせている。それを表すように、第15節となった12月29日の島根スサノオマジック戦では3Pシュート7本(3成功率70%)を含む27得点をあげ、キャリアハイを更新。ケガ人が続出したシーズン中盤から存在感を示す試合が増えており、それが今回の代表合宿招集へとつながったことは間違いない。
12日の公開練習後、そんな金近に現在の心境を聞くことができた。

金近廉の公開練習でのコメント
ー今回の合宿での手ごたえ
11月の代表(FIBAアジアカップ2025 ウィンドウ2)に関してはオファーがなくて、自分の中でもシーズン始まって10月11月がうまくいっていなかったので、そこは自分でも納得というか、「もっと呼ばれるように活躍しないとな」と思っていた。そこから12月、1月とだんだんいいバスケットができるようになってきたので、その中でこのように代表(合宿)に呼んでもらってすごく、自分としてここまでやってきたことが間違ってなかったなという感覚もあります。また、今若手のメンバーで練習をしているので、年もある程度近いメンバーが多いので、いいコミュニケーションをとりながらできていると思います。僕の同級生の(ローレンス・ジャン)ハーパー・ジュニアもいて、僕より後輩のメンバーも入っているので、また新しい気持ちで、代表ですけど、やれているかなと思います。
ー若手のメンバーが入って、コミュニケーションはどうしている?
先輩も含めて、みんなフランクに接してくれるので、僕だけじゃなくて、全員若いメンバーは助かっていると思います。僕もある程度、この2年間くらいは代表活動に定期的に参加しているので、(渡邉)怜音とか、(星川)開聖とか、初めてで難しいメンバーとかも僕ができるだけ輪に入れるではないですけど、間に立っていいコミュニケーションをとれるようにやっていけたらなと思っています。
ー先輩としての役割が出てきたか
そういう格好いいのではないですけど、そうのように僕もしてもらって、助けてもらって上手くなじめたので、僕もそのようにしたいです。
ーキャプテンに任命された吉井について
ワールドカップもオリンピックもあれだけの活躍をしていて、経験がこの中(合宿メンバー)で一番ある選手だと思っている。同じポジションなので参考にしているし、僕としてはすごくお手本にしている選手。いろいろ練習中でもアドバイスしてもらったり、分からないことは積極的に聞こうとしているので、キャプテンでもありますし、僕の中ではライバルでもある。しっかりと練習中からバチバチやっていきたいなと思っています。
ー12月から1月、自分自身のなかで感じた手応えとは
千葉ジェッツに関しては、メインの選手も少し変わったのもありますし、ヘッドコーチが(昨シーズンから)代わったので、バスケットボールが昨シーズンとは全く別のものになっている。そこでシーズン始まって強度が、高いなかで、自分の強みというか、うまくそこを今のバスケットの中で見つけることができなかった。けれども、だんだん試合を重ねていくごとに、ここがチャンスだなと気がつくことができたので、一番は自分の中でしっかりと役割を理解して、それをできるようになったことだと思います。

ー代表選出に向けて、自身の意気込みは
まずは、きちんと(ウィンドウ3の)メンバーに選ばれることが一番ですし、昨年中国に勝って、中国は(今回の代表戦に)フルでメンバーをそろえてくるという話。トムさんは、「このメンバーでチャンスはある」と思っているし、今は日本が(FIBAランキング)アジア1位なので、「しっかりとプライドをもってやっていこう」という話を合宿のスタートから言っている。そこに、自分も貢献できるようにやっていきたいです。
ーホーバスHCから、今回招集された理由について話はあったか
特に言われてはいないですけど、ずっと今までぎりぎりで落ちていることもあって、自分のなかでもそうですし、トムさんからも「調子の波があるので、そこをできるだけなくしてほしい」というのはずっと言われていた。それを一番、Bリーグの試合、シーズンを通して自分で納得いくプレーを、毎試合毎試合できるようにするというのが一番大事だと思った。トムさんもそこを見て呼ぶかどうか決めていると思うので、それが一つ、ある程度12月1月に多かったのかなと思います。
ー招集メンバーが新しくなっていくなかで、危機感を感じることはあるか
いや。まだ、ワールドカップやオリンピックの本戦の試合でプレーしていることがほとんどないので、僕自身はプレッシャーとかなくて。いつでもここに来たら、若いメンバーに入っているので、チャレンジャーという気持ちをもってプレーしているので、プレッシャーをかけられるように頑張りたいです。
ー富樫がいない代表合宿はどんな感じか
いいオフを過ごしてらっしゃると思うので、僕としては、学生の頃から代表の試合を見てきて、いつでも日本代表の中心にいた選手なので、ゆっくり休んでもらって、僕たちはしっかりと頑張って、その穴を埋められるようにやっていきたいなというのが一番です。
ー自身のアピールポイントは
一番求められているものは3ポイント。そこをコンスタントに決めていくというのはもちろんですし、中国がだいぶフィジカルにやってくると思うので、インサイドの部分だったりを、ある程度サイズのあるウィングなので、そこを助けられるように。ディフェンスの部分でももっと手助けできることがあると思う。そこは自分の役割だと思ってるので、そこをまずは念頭においてやっています。
ーチームメイトの渡邊雄太から学んでいることは
基本的にはアドバイスというか、常に、僕以外の小川麻斗選手だったり、瀬川琉久選手だったり、若手の選手が出るときは「思いきりやっていいよ」と言ってくれる。ミスを恐れずやってほしいという思いがあって、そういうふうに声かけをしてくれているので、千葉ジェッツでは、気持ちよくプレーはできている感じです。
(代表戦に関しては)中国とモンゴルのアウェイなので、「頑張れよ!」ってシンプルに言ってました。雄太さんも長年(代表として)やってきているので、しっかりと休んでほしいなと思います。
(金野恵理)