Bリーグ1部は10月14から16日にかけて各地で第3節が行われ、ウカルちゃんアリーナ(滋賀県大津市)では滋賀レイクスと広島ドラゴンフライズが対戦した。
昨シーズンから西地区でしのぎを削り合ってきた滋賀と広島。第1戦は延長戦にまでもつれ込む激しい戦いとなったが、延長で5得点をあげた辻直人などの活躍もあり、広島が86-83で勝利。続く第2戦も両者譲らぬ激戦となるも、81-81の同点残り21秒に寺嶋良が決勝点となるジャンプショットを沈め、83-81で広島が勝利。2戦連続で接戦を制した広島が連勝で第3節を終えた。
また、滋賀は同節でウカルちゃんアリーナでのホームゲーム開催が最後だったこともあり、16日の第2戦には3,000名を超えるブースターが集結。同会場でプレーする選手たちの最後の勇姿を見守った。なお、滋賀は12月10日のシーホース三河戦から新しいホーム会場である滋賀ダイハツアリーナでプレーすることが決まっている。
3Q後半からのFTの差が結果に
あと一歩のところで、ウカルちゃんアリーナ最後の試合を勝利で飾ることはできなかった。
第1戦、滋賀はペイントエリアで40得点、3ポイントシュートも38.7%の確率で12本成功させるなど、広島の高いインテンシティのディフェンスを受けながらも持ち前の攻撃力を発揮。第3クォーター残り4分57秒には54-42とリードを12点に広げた。しかし、その後は退場したイヴァン・ブバやケルヴィン・マーティンなど外国籍選手を中心にファールトラブルに見舞われ、15分間で広島に14本のフリースローを献上。延長戦でも広島に5本のFTを与え、惜しくも白星をつかむことはできなかった。
滋賀のルイス・ギルヘッドコーチは試合後、「今日のゲームは3Q残り5分からがキーポイントだった」とコメント。それまでは滋賀が優位に試合を進めていたが、16本中7本成功(43.8%)とFTを決めきれなかったことが試合の結果に繋がったと振り返った。
第2節の新潟アルビレックス戦からこの日まで3試合連続オーバータイムを経験していた滋賀。延長戦が続いていることについては「自分たちがゲームをコントロールしきれていないが、後半では存在感を示せているから(延長戦が続いたの)だと思う」と現状を冷静に分析をした。
チーム始動出遅れ「60~70%くらい」
今オフシーズンにはユーロバスケット2022のスペイン代表アシスタントコーチを務めていたギルHC。持ち味のアップテンポなバスケや自身のフィロソフィーがどれくらいチームに定着しているのかを聞かれると「60〜70%くらい」と回答。ケガや代表戦への参加、ビザの関係などで選手全員が揃うのに時間がかかってしまったことが、チームのケミストリーを構築するのに時間がかかっている要因だという。
この日、11得点4アシストの活躍を見せたキャプテンの柏倉哲平は「試合を通していいバスケットが出来たと思う。練習でやってきたことをディフェンス、オフェンスの随所で発揮でき、チームとしてもやりたいバスケットが出来たので最後に勝ちきれなかったのが悔しい」と悔しさを滲ませた。
ブバ欠場の千葉J戦「集中してプレーする」
今週末にはアウェーで千葉ジェッツと対戦する滋賀。ここまでチーム最多の20.2得点を記録していたブバが広島戦で負傷し出場できないなど、危機的な状況で強豪との一戦に挑むこととなる。
ギルHCは「我々は今厳しい状況ですが、その中でやらなければならないことは集中してプレーすることです。ファストブレイクで簡単に得点を許さないことや、フィジカルでアグレッシブなプレーで負けないこと。オフェンスで良いオープンシュートを作り出すために、しっかりと遂行していくことが大事になります」と大事な一戦を見据えてコメント。「選手たちは一歩ステップアップしなければいけないと思っています。例えば川真田選手にとってはとても良いチャンスですし、このリーグでしっかりプレータイムを持てることを証明できると思っています。そしてこのチャンスをものにできる準備が、彼はできていると思っています」と川真田紘也を中心に、選手へのステップアップを期待した。
開幕から合計4度の延長を経験した滋賀レイクス。ここまで2勝4敗と負けが先行してはいるが、チームとしての完成度は日を追うごとに増しており、強豪チームとも戦えることは証明されている。チーム全員がステップアップし、逆境をチャンスに変えられるか。ギルHCのフィロソフィーが浸透した「新生・滋賀レイクス」の躍動に期待したい。
(田名さくら)