【バスケ日本代表】「川真田さんに負けてらんない」井上宗一郎の奮起がW杯“金星”獲得へ
日本代表の井上宗一郎©JBA
沖縄を拠点とするフリーランス記者で2for1沖縄支局長。沖縄の地元新聞で琉球ゴールデンキングスや東京五輪を3年間担当し、退職後もキングスを中心に沖縄スポーツの取材を続ける。趣味はNBA観戦。好物はヤギ汁。

 C渡邉飛勇が今月12日の公開練習試合で右腕を負傷し、貴重なビッグマンの一人がW杯を目前に離脱した日本代表(FIBAランキング36位)。本番に臨む12人の中でインサイドを支える208cmのC/PFジョシュ・ホーキンソンは右股関節のケガ明けで、206cmのSF渡邊雄太も15日の強化試合で右足首に軽い捻挫を負い、今後2人のプレータイムが制限される可能性も否めない。

 厳しい状況ではあるが、1次ラウンドで対戦するドイツ(同11位)、フィンランド(同24位)、オーストラリア(同3位)に対して“アンダーサイズ”で臨むことになる日本にとって、高さやフィジカルの強い相手にどう挑んでいくかは避けては通れない課題だ。

 そこで奮起が求められるのが、201cmのパワーフォワード、井上宗一郎である。204cmの川真田紘也と並び、インサイドのディフェンスやリバウンドにおいて体を張る役割を強く求められる。15日のアンゴラ戦後、井上が覚悟を語った。

アンゴラに挑んだ日本代表©Basketball News 2for1

相手に“飛ばせない”リバウンドで貢献 3Pは確率上がらず

 コンディション不良で12日にあった公開練習試合を欠場した井上。それでもアンゴラ戦は第1Qの残り4分46秒で初めてコートに立つと、相手のビッグマンとマッチアップし、ディフェンスリバウンドで体を張ったボックスアウトを見せる。試合を通して相手に簡単に飛ばせないことを徹底し、3本のリバウンドを記録した。

 一方、オフェンスは4得点。持ち味の3Pは5分の1、フリースローも4分の1と低確率に沈み、課題を残した。

 体調については「今はもう大丈夫です」と答えたが、数日間対人練習ができなかったこともあって「思うようなプレーができなかった」と少し悔しそうな表情を浮かべた。試合については、こう総括した。

 「リバウンドは川真田さんがイーブンにやってくれて、それで僕たちも体を当てて、なんとかチームとしてフィフティフィフティで戦えたと思います。ただ僕も3Pの確率が伸びなかった。今日の目標は、チームが求める理想の形できれいに勝つ事だったので、3Pのアテンプト数は良かったですけど、決めきれなかったところに悔いが残ってます」 

 体を張る部分については「アンゴラは本当にインサイドが強いチームだと分かっていたし、それはすごく感じました。ただ、これを一つクリアすれば次のフランス戦に進めるということで、相手にはNBA選手もいたけど、圧倒されることなく戦えたと思います」と一定程度評価した。

ディフェンスで存在感を示した井上(奥)©Basketball News 2for1

自分たちから「ガツガツ当てる」

 ビッグマンの面々が厳しい状況に立たされる中、リバウンドがチームの「ウィークポイント」になっていることは強く自覚している。だからこそ、強い気持ちでインサイドに立っているという。

 「リバウンドのところは相手も狙ってくるので、自分たちが受身になっちゃダメ。先に僕たちがガツガツ当たって、中に入らせないということをずっと徹底しました。オフェンスリバウンドもチーム全員が絡み、取れなくてもそのままプレッシャーディフェンスをするということを続けてます。うまくいく部分もすごいあったので、成果がありました」

 さらに続けた。

 「リバウンドは自分が取れなくても、まわりの選手が取ってプッシュしてくれたら速いオフェンスにつながると思う。トランジションオフェンスでベースを上げたいので、それに繋がるように、体を張ってディフェスリバウンドを取らないといけないと思います」

©Basketball News 2for1

“チャレンジャー”として強化試合、本番に臨む

 愚直に体を張る部分では、強く刺激を受けているプレーヤーがいる。共にビッグマンの一人として重積を担う川真田である。この試合ではNBA選手のブルーノ・フェルナンドと対等に体をぶつけ合い、7リバウンドを記録して攻守に存在感を発揮した。

 頼もしい姿に、井上は「いや、すごいですよね。びっくりしてます」と驚きとリスペクトを込める。その上で「負けてらんないですよね」とも語り、自らの発奮材料にしていた。

 強化試合は残り二つ。「フランスもスロベニアもヨーロッパの強豪で、世界のトップレベル。自分たちはチャレンジャーなので、この2試合で一個一個課題を潰し、ステップアップしていきたい。成果を得て、W杯につなげたいです」と意気込む。他のビッグマンのコンディション次第ではプレータイムが増える可能性もあるため、世界のトップと対戦することで井上のさらなる覚醒に期待したい。

(長嶺 真輝)

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