
新年の幕開けを飾ったBリーグ2025-26シーズンの第18節。沖縄サントリーアリーナでは1月3、4の両日、西地区の上位争いを演じる2チームが激突した。
相対したのは、同地区3位のシーホース三河と4位の琉球ゴールデンキングスだ。初戦はホームの琉球が86-65で快勝し、第2戦は三河が75-65で白星を奪い返した。結果、三河は20勝10敗、琉球は18勝12敗となり、順位、ゲーム差ともに変化はない。
混戦模様の西地区で6割以上の勝率を維持する両チームだが、2連戦に入る前の状態は決して良かったわけではない。三河は2連敗、琉球も3連敗で迎えた。
そのため、1勝1敗ながらも強豪相手に勝ち星をつかめたことで、どちらのチームからも改善の手応えを口にするコメントが聞かれた。
1月6日に開幕する第101回天皇杯全日本選手権のファイナルラウンド準々決勝でも再戦する可能性をはらむ三河と琉球。コート上で交錯した両者の現在地、そして、天皇杯で2連戦の延長線上に位置する“第3戦”が実現した場合の勝負のポイントは何か——。
目次
2連戦は鏡写しのような試合展開に
初戦は序盤こそ競り合ったが、第2Qから琉球が引き離す展開。東アジアスーパーリーグ(EASL)を含めた厳しいスケジュールやヴィック・ロー不在の中、昨年末時点では疲労が見えていたジャック・クーリーとアレックス・カークが動きのキレを取り戻し、前半の2ポイントシュート成功率がチームで93.7%(16本中15本成功)に達した。
さらに、連敗中は10%台に低迷する試合もあった3ポイントシュート成功率も、6本を決めた岸本隆一を中心に35.7%(28本中10本成功)まで回復。ディフェンスにおける一対一の強度や連係にも改善が見られ、オフェンシブレーティングがリーグ3位の三河をわずか65得点に抑え込んだ。三河は要所でオープンのシュートが決め切れず、追い上げられなかった。
第2戦は真逆の展開となる。
第2Qの開始約3分で琉球が7点のリードを奪ったが、三河が久保田義章とトーマス・ケネディの連続3ポイントシュートで詰め寄り、モメンタムを作って逆転に成功。ガード陣を中心に高い位置からプレッシャーを仕掛けて琉球のリズムを狂わせ、三河の8点リードで前半を折り返した。
後半に入っても流れは変わらない。オープンなシュートシチュエーションを作っても決めきれない琉球に対し、三河はダバンテ・ガードナーと西田優大を中心に多彩なオフェンスオプションを駆使してスコアを積み重ね、琉球の追随を許さず。琉球はオフェンスリバウンドを20本奪取したが、セカンドチャンスポイントは14点止まり。三河がディフェンスで我慢を続けた証左だろう。
奇しくも、負けチームの得点数は2日とも65点。鏡写しのような試合展開で、星を分け合った。

「我々のスタイルに近づいた」三河・リッチマンHCが口にした手応え
「我々のスタイルにより近づいたゲームでした」
第2戦後、そう手応えを口にしたのは三河のライアン・リッチマンHCだ。年末にあったアルバルク東京との2連戦を落とし、琉球との第1戦はディフェンスのハードさを欠いて今シーズン2度目の3連敗。第2戦も敗れれば琉球に勝敗数で並ばれていた。「本当に重要なゲーム」と位置付けていたからこそ、「選手たちのプレーを誇りに思う」と喜びは大きかった。
ただ、「近づいた」という表現からも分かる通り、満足はない。「タフさ、フィジカルの部分、リバウンドの部分はまだまだステップアップして改善していかないといけない」と課題が口を突いた。
そんな中、この2連戦で安定したパフォーマンスを見せたのが西田だ。初戦はチームトップの16得点に加え、3リバウンド3アシスト。第2戦は17得点8リバウンド5アシストを記録し、+/−はチームトップの+22に達した。「僕がペイントに入ることで、琉球の選手5人の10個の目を僕に向けられると思っていたので、無理にシュートに行くんじゃなくて、絶対にどこかが空いてると味方を探しながらアタックすることができました」と好感触をにじませた。
連敗中は「自分たちのアイデンティティーを見失っていた」と危機感を持って振り返る。その上で、指揮官と同様に「僕たちのアイデンティティーを取り戻すことができたゲームでした。昨日はハードにプレーできず、リバウンドも多く取られてしまった。そこを改善できたことが勝因です。このタイミングでこういう試合ができて本当に良かったです」と安堵感を口にした。

