13勝16敗の横浜ビー・コルセアーズ、後半戦浮上のきっかけつかめるか 河村勇輝「チームとして良い練習を」
横浜ビー・コルセアーズの河村勇輝©Basketball News 2for1
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 Bリーグ1部(B1)は17日、各地でレギュラーシーズンの第17節が行われ、横浜ビー・コルセアーズはアウェイのホワイトリング(長野市)で同地区の信州ブレイブウォリアーズと対戦。ここまで12勝16敗と黒星が先行している中で、負けられない同地区対決に挑んだ。

 第1クォーター(Q)は14-19と立ち上がりに苦戦するも、続く第2Q開始直後に、キャプテンの森井健太による激しいディフェンスで相手のミスを誘発。その後もゾーンプレスをしかけるなどをして、厳しいプレッシャーから得点を量産。ジェロード・ユトフがこのクォーターだけで12得点を記録するなどオフェンスがかみ合い、45-39と6点リードで折り返す。

 後半は一進一退の戦いが続き、第4Q残り5分49秒には信州に同点の3ポイントシュートを沈められるも、後半だけで23得点をマークした河村勇輝を中心に再度リードを広げる。最終的には81-71で今季初の対決を勝利した。

後半だけで23得点 アウェイブースターも魅了する河村

 試合開始数時間前、アウェイの会場がドッと大きな歓声に包まれた。大人や子ども、敵味方関係なく「かわむら〜」の声が会場内にこだました。昨シーズンのMVP受賞を経て、日本代表ではパリ五輪出場権獲得に貢献する活躍。テレビ番組などメディア露出も増え、注目度や人気度は日に日に上昇している。

 後半に見せた活躍は、会場にいる誰もが思い描く河村勇輝そのものだった。前半こそ9得点に留まったが、終わってみれば3ポイントシュート4本を含む両チーム最多の32得点に6アシストを記録。勝負強さを発揮し、チームの勝利に大きく貢献した。その活躍ぶりについては青木HCも「必要なときにしっかりと自分で決めてくることに関してはエースの自覚で『この試合を絶対勝たせるんだ』という気持ちがプレーに表れている」と賛辞を送った。

 プレー面だけではない。試合終了後には、ゆっくりとコートを歩き、相手ブースターにも丁寧に手を振る。会見場に訪れた際には「よろしくお願いします」と記者陣に挨拶をする姿から日本を代表する選手としての自覚を感じ取ることができた。

 Bリーグオールスターからわずか3日後に行われた今節。13日に行われたスキルズチャレンジ、14日に行われた本戦に出場するなど大忙しだった河村は、どのように気持ちを切り替えたのか。

 「レギュラーシーズンとオールスターとでは、雰囲気やファンの皆さんも何を見に来ているかっていうところの違いもあると思う。だからこそ求められていることも違うと思う。オールスターを終えてすぐ次の日から、チームの練習に参加して、信州さん相手に(戦う)。やはり同地区ですごく大切な戦いになると分かっていたので、よい準備をするための時間を使ってきたつもりなので、簡単に切り替えることができた」

 日本代表として、リーグのMVPとして、そしてチームのエースとして自身の役割をしっかりと理解している河村ならではの発言だろう。

信州戦で32得点を決めた河村©Basketball News 2for1

河村を支える森井健太の存在 青木HC「2人は太陽と月」

 ここまでリーグ1位の平均23.4得点を記録している河村だが、その活躍の背景にはチームメイトの貢献があることも忘れてはならない。その中でも、河村を支えているのがキャプテンの森井だ。河村と共に2ガードをこなす森井は、派手さはないものの堅実なゲームコントロール力と激しいディフェンスで貢献。河村がオフェンスに注力できる環境を作っている。

 信州戦では4Qに河村と森井のツーガードがチームをけん引し、勝利に貢献した。前半は2人が同時にコートに立つことはなかったが、第3Q残り2分40秒に初めて同時起用され、第4Qは開始から河村を一旦休憩させ、残り8分10秒で再投入。つまり、後半は10分50秒の間、同時起用されていた。さらに河村の得点に着目してみると、後半に記録した23得点のうち、16得点を森井との同時起用中にマークしている。32得点の活躍の裏には、森井の貢献も隠れていた。シーソーゲームの中、残り1分52秒にはリードを9点に広げる3ポイントシュートを決めた森井。青木HCからの信頼を得て、最後の12分40秒間コートに立ち続けたことが、森井がチームにとっていかに大きな存在であるかを証明している。

 河村に注目が集まりがちな横浜BCだが、その活躍は森井らチームメイトの貢献があってこそだろう。そういったチーム状況を念頭に、指揮官はこう話す。

 「(河村以外にも)いろんな選手の貢献があって第4Qの差を生んだ。特にツーガードでそこをコントロールして落ち着かせてくれた森井選手の活躍も、太陽と月ではないが、輝いている選手の裏でいろんな選手がそこをしっかり支えているというのが見える活躍だと思う」

キャプテンの森井健太©Basketball News 2for1

カイ・ソット加入でインサイドに厚み

 昨シーズンはチーム史上最多の33勝を挙げ、チャンピオンシップセミファイナルに進出するなど躍進を見せた横浜BCだが、今シーズンはここまで13勝16敗と黒星先行と苦しい戦いが続いている。それでも、12月末に広島ドラゴンフライズから期限付きで移籍したカイ・ソット加入後は3勝2敗とするなど、少しずつ明るい兆しが見えてきた。

 沖縄で開催されたオールスターイベントには、横浜BCから河村、キング開、ジョシュ・スコット、ソットの4名が選出された。新加入のソットを含めた練習はなかなか行えていないが、そういった状況でもほかの選手たちは高みを目指して練習を重ねていたという。指揮官は語る。

 「4名に関しては、しっかり横浜を代表してオールスターに出るということで、名誉で光栄なことだと思っていた。そのため横浜のプレーヤーとして、そしてバスケットボールを楽しみにしている人に対して『爪痕を残してきてくれ』と送り出しました。

横浜で練習していた人間たちも、これもひとつのチャンスだと思って、自分たちがその場面でステップアップできれば、帰ってきたときに、またチームとして底上げになるという気持ちで全員が練習してくれた。その結果、今日に関してはそこに対して準備できた部分もあったのかなと思う」

 信州戦ではソットが加入後最長の13分21秒プレーし、9得点6リバウンドを記録。今季の課題となっていたリバウンドでも信州の39本に対し42本と上回るなど、チームとしての成長も見える内容だった。河村は「僕たちがオールスターに行っている間に、しっかりとチームがよい練習をしてくれたことを本当に感じた。また今週すぐに大阪(エヴェッサ)戦があるが、またチームとしてよい練習ができれば、自ずとよい結果に繋がると思う。チーム練習の大切さをより感じる試合だった」と今後のチームに自信を覗かせる。

 いよいよ後半戦に突入するBリーグ。ソットの加入をきっかけに上昇気流に乗っていけるか。昨季は届かなかったリーグ制覇へ。海賊たちの逆襲に期待したい。

(芋川 史貴)

チームで存在感を見せ始めているカイ・ソット(左) ©Basketball News 2for1

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