“本職”で貢献しつつオフェンスでも開花する津山尚大 島根スサノオマジック後半戦のXファクターとなるか
キャリアハイ29得点を記録した島根スサノオマジック津山尚大©Basketball News 2for1
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 Bリーグ1部(B1)は1月20日から1月22日にかけて各地で第19節が行われ、島根スサノオマジックはアウェーの滋賀ダイハツアリーナで滋賀レイクスと対戦。1月21日に行われた第1戦は108-80、翌22日に行われた第2戦は84-69と連勝。10月26日 の対戦も合わせて、今季の滋賀との対戦成績を3勝0敗とした。

滋賀との第1戦で3P9本キャリアハイ29得点

今季、上位4チームが勝率7割を超えるなど、激戦区となっている西地区。島根は、第19節を終えて1試合平均21.6得点(リーグ1位)、9.4リバウンド(同13位)、7.5アシスト(同2位)とトリプルダブル級の成績を残しているペリン・ビュフォードや、日本出身選手としては河村勇輝に次いでリーグ2位の平均得点(15.9)を誇る安藤誓哉がチームをけん引し、西地区で首位に位置している。

そんな中、滋賀との第1戦でキャリアハイの得点を記録したのが、今シーズンからチームに加入した津山尚大だ。琉球ゴールデンキングス、アルバルク東京、三遠ネオフォニックスとB1チームを渡り歩いてきた津山だが、これまではなかなかプレータイムに恵まれなかった。しかし、島根ではディフェンス力やシューターとしての能力を買われ、プレータイムも上昇。平均約28分間の出場でキャリアベストの8.9得点を記録している。

滋賀との第1戦では第1クォーター途中から出場すると、小気味よくシュートを沈め29得点を記録。ビュフォードや安藤にシュートを打たせまいと滋賀のディフェンスが2人に集中することによって津山がオープンになることが増え、放った3ポイントシュートを12本中9本成功。攻守でチームをけん引し、28点差の快勝に導いた。

 「今日は2本目からはリズムよく打てたので、これがやっぱり今日(得点を)多く決められた(理由)なのかなと思っています」

キャリアハイの得点とポイントシュート成功数を記録した津山だが、好成績に浮き足立つこともなく冷静に言葉少なに試合を振り返った。

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ポール・ヘナレHCも頼りに「求めているのはまずディフェンス」

オフェンスで絶好調だったこの日だが、津山が饒舌になったのは「本職」であるディフェンスについての話題だった。

 「僕の課題がいまディフェンスの部分で、このチームのシステムややるべきことというのがここ数試合なかなか遂行できてなかった。なので、まずシュートは入るようには心がけていて、(そのうえで)今日はしっかりテーブス海選手だったりラベナ選手だったり、相手のキーマンとなる選手をしっかりマークできた。明日(第2戦)はこの2人がもっともっとやってくると思うので、しっかり気を引き締めてディフェンスをやっていきたいなと思います」

また、ポール・ヘナレヘッドコーチも津山のキャリアハイの得点や3Pシュートでの貢献について質問が及ぶと、オフェンス面ではなくディフェンス面を評価するコメントを残した。

 「私が一番満足しているのが彼(津山)のディフェンスです。彼は驚異的なシュート力を誇る選手なのですが、我々が彼に求めているのはまずディフェンスです。彼がそれ(求められたディフェンス)をしつつ、今日(第1戦)のようなシューティングしてくれたことに関しては大変誇らしく思っています。シューティングについての質問だったのでこういった回答になってしまったのはちょっと妙かもしれないですが、我々としては今彼に一番求めているものは ディフェンスで相手を完封すること。彼は今日は非常によくできたのかなと思っています」

 「ディフェンスが課題」と答えた津山と、「ディフェンスを高く評価した」ヘナレHC。オフェンス面でキャリア最高のシーズンを過ごしながらも、チーム内での津山の仕事が「ディフェンス」であることが共通認識として持たれていることが伺えた。

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加入によりチームディフェンスが向上 攻撃面でも武器に

 第19節を終え、西地区首位に立っている島根。津山が加入した今季は昨季よりも平均失点が2.1点減少し(78.1失点→76.0失点)、被FG成功率も約3%ダウン(46.1%→43.2%)。ディフェンスの良さの指標となるDrtg(ディフェンシブレーティング)でも昨季の108.7から104.8に数値を向上させるなど、津山加入の効果がディフェンス面で大きく現れている。

 「本職」でしっかりと貢献しつつ、今回のようにオフェンスでも津山が躍動するようになると、いよいよ島根もアンストッパブルなチームになってくる。昨シーズンあと一歩届かなかったチャンピオンシップファイナル、そして優勝へ。後半戦も津山の活躍が島根のシーズンの鍵を握るに違いない。

(田名 さくら)

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