「下を向く内容ではない」琉球・桶谷HCが納得感を示した理由
一方、第2戦で敗れた琉球に悲壮感はなかった。
桶谷大HCは記者会見で開口一番、「負けはしたけど、下を向く内容ではなかった」と言い切った。内容に対する納得感があった理由は、ディフェンスの出来だ。
「(平良)彰吾のターンオーバーあたりから流れを変えられてリードを広げられましたが、ディフェンスのところでずっと粘っていました。(追い上げの時に)あと1本のシュートがこなかったけど、ディフェンスのインテンシティーや一つひとつのプレーの質は上がってきてると思います」
昨年末の3連敗中は全て失点が80〜90点台だっただけに、オフェンス力の高い三河の得点をここまで抑えられたことは、改善を実感するには十分な内容だったはずだ。2戦目でリバウンドを多く奪取してポゼッションを増やし、ターンオーバーを9個に抑えられたことも高く評価していた。
佐土原遼も「ここ数試合と比べると本当にポジティブな内容で、見ている人たちもそう感じたと思います。次の天皇杯に向けてすごくいい試合になったかなと思います」と話し、この2連戦を前向きに捉える。
一方、最近プレータイムを増やしている崎濱秀斗は「オフェンスがうまくいかない時間帯で、ディフェンスを1本止めたり、フィフティーフィフティーのルーズボールを取り切ったりする小さい部分の積み重ねで負けたと思います」と厳しい評価を語る。チームがさらに安定感を増していくためには、必要な危機感だろう。

「オン・ザ・コートワン」で戦う場合のポイントは…
お互いに3連敗から脱し、強豪として本来の姿を取り戻しつつある三河と琉球。連戦を終えたばかりではあるが、6日に開幕する天皇杯ファイナルラウンドでは、8日の準々決勝で再び顔を合わせる可能性がある。
7日の2回戦で、三河はライジングゼファー福岡(B2枠)対ONELYS wakayama(近畿)の勝者、琉球は日本経済大学(九州)対横浜エクセレンス(B3枠、現B2所属)の勝者と対戦し、いずれも勝利すれば、再戦となるのだ。
仮に実現した場合、見どころの一つはBリーグとは異なるレギュレーションで戦う部分だ。天皇杯は今回大会から「オン・ザ・コートワン」が採用され、外国籍選手の登録可能人数は2人で従来と変わらないものの、同時にコートに立てる人数は2人から1人に減る。また、帰化選手は外国籍選手と同時にプレーすることが可能な一方、アジア特別枠選手は外国籍選手扱いとなる。
このルールで戦う場合、三河はケネディ、琉球はカークという帰化選手を抱えていることは大きなメリットとなるだろう。ただ二人はポジションが異なるため、ビッグマンの人数が限られる中で、それがどう作用するかは勝敗を分けるポイントになるかもしれない。
オン・ザ・コートワンのルールで戦う上で、重要なポイントは何か。西田に聞くと、天皇杯の展望も含めて以下のように答えた。
「僕たちは比較的サイズが小さいので、仮に琉球と当たることを考えると、あちらにはカーク選手がいるので、かなりサイズを残したまま戦えるチームの一つだと思います。なので、今日みたいにリバウンドをしっかり取り切ることができれば、オン・ザ・コートワンでも善戦しながらいいゲームができると思います。トーナメントなので、勢いに乗れるようなプレーをできたらいいなと思います」
インサイドもこなせるため、琉球にとっては大会最大のキーマンとなる佐土原も、天皇杯に向けて気を引き締める。
「天皇杯は外国籍選手が一人しか出られないということで、三河のシェーファーアヴィ幸樹や千葉ジェッツの渡邊雄太さんなど、ライバルになる選手も含め、自分と同じポジションの選手が輝かないといけない大会です。一つ目のタイトルが取れる機会で、連覇もかかっていますが、気負わず、一個一個勝ち進みたいと思います」
両雄は再び激突するのか。もし実現すれば、中3日での再戦となるだけに、戦術の駆け引きも含めて見どころの多い試合になることは間違いない。

(長嶺真輝)






