ホーム2連勝で東2位浮上の信州ブレイブウォリアーズ プレーオフへ向けて最優先は「健康状態」
ホーム最終戦で勝利した信州ブレイブウォリアーズ©Basketball News 2for1
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 Bリーグ2部(B2)は11日から13日にかけて各地でレギュラーシーズン(RS)の第31節が行われ、信州ブレイブウォリアーズ(東地区2位)はホームで青森ワッツ(同6位)と対戦し、第1戦を80-65、第2戦を96-72でそれぞれ勝利した。

 青森戦がRSのホーム最終戦となった信州。両日合わせて約1万1000人のファンが会場に駆けつけ、大きな声援を送った。第31節を終えて37勝21敗で東地区2位につけた信州は、19日と20日にアウェイで同地区首位のアルティーリ千葉と戦い、レギュラーシーズンの全日程を終える。

 同勝敗数で並んでいる東地区3位・富山グラウジーズとの激しい順位争いが続いており、最終節の結果次第ではプレーオフ(PO)クォーターファイナルをホームコートで開催できるだけに、その行方が注目されている。

自己犠牲がチームの勝利に 勝久HC「どういう役割でも全力で果たしてほしい」

 青森戦では、実に2か月ぶりに同一カードでの連勝を飾った信州。けが人や遂行力の低さなど、さまざまな課題に直面しながらも、シーズンを通して一歩ずつ成長を続けてきた。

 1年でのB1復帰を目指す信州にとって、このPOは大きな意味を持つ。厳しい戦いを勝ち抜いていくために、石川海斗三ツ井利也らが口をそろえてチームに必要だと語っていたのは、一人一人の「危機感」だった。

 例えば、コーチ陣から配布されるスカウティングレポートをしっかりと読み込めているのか。練習で詰め込んだ情報をしっかりとコート上で遂行できるか。そして、それを遂行するためのエナジーを試合の最初から、第1戦から出せるかどうか。たとえ劣勢でも、我慢して試合終盤までゲームプランを遂行できるか。細かいことをどれだけ大切にできるかが、最後の勝敗を分ける。

 とはいえ、チームとしてまとまるのはそう簡単なことではない。POを想定した選手起用をする終盤戦では、プレータイムが増える選手がいれば、減る選手も現れる。そのような状況下で、いかに自分の仕事を遂行できるか。それがチームとしてまとまるために必要なことであり、自己犠牲がチームの勝利へとつながるカギになる。

 石川は、青森との第1戦後にこう語った。

 「メンバーが帰ってくれば、プレータイムが制限される選手もいる中で、その短い時間の中でどう自分を表現していくかっていうのがすごく大事だと思っています。ずっと言っていますけど、12人全員が気持ち良くバスケットやるってことは、なかなか難しいことではあります。

 そのようなことを僕はガードとして考えなきゃいけないし、そういうところは今日(12日の第1戦)も(栗原)ルイスとよく喋りながらとか、P(ペリン・ビュフォード)ともずっとコミュニケーションを取りながら、Pのピック・アンド・ロールのファーストサイドと、僕のセカンドサイドっていうところのバランスってすごく良くできていると思います」

 勝久マイケル・ヘッドコーチも同様に、チームの在り方についてこう語っている。

 「みんなが出ている時間帯にプレイハードして、全員がPみたいに35分出て、リズム掴むまでっていうことはできないので。全員が自分の役割を果たして、 短い時間でも長い時間でもどういう役割でも全力で果たしてほしいです。誰が何点取るとかはもう関係ないので、このチームで勝たないといけないという時期なのでそれができればと思います」

司令塔の石川海斗©Basketball News 2for1

けが人復帰 石川海斗「12人揃ったのはチームにとってすごくプラス」

 シーズンの終盤は大黒柱であるウェイン・マーシャルや栗原、生原秀将が怪我の影響でロスター外となっていたが、それらのメンバーも順々に回復し、青森戦では久しぶりに12人のロスター枠が埋まった。

