
Bリーグ2部(B2)信州ブレイブウォリアーズは2日、長野市内で富山グラウジーズ戦(5日、6日)に向けての練習を行った。
同じB2東地区に所属する両チーム。東地区3位の信州は第29節終了時点で34勝20敗としており、2位の富山(35勝19敗)を1ゲーム差で追う。アウェイでの富山戦の結果次第では順位が入れ替わる可能性もあり、シーズン終盤で最大の山場を迎えることになる。プレーオフ(PO)準々決勝をホームで開催するためにも、負けられない直接対決に挑む。
東地区2位富山とは1ゲーム差 課題の第1戦に勝利できるか
レギュラーシーズンも佳境を迎え、残り6試合となったB2リーグ。共にプレーオフ出場を決めている信州と富山は、今季ここまで4戦を戦い、2勝2敗のイーブンとしている。PO準々決勝をホームで開催するためには、地区順位で2位以上につける必要があり、ホームコートアドバンテージを確保するためにも最後の直接対決は両者にとって負けられない戦いとなる。
信州と富山は共に昨季はB1からの降格を経験しており、B1復帰にかける思いは強い。まさに因縁ともいえる相手だが、キャプテンの石川海斗は富山との対戦に向けてこう話す。
「富山さんも昨季一緒にB1から降格して、彼らもどんどんチームが出来上がってきて、1年でB1に昇格したいという思いは強いですし、僕らもそこは変わっていないです。なおかつ、プレーオフをホームで開催できる可能性もまだ残っている。ホームでできないのとできるのじゃ全然違うと思っているからこそ、今回の富山戦は最初の土曜日の試合が重要かなと思います」
POでのホーム開催への思いを語る石川だが、チームの課題についても目を向けている。信州は2月17、18日の山形ワイヴァンズ戦以降、同一カードへの連勝ができておらず、選手からはエナジーや継続力、連戦時の第1戦の試合の入り方などが課題として語られることが多い。3月29日の福島ファイヤーボンズ戦では、鬼門の第1戦で痛い敗戦を喫した。
「正直に言えば、もったいない」
石川は険しい表情で振り返る。
「富山さんがどうなるか分からない中で、(福島に勝利していれば)僕らも順位的に並べた試合だったと思う。水曜日の福井戦でできたことを続けていかなきゃいけないところで若さが出てしまった。人数がいない中で、一人一人が持っている役割や責任は重要。そこがフラットになってしまっている部分が土曜日はあった」
富山戦で2連勝をつかめば2位の座が入れ替わるだけに、第1戦を勝利できるかどうかが信州にとって大きなカギとなることは間違いない。

三ツ井利也「2勝することは絶対条件」
石川同様に三ツ井利也も富山戦を重要な局面と捉えている。
「勝率的にも1勝差というレベルで争っていますし、プレーオフをホームで開催するっていうところもギリギリの勝負になってきている。本当にもう一敗も許されないぐらいの状況だし、なおかつ2位と3位の直接対決。ここでしっかり2勝することは絶対条件だと思っている。そのためにも土曜日(第1戦目)の臨み方は本当に大事だと思うので、チームとしてもプレーオフだと思ってしっかり臨めるように、僕自身もそれを体現できるように頑張りたいです」
2018-19シーズンにはともにB2優勝を経験した石川と三ツ井。両選手が「第1戦での勝利」とともに重要視していたのが「プレーオフをホームで開催すること」だ。POは2戦先勝の短期決戦なだけに、ホームでの声援が大きな力となり、勝利を後押しする大きな要因となる。石川は話す。
「4000人近く来ている中のほとんどは、ホームのお客さんっていうのは、特に接戦のときなんかはすごく僕らの力になっている。だからこそホームでやれると僕らも助かる。他にも(ホーム開催だと)移動の疲れによるコンディション面っていうところもなくなってくるので、そういう全てのことを踏まえてホームでやることの重要性というのはあると思う」
過去に2度のPOを経験してきた三ツ井も、石川の意見にうなずく。
「僕らがアウェイ側として、一体感のある応援の中でやるっていうのは本当に厄介ですし、それは逆も然りです。僕らが以前B2にいた時に比べると本当に会場の雰囲気とか全然違いますし、それが僕らの後押しになって、しんどいときでも背中を押してくれる。ホームというのはそういう存在だと思うので、プレーオフを少しでもホームで開催することを目標に掲げて、勝利やプレーオフの雰囲気っていうのをファンの皆さんと共有しあいながら一緒にそういう空間を作っていきたいです」

勝利のカギは守備 石川「徹底してやることが必要」
まさに決戦となる富山戦だが、石川は勝利のカギはディフェンスにあると強調する。
「富山さんは一人一人のポテンシャルは本当に高いですし、ディフェンスというよりは攻撃的なチームという印象が強い。そこを僕らが抑えなきゃいけない。でも、最近やっていて思うのは、自分たちがちゃんとやっていれば点数を抑えられているゲームはたくさんある。福井さんにしてもそうだし、メンバーがいない中でそういうゲームができているので、そこを徹底してやることが必要だと思う」
石川が言うように、富山は100ポゼッションでの平均得点を表すオフェンシブレーティングがリーグ3番目に高い「113.4」。また一試合での平均ポゼッション数がリーグ2位の「77.5」とテンポの速いオフェンスを展開し、なおかつ得点効率も高い攻撃的なチームだ。
一方でディフェンスのチームとして知られる信州のディフェンシブレーティング(100ポゼッションでの平均失点数)を見てみるとリーグ2番目に低い「102.3」。またブロック数は、平均4.2本を記録しており、こちらはリーグ1位の数字となっている。富山の攻撃を封じることができれば、勝利の可能性が上がることは間違いない。
「コーチ陣がいろいろスカウティングをしてくれて、僕たちに打開する術を与えてくれている。そこを重点的に自分たちが集中してやっていけば、富山さんはすごく強敵だと思いますけど、勝てない相手では絶対ないと思っている。ちゃんと勝って帰ってきたいと思います」と石川の表情には闘志がたぎる。
三ツ井も「POをホームで開催できるようにこだわりを持ってやっていきたい。頑張った結果アウェイ開催になったとしても、それに負けずにしっかり乗り切る力も必要だと思うので、まずはやることをやって、あとは結果を待つだけだと思う」と語り、大一番に向けて準備は万全だ。
B1残留を争っていた昨シーズンにも同じように終盤戦にアウェイで富山と2連戦を戦い、2連勝をつかみとった信州。舞台をB2に移し、2年連続で因縁の対決が行われる。鉾の富山か、盾の信州か。勝利でPOへの弾みをつけたい。

(芋川史貴)