
Bリーグ2部(B2)は14日から15日の両日、各地でレギュラーシーズンの第20節が行われ、東地区首位の信州ブレイブウォリアーズはホームのことぶきアリーナ千曲(千曲市)で、同地区6位の山形ワイヴァンズと対戦。第1戦を108-80、第2戦を87-65とそれぞれ勝利した。
2日間ともに勝利の立役者となったのはウェイン・マーシャルだ。第1戦は19分52秒の出場で10得点8リバウンド1アシスト、第2戦では23分6秒の出場で24得点7リバウンド5アシストを記録し、チームをけん引。"聖地・ことアリ"(ことぶきアリーナ千曲の愛称)でのB2優勝を経験した唯一の選手として、堂々たる活躍を見せた。
スタッツだけではなく「勝つために本当に必要なことを大切に」
第1戦、マーシャルが出場していた時間帯のチーム全体の得失点差は+39だった。
「結局ウェインなんですよね。19分で+39。彼と一緒にコートに立っているからやりやすいとか、遂行できているからターンオーバーにつながらないとか。精神的にも安定する、ディフェンスの要にもなっているとか、本当にすごい。スキルやタレント的にも素晴らしい選手なんですけど、何よりもハートとマインドが素晴らしい」
第1戦後の会見で、勝久マイケルヘッドコーチ(HC)はマーシャルの名前を挙げて賛辞を送った。
大黒柱としてチームを支えるマーシャル。ゴール下で力強さを発揮したと思えば、柔らかいタッチで3ポイントシュートも沈めるなど、「剛」と「柔」を併せ持つ選手だ。ディフェンスではまるでポイントガードのように、コート全体を見渡してチームメイトにローテーションの指示を伝える。常に正しい位置で、チームルールを徹底的に遂行できることがマーシャルの大きな強みだ。
勝久HCは話す。
「何年か前にけがでシーズンがほぼアウトだった時に、誰よりもスカウティングレポートがわかっているとか、ウォークスルーをちゃんと聞いていて、われわれがチームとしてやるべきカバレージ、やるべきことを誰よりも理解している。アウトの時でそれだったので、(ロスターに)入っている時の集中力はすごい。集中力、メンタリティー、一つ一つのミスが命取りになるということを理解したプロフェッショナルさ。軽いなんてまずないです」
スタッツには現れない「安定感」と「遂行力」。それこそが、勝久HCがマーシャルに最大の信頼を置く理由だ。
勝久HCとマーシャルの付き合いは2010-11シーズンからであり、島根や横浜BCなどキャリアの大半を同じチームで過ごし、信州でタッグを組んで8シーズン目を迎えている。お互いの信頼関係は深く、コート内外での連携はまさに阿吽の呼吸だ。
多くの思い出をつくってきたことアリで、2試合続けて大車輪の活躍を見せたマーシャル。意識していたのは、「勝利を呼び寄せるプレー」だったという。マーシャルは語る。
「試合の貢献を見る中で、スタッツでは見えないプレーの部分で自分はチームの勝利に対して貢献できるところだと思っている。そのようなプレーは、もしかしたら試合を見にきてくれるブースターさんには伝わらないかもしれない。ハイライトに残るプレーではなくて、勝つために本当に必要なことを大切にしている。それは例えばポイントガードに良いスクリーンをかけたり、相手にタフショットを打たせるような駆け引きだったり。そういう部分で自分は貢献しようとしている」

勝久HC「多くの選手にウェインのような存在になってもらいたい」
マーシャルの活躍が目立つ一方で、チームの課題も見えた2試合だった。第1戦後、勝久HCは言及した。
「もっと多くの選手にウェインのような存在になってもらいたい。ウェインを下げた瞬間にマイナスになるようではいけない。多くのメンバーがウェインのリーダーシップをカバーして、チームとしてやるべきことを40分間、危機感を持ってやる。高い集中力を持つ。メンタルを強くする。こういう要素をもっと多くの選手に持ってきてもらわないといけない」
もちろんマーシャルと交代する他の外国籍や渡邉飛勇を比較すると、勝久HCの元で学んでいる年数にも差があるため、戦術理解も劣ってしまうのは仕方がない側面もある。
マーシャルがベンチに下がっていた時間帯に限った失点を見てみると、第1戦は総失点80のうち57失点だったものの、第2戦は総失点65のうち29失点と改善は見せた。それでも、マーシャル不在時に失点が集中する傾向は明らかであり、チームとして改善し続けなければいけない課題だ。
マーシャルがひとたびコートに戻ると、自然とリズムが生まれる。なぜそのような活躍ができるのだろうか
。
「シンプルにゲームプランを集中して聞くこと。聞いた情報を頭の中で留めようとすること。もし質問があれば必ず尋ねてクリアにする。そして家に帰って振り返りをすることで理解を深めている」
ゲームプランをしっかりと把握しておくことには、もう一つ大きな理由があるという。
「僕はあまり注目を浴びることが好きではない。プラスな印象でもマイナスな印象でもどちらにせよ好きではない。もし試合中にミスをしたらフィルムセッションでのトピックになってしまう。だからゲームプランなどの情報を留めておく必要があるんだ」
そう語りながらも、「それでもたまには取り上げられてしまう」と笑みを浮かべたマーシャル。若手選手に向けては「本当に良い選手が揃っていると思うので、経験を通して試合への理解をもっと深めることが大事」と期待を寄せる。若手たちがマーシャルの水準を目指していくことで、信州ブレイブウォリアーズはさらなる高みへと成長していくはずだ。

(芋川史貴)