 特にマーシャル、栗原、生原は勝久HCのバスケットを熟知する3人であり、信州のバスケットを遂行する上では欠かせない存在だ。その一人でもある石川は「ウェイン、秀、ルイスが帰ってくればディシジョンメイク、判断っていう部分はチームとしてすごく良いと思う」と期待を寄せる。

 その期待が早速結果へとつながる場面があった。第1戦の4クォーター(Q)、残り7分6秒の場面では、栗原がディフェンダーがスイッチしてできたズレを見逃さず、左45度へと駆けあがり、オープンな状態で3ポイントシュートを射抜いた。これに合わせてパスを送った石川も素晴らしいが、栗原の判断力の高さが垣間見えたシーンだった。このプレーには解説の齋藤崇人氏も「石川選手と栗原選手の読みが素晴らしかったですね。ディフェンスに対して素晴らしいアジャストをしましたね」と評価していた。

 POに進めば、一つ一つのポゼッションの重要性が増し、いかにチームで作り上げたプレーを遂行できるか、チーム全体が質の高いプレーを表現できるのかがカギになる。主力選手はもちろん、ベンチから出てくるロールプレイヤーも主力選手と同じ水準でプレーできなければならない。だからこそ、主力選手をけがで欠いていた期間はチームとしても成長するために必要な時間だったと石川は話す。

 「メンバーがいないのは良くはなかったですけど、いない中でずっとそうやってきたから、メンバーが帰ってきて、より一層楽にはなってきている部分もあると思う。ただ、帰ってきたから元々いたメンバーがリラックスするわけじゃなくて 、今まで通りいなかったときのようにプレーしていれば、チームの底上げにはなると思っているので。そこはすごく必要な部分ともっともっとやらなきゃいけない部分っていうのはある」

青森戦でスタメンに復帰したウェイン・マーシャル©Basketball News 2for1

POのホーム開催権獲得へ 今季全敗のA千葉に挑む

 RS2戦を残し、ともに37勝21敗で並んでいる東地区2位の信州と同3位の富山。信州が2位を維持するためには富山以上の勝ち数が必要になるが、最後の連戦はここまで55勝3敗と歴代最高勝率を残しているA千葉が相手なだけに、ハードルは非常に高い。

 もちろん、勝久HCをはじめ選手たちはホーム開催に向けて全力で戦いに挑むことだろう。しかし、シーズンの目標はあくまでB1への昇格、そしてB2優勝だ。そのミッションを達成するためにも、POに向けてコンディションを整えていくことが重要だと勝久HCも述べている。

 「ナンバーワン・プライオリティーはPOで各自の制限、特にウェインの制限がなるべくないこと。それでも多少は(制限は)絶対あると思います。POに入ってもそれがなるべくないように今の制限を守り、コンディションをできる限り整えつつ、その中で残りの試合を全て勝つつもりで戦います。テレンス(ウッドベリー)の件もありますし、パーフェクトにはならないとは思っていますが、どんな状況でもみんなでステップアップし合って全員で戦っていきたいです」

 A千葉とは今季4戦を戦い、ここまで全敗の信州。青森との第2戦後に開かれたブースター感謝祭で石川は「まだ残り2試合、A千葉さんとの試合が残っていて、僕らは絶対POをホーム開催したいと思っているので。ぜひ千葉に来ていただいて、一緒に戦ってくれるとうれしいなと思います」とブースターに呼びかけた。

 また勝久HCも「レギュラーシーズンのみなさんの応援、本当に感謝しています。ですけど、一番大事な戦いはここからです。レギュラーシーズン最後2試合、そしてPO。毎日を大事にしてできる限り健康に、良い状態になれるように準備していきます。そして最後の最後まで成長をし続けられるようにやっていきますので、最後まで一番大事なところで一緒に戦いましょう。そしてB1昇格、B2優勝をみんなで一緒に達成しましょう。これからもよろしくお願いします」と大一番へ思いを込める。

 POのホーム開催権を手にいれるため、そして、1年でのB1復帰を果たすため。ブースターの思いを背に、難敵・アルティーリ千葉との戦いに挑む。

青森戦後にファンに呼びかける勝久マイケルHC©Basketball News 2for1

(芋川史貴)

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