8月25日に沖縄アリーナなどで開幕するFIBA男子ワールドカップ(W杯)に向け、FIBAランキング36位の日本代表が15日、東京の有明アリーナで同41位のアンゴラと国際強化試合を行い、75ー65で勝利した。SG富永啓生が3Pを6本沈めてオフェンスをけん引したほか、C川真田紘也がディフェンスやリバウンドでチームに大きく貢献した。
この試合では、SF渡邊雄太がW杯本番前の国際強化試合で初めて代表ジャージを着てプレーした。右股関節を痛めていたC/PFジョシュ・ホーキンソンも復帰し、主力2人が初めて実戦で一緒にコートに立ち、W杯本番に臨むアカツキジャパンの“全貌”がお披露目された形となった。
日本は17日にFIBAランキング5位のフランス、19日に7位のスロベニアと強化試合を行う。
目次
川真田紘也らがゴール下で体張る 全員リバウンドも
スタートはPG河村勇輝、富永、SF吉井裕鷹、渡邊、ホーキンソン。初めのオフェンスで富永が右サイドから3Pをヒットし、渡邊もドライブからシュートを沈めて日本が抜け出した。アンゴラがNBA選手のブルーノ・フェルナンドなどフィジカルの強い選手を揃える中、渡邊とホーキンソンがリバウンドで存在感を発揮した。
しかし、アンゴラが徐々にゴール下の圧力を強め、さらに3Pも要所で決められて逆転を許す。第2Q残り4分を切った場面で右45度からドライブを仕掛けた渡邊が右足首を捻挫し、退場。この時間帯にはリードを最大10点まで広げられた。その後、PG富樫勇樹とPF井上宗一郎の連続3Pなどで詰め寄り、4点ビハインドで折り返した。
後半は渡邊抜きとなり、ホーキンソンの出場時間も少なかったが、インサイドで川真田、井上、吉井らが体を張り、前線でもFG原修太や河村らがハードにプレッシャーを掛け、ディフェンスから流れをつくった日本。ディフェンスリバウンドに対しても全員が高い意識を貫いた。
結果、49ー49に追い付いて第3Qを終えた。最終第4Qは富永の3Pや河村のドライブなどで一気に抜け出し、最後まで激しいディフェンスを維持して勝ち切った。
フリースローで15本上回る 3Pは26.8%に低迷
日本は持ち味の3Pは成功率が26.8%に低迷したが、アグレッシブなペイントアタックでフリースローを31本獲得し、相手を15本上回る22本を決めた。リバウンドは7本下回る38本だったが、サイズの小さい日本にとっては許容範囲に抑えた印象だった。
会見に臨んだトム・ホーバスHCは、試合をこう総括した。
「本当に勝ったのがよかった。雄太がけがになり、ジョシュが15分くらいの出場時間の中、チームはよくやっている。ベンチメンバーの誰かがステップアップする。川真田はよくディフェンスを頑張ったし、河村と富樫はすごいいい仕事をやった。相手のポイントガードにいいプレッシャーをかけられ、前半は少し効いたけど、よく我慢した。まだまだ足りないけど、少しずつ、少しずつ良くなってきたかなと思います」
3P成功率が低かったことについては「ノーマークのシュートはつくった」と悲観していないよう。各選手が積極的に3Pを打つ姿勢も見えたため、本番で対戦するドイツやフィンランドに触れた上で「相手のビッグマンがうちの選手たちに着いていけるかどうか。あれが入ったら空気が変わると思う」と期待した。
渡邊雄太、第2Q途中に負傷 フランス戦は欠場
気になる渡邊の状態については、指揮官が「軽い捻挫」と説明。今後の出場見通しにも触れた。
「病院は行かないです。彼はよく捻挫します。彼も分かっていたけど、そんなに悪くない。でもフランス戦は出さないと思う。スロベニア戦はチャンスがあれば出したいです」
渡邊はこの試合、わずか11分47秒の出場で4得点、7リバウンド、3アシストを記録。ドライブから柔らかいタッチのシュートを沈めたり、ホーキンソンへ華麗なアシストを送ったりして会場を沸かせた。ホーバスHCも高く評価した。
「雄太はリバウンドをよく取った。(外からの)ノーマークシュートは入らなかったけど、彼は本当に特別な3Pシューターだから、あれぐらいのノーマークができるんだったらいいかなと思う。ドイツやフィンランドの4番は彼に着いていけるか分からないですよ」
富永「速いバスケを遂行したい」
チームトップの20得点を挙げた富永は、試合の感触をこう語った。
「前半は自分たちのペースでバスケができず、4点ビハインドでした。その中でも、後半はプレッシャーディフェンスであったり、キックアウトからのコーナースリーだったりは、自分たちのバスケができたとこもあったんじゃないかなと思います」
試合開始から同世代の河村と共にコートに立ち、珍しいスターティング5の面々となった。それについては「すごくプレーしやすかったです。河村とはアンダーカテゴリー時代からずっと一緒にやっているので、ケミストリーはいいと思う。雄太さんもジョシュも含め、すごくやりやすかったかなと思います」と好感触を示した
。
この試合では、渡邊の川真田が7本ずつリバウンドを奪取。チーム全体のサイズが小さい中、12人中10人がリバウンドを記録し、富永も「自分たちはアンダーサイズでやっているので、1番から3番も含め、全ての選手がリバウンドに入ることが必要だと思っています。5人みんながボックスアウトすることが本当に必要になる。自分もミスしてしまう部分があるので、本当に意識してやっていきたいです」と語った。
その言葉通り、リバウンドから速い展開に持っていくバスケはホーバスジャパンの代名詞にもなっているため、今後も全員に高い意識が求められる。富永は「レベルがもっともっと上がっていく中で、一つ一つのパスが簡単には通してもらえないと思う。その中で自分たちの速いペースのバスケを遂行していきたいですし、それがどれぐらい通用するかが楽しみです」と本番を見据えた。
(長嶺 真輝)