Bリーグ1部は20日、各地でレギュラーシーズンの第26節が行われ、中地区6位の横浜ビー・コルセアーズはホームの横浜国際プールで同8位の富山グラウジーズと対戦。前半は第2クォーターに富山のクインシー・ミラーに18得点を許したことなどもあり、39-38と競った展開で折り返すも、後半は安定した試合運びを見せ、84-69で危なげなく勝利。3連勝で通算成績を20勝23敗とした。
ソットがフィット「リズムつかめている」
富山戦の前までに19勝23敗と負け越し、なかなか波に乗れていなかった横浜BC。2年連続のチャンピオンシップ進出を目指しているチームにとって、ここまでリーグ最下位に沈んでいる富山との対戦は絶対に負けられない戦いだった。
これまでのBリーグでの対戦成績は、試合前までで横浜BCの12勝23敗と大きく差をつけられており、今シーズンも1月7日の富山ホームでの試合で敗北を喫するなど、決して分が良いとはいえないマッチアップ。さらに、横浜BCはジョシュ・スコットがコンディション不良でロスターを外れるなど、試合前から厳しい試合になることが予想された。
そのような状況下で、チームを引っ張ったのが外国籍・アジア枠の3選手だった。ジェロード・ユトフが17得点13リバウンド、カイ・ソットが16得点14リバウンド、デビン・オリバーが11得点17リバウンドと全員がダブルダブルを達成。得点はもちろんのこと、リバウンドについてはチーム全体で獲得した50本のうち44本を3選手が占めており、全体で31リバウンドだった富山に対して高さで大きなアドバンテージを取った。
特にカイ・ソットはチームへのフィット感が日に日に増しており、その結果はスタッツにも表れている。
チームに加入してから最初の11試合(12月30日レバンガ北海道戦から2月4日北海道戦まで)と富山戦前までの直近6試合(2月7日サンロッカーズ渋谷戦から3月6日三遠ネオフェニックス戦まで)のスタッツを比較すると、出場時間(13.0分→26.1分)、平均得点(7.9点→17.8点)、フリースロー成功率(37.2%→73.2%)、リバウンド(3.3本→10.2本)、ファール数(2.4個→0.8個)と各スタッツが大幅に向上。チームも最初の11試合では4勝7敗だったが、富山戦を含めた直近7試合では5勝2敗と勝ち星を増やしている。
さらに、加入後最初の8試合中4試合で4ファール以上を犯していたが、その後の10試合では4ファール以上は0。ディフェンスも安定してきたことで先発起用されるようになり、直近7試合では6度のダブルダブルを記録するなど素晴らしいパフォーマンスを見せている。
自身の調子が上がってきていることについてソットは「自分のプレーに対する自信やプレーのリズムもつかめてきていることで、ファールを減らすことができている」と語り、ファール数が減ったことでプレータイムが伸びていることも、パフォーマンスが上がっている要因に挙げた。
本人も「元々はそこまでファールをする選手ではなかったが、怪我から復帰してからエネルギーやアグレッシブさが出過ぎてしまっていたことで、無駄なファールがかさんでしまっていた」と語っているように、横浜BC加入直後は不必要なファールがかさんだが、その辺りのコントロールができるようになっていることはポジティブであり、ブロックの数は平均1.2本→平均0.5本と減っているものの、それでもインサイドでの存在感は絶大だ。
河村「試合をやっていて楽しい」
ソットのパフォーマンス向上はチームメイトにもポジティブな影響をもたらしている。チームのエースである河村勇輝は富山戦で21得点に加え10アシストを記録。富山戦前までで見ても直近6試合で平均9.3アシストと、シーズンの平均7.1アシストと比較して約2本ほどアシスト数が増えている。
試合中に河村とソットとのツーメンゲームが増えたことで、チーム全体のオフェンスもスムーズに運ぶようになってきている印象だ。
ソットとのプレーについて河村は「彼とのホットラインは、試合をやっていて楽しいし、彼のポテンシャルはすごくあると思う。彼の良さを最大限に引き出せるように、試合中もコミュニケーションをとりながらプレーをしている」と語っており、CSを目指す上でも、“ホットライン”の強化は重要になってくる。
上位チームからも勝ち星 残り17戦で成長目指す
昨シーズンはチーム史上最多の33勝を挙げ、天皇杯とCSで4強に残るなど、躍進を遂げた横浜ビー・コルセアーズ。河村を筆頭に主力選手が多くチームに残ったことから、今シーズンのさらなる飛躍に期待を寄せていたファンも少なくなかったはずだ。
しかし、チャールズ・ジャクソン(京都ハンナリーズ)らの移籍によりインサイドが手薄になり、攻守両面で不振にあえぐことが増えていた。そんな中、シーズン途中から加入したカイ・ソットの貢献により、昨季の勢いを取り戻し始めた横浜BC。5勝2敗としている直近7試合では、サンロッカーズ渋谷、千葉ジェッツ、三遠ネオフェニックス、川崎ブレイブサンダースからも勝利を挙げており、勝率5割以上のチームとも互角以上に戦えるようになっている。
レギュラーシーズン17試合を残し、CS進出圏内まで5ゲーム差につけている横浜BC。2年連続となるCS進出は簡単なゴールではないものの、ソットの加入以降調子を上げているチームの伸びしろはまだまだ残っているはずだ。三遠、シーホース三河、川崎など地区上位との戦いも残しているだけに、そこで勝ち星を挙げることができれば順位を上げていける可能性もある。勝利を積み重ね、2年連続となるCSへの切符をつかむことができるか。横浜BCの逆襲に期待だ。
(田中 隼翔)