宇都宮連破で初CSの群馬クレインサンダーズ ミリングHCは“連覇”へ自信「必ずいいところまでたどり着ける」 辻直人はジンクス力説「2年目で何かが…」
喜びを見せる群馬クレインサンダーズの辻直人(手前右)©Basketball News 2for1
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 Bリーグ1部(B1)は4月26日と27日の両日、各地でレギュラーシーズン(RS)の第35節が行われ、東地区3位の群馬クレインサンダーズはアウェイのブレックスアリーナ宇都宮で同首位の宇都宮ブレックスと対戦した。

 同地区上位対決となったこのカード。群馬にとっては自力でチャンピオンシップ(CS)進出を決められるかどうか重要な2試合となった。第1戦では群馬が序盤からフィジカルでタイトなディフェンスで宇都宮を抑え、第1クォーターを21−10と11点リード。33−31と2点リードで迎えた後半、第3Qで辻直人の3ポイントシュートが爆発し、「辻祭り」が開幕。第3Qだけで4本中4本の3Pを沈め、チームに勢いをもたらすと、宇都宮に一度もリードを渡すことなく77−61で勝利。CS進出へのマジック「1」とした。

 翌日の第2戦では、第1戦同様に序盤から11−0のランで波に乗り、21−9と12点リードで第2Qへ。その後は宇都宮に連続得点を許す場面もあったものの、41−28と13点リードで前半を終える。第3Qに入ると比江島慎が流れをつくり、徐々に宇都宮のペースに。群馬も藤井祐眞トレイ・ジョーンズを中心に得点を重ねるが、第4Q残り1分36秒には比江島のシュートで逆転を許す。しかし、その直後に辻直人がお返しとばかりに3Pでやり返し、81−79と再び群馬が逆転。その後、宇都宮のギャビン・エドワーズがフリースローを沈め、81-81と同点となった残り2秒、群馬のポゼッション。一瞬の隙をつきボールを受けたジョーンズが3Pを成功させ、84−81と劇的な勝利をつかんだ。同地区首位を相手にアウェイで2連勝を決めた群馬は、クラブ初のCS進出を果たした。

 第2戦では、藤井が3P5本を含む19得点3リバウンド、辻直人が3P4本を含む14得点、ラストショットを決めたジョーンズは13得点5リバウンド9アシストとダブルダブルに近い活躍を見せた。

 第35節を終えた時点で群馬は通算38勝20敗で東地区3位につけており、中地区3位のシーホース三河と同じ成績だが、得失点差からワイルドカード上位(全体7位)につけている。仮に現状の順位のままRSを終えると、CSのクォーターファイナル(QF)では全体2位の宇都宮と対戦することとなる。RS最終節となる5月3日と4日は、アウェイのCNAアリーナあきたで東地区4位の秋田ノーズンハピネッツと対戦し、5月9日からのCSのQFに挑む。

 第2戦後の記者会見では、カイル・ミリングHCと辻が記者の質問に答えた。

カイル・ミリングHCの宇都宮戦後のコメント

ー宇都宮戦・第2戦の総括

 いい試合でしたし、いい勝利だったと思います。選手たちには(宇都宮)ブレックスさんみたいにいいチームに2連勝するのはすごく難しいという話をしていました。簡単にできることではないと。ただ、選手同士もしっかりチームとして信じていましたし、ファンの方たちも信じてくれていたと思います。「自分たち(群馬)がブレックスさん相手に2連勝できる」ということを、他の方たちは信じている方が少なかったかなと思うんですが、それをしっかりやってみせることができて良かったと思います。バスケットボールとしても、内容としても、良くないところもありましたが、しっかりやることができた試合だったと思います。

記者の質問に笑顔で答えるカイル・ミリングHC©Basketball News 2for1

ークラブとして初のCS進出が決まったが、感想は

 どんな小さな目標であっても目標を達成するというのは嬉しいことではあるので、シーズン初めから掲げていた「プレーオフ進出」というひとつの目標を達成することができて、すごくいい気持ちです。もちろん、このプレーオフに進出するために選手たち、チームスタッフはしっかり頑張って努力してくれました。みんなの努力があってこうして全体がひとつになって形になったと思うので、本当に良かったと思います。

ーラストポゼッション前のタイムアウトではどんなことを話したのか

 タイムアウトの時は、「スコアしてくれ」とシンプルに伝えました。でも、島根戦のときに使ったようなプレーをしたいなと思っていました。トレイ(ジョーンズ)はビッグショットを決めるのが仕事というところもあったり、彼がボールを持っていいことが起きることが多いので、「まずはトレイにボールを持たせて」と指示を出していました。中でもトレイはこの群馬の5年間の歴史を知っている選手でもあるので、そういった選手があの場面であのスコアを決められたのは良かったと思います。

ーヨハネス・ティーマンが戻ってきたことについて

 直近の試合(第34節、サンロッカーズ渋谷戦)でJT(ティーマン)が戻ってくる場面がありました。JTがけがする前にトレイがけがしてしまって、外国籍がふたりいない状況での試合というのが続いている状況があった。タフなスケジュールの中で、自分たちがタフなシチュエーションで負けてしまう試合もたくさんありました。JTがこうして戻ってきたことで選手全員がそろって、その中でケーレブ(ターズースキー)の代わりにしっかりペイントの中で体を張ってくれるので、戻ってきてくれて良かったです。

ー第1戦のような強度のディフェンスを常にやっていくことがCSでは必要になる

 ニュービル選手や比江島選手に決められてしまう場面というのは第3Qに特にあったかなと思うんですが、彼らは本当にいい選手なのでそういった、場面があっても当然だと思っています。40分間のバスケットボールの中でそういったシチュエーションがあるのは大丈夫かなと思っています。その中で、ディフェンスをスタンダードに強化していくという面で選手に試合前に『相手を60点に抑えられたら自分たちが勝っている試合が多い。80点レベルの得点を与えてしまうと自分たちが負けている試合が多い』という話をしていたので、選手たちは自分たちのやっているディフェンスを信じて、今までやってきたことをやり続けてほしい。昨日(第1戦)の試合もちょうど61点に抑えることができたので自分たちが勝つことができたといういい例が直近の試合であったので、そういった形で選手たちに話をしていた。今やっていることを選手たちが信じ続けてくれれば、この先に続くものが必ずあると思いますし、それがスタンダードになっていくと思います。

ー昨シーズンまで指揮を執っていた広島に続いて、HC個人としては連続でのCS進出となる

 (優勝を果たした)昨シーズンの広島(ドラゴンフライズ)さんで言ったら、いい選手がいて、いいチームスタッフがいてという形でした。群馬にきて、選手もスタッフの方々も良い方ばっかりで、自分が別のチームに来ても昨年と同じような状況にいられることがまず嬉しいです。

 ここに来るまでに選手もしっかりやってくれた上で、スタッフもしっかり自分たちのやることをやってここ(CS進出)まで来たと思っている。その中で「いいチームのケミストリーがあれば、必ずいいところまでたどり着ける」と自分はいつも選手たちに伝えているので、このまま積み上げられて行けたらいいなと思っています。

ーCSに向けて、今後チームに必要なことは

 リバウンドの数に波が最近ではあるので、継続的に取るべきリバウンドを取り続けるということが必要かなと思っています。プレーオフみたいな試合になってくると、レギュラーシーズンの試合よりもフィジカルな試合になりますし、それでいてかなりロースコアな試合になってくることが予想される。そこでリバウンドがかなり重要な役割を担ってくると思うので、そこを波なくしっかり取り続けるというのがまず自分たちがやるべき一つのことかなと思っています。

辻直人の宇都宮戦後のコメント

ー宇都宮戦・第2戦の総括

 出だしがすごく良くて、ただ、40分間の中ではそう簡単にはいかないなと。終盤のブレックスの強さというのを見せつけられたんですけど、それでもチームとしてやるべきことに集中できた。まだまだ最後の方でリバウンドも取られましたし、課題を残すゲームにはなったので、CSに向けて新しい課題を克服してCSで戦いたいなと思います。

記者の質問に笑顔で答える辻©Basketball News 2for1

ー洛南高校の後輩、比江島とのマッチアップはどうだったか

 楽しくできたかなと思います。久しぶりに自分自身も拮抗した試合で終盤に出ていたので、緊張感もありましたし、その中で勝利を勝ち取れたというのはすごく嬉しいです。個人的には比江島に3Pを決められた後に、また決め返せたのが最高でした。

ーアップ中から熱が入っているように見えたが

 今日に限らず、CSに何としても出るという気持ちでいたので、言葉でも態度でもそうやってチームをひっぱって行けたらなと思っていました。それに、茨城戦の敗戦からもう一回気をひきしめてというか、そこで自分自身もスイッチを入れ直したという感じです。

ー今節で見えた自身の課題は

 ミスマッチのところでリバウンドを取られるというところは防ぎようがないんですが、その分「数」で勝負しないといけないと思っている。2人、3人では勝てない高さや強さがあるので、5人でリバウンドを取る意識というのは課題かなと思います。終盤のタイムアウト明けのスローインからターンオーバーして決められたシーンも、ああいうミスをしていたら大事な試合では本当にダメだと思うので、その辺りも課題かなと思います。

ー群馬にきて2年目、CS初進出の気持ちは

 やっぱり、「辻直人がチーム2年目で何かが起こる…」という伝説はまだまだ続くという(笑)。本当に(CSに)出られて良かったです。まず、第一の大きな目標が「CSに出ること」だったので、ここからみんなのコンディションを万全にして、このままの最高の状況でCSに臨みたいなと思います。

ー藤井とのコンビネーションも冴え渡ってきている

 元々いいと思うんですけど、今日もお膳立てしてパスしたら外してましたけど(笑)、しっかり決めてほしいなと思います。

ータフスケジュールだったが、コンディションはどう整えていたか

 水・土日のゲームが続いていたので、トレーニングとかをメインでやってコンディションを重視してた。今週は水曜ゲームがないのでしっかりトレーニングできますし、さらに前よりいいコンディションで臨もうかなと思う。プレータイムとかはカイルHCが決めてくれると思うので、出たら全力でやりたいなと思います。

ー最終節の秋田戦も残っているが、CSを含め今後の目標は

 さっきも言いました、茨城戦敗戦後、今節のブレックス戦と秋田(ノーザンハピネッツ)戦の4試合というのはCSに向けて非常に大事な4試合だと思っていたので、この2連勝は本当に大きな2連勝だと思う。残りの2試合も気を抜くことなく、12人全員で戦うことによっていい形でCSを迎えられると思うので、そこは集中を切らさずに残りの2試合も全力で戦いたいと思います。

ーCSでの個人目標は

 広島の2年目で出場した時は1回戦に千葉ジェッツに負けているので、そこをクリアして。ワイルドカードで出る形になるのは(広島の時と)同じなんですけど、下剋上で何とか初戦突破して、勢いに乗っていけたらと思います。

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