天皇杯男の参上、劇的同点弾、大逆転…激闘の末に4強が出揃った第101回天皇杯、準決勝のポイントを探る【A東京vs三遠、宇都宮vs三河】
天皇杯準決勝に進出したのはアルバルク東京、三遠ネオフェニックス、宇都宮ブレックス、シーホース三河©Basketball News 2for1
沖縄を拠点とするフリーランス記者。沖縄の地元新聞で琉球ゴールデンキングスや東京五輪を3年間担当し、退職後もキングスを中心に沖縄スポーツの取材を続ける。趣味はNBA観戦。好物はヤギ汁。

 今大会から集中開催に戻ったトーナメント戦の第101回天皇杯全日本選手権ファイナルラウンドは1月8日、国立代々木競技場第一体育館で準々決勝4試合を行い、4強が出揃った。

 勝ち上がったのは、いずれもB1のアルバルク東京三遠ネオフェニックス宇都宮ブレックスシーホース三河。一発勝負の天皇杯らしい緊張感あふれるゲームを制し、日本一に一歩近づいた。

 準決勝は同体育館で1月10日に行われる。第1試合のA東京対三遠は午前11時、第2試合の宇都宮対三河は午後4時にティップオフ予定だ。

 試合日程のほか、選手の登録、出場ルールが大幅に変わった今回の天皇杯。外国籍選手の登録人数は2人までで従来と変わらないが、同時にコートに立てる人数は2人から1人に減少し、「オン・ザ・コートワン」となった。アジア特別枠選手は外国籍選手扱いだが、帰化選手は外国籍選手と一緒にコートに立てる。

 ベスト4入りした各チームはいずれも帰化選手を抱えるが、オン・ザ・コートワンのルールの中で日本人選手も大きな存在感を示し、勝因の一つになっている印象だ。準々決勝の戦いぶりを基に、準決勝の注目点を探る。

”役者”たちが魅せた準々決勝…テーブス海は奇跡の一発

 準々決勝の幕開けを飾ったA東京対群馬クレインサンダーズは、劇的な形での決着となった。

 つかず離れずの展開を経て、第4Qの残り10秒を切った段階で群馬が2点リード。ここでA東京の福澤晃平がダイブして繋いだボールを受けたテーブス海が、ディフェンダー2人の間を割ってバランスを崩しながらミドルシュートを放ち、残り0.3秒で同点弾を沈めた。

 テーブスは延長戦でも8得点を挙げ、83-80での勝利に貢献したが、試合後には「(最後のシュートは)まぐれです。入ったことは良かったですが、正直、自分たちが勝つべきゲームではなかった。もっとプランを遂行すれば、楽に勝てたにも関わらず、相手に流れを渡してしまいました。ああいう試合では準決勝、決勝は勝てないと思っています」と気を引き締めていた。

 ハイペースなチーム同士が対戦した三遠対アルティーリ千葉も熱戦に。第3Qに三遠が二桁点差まで引き離したが、第4QにA千葉が猛追。残り3分を切って一時3点差まで迫ったが、最後は三遠の大浦颯太がバスケットカウントワンスローや3ポイントシュートを決めて87-79で逃げ切った。

 ゲームハイの25得点を挙げた大浦は「お互いにプレッシャーをかけ合ったところで全員の足が止まったり、弱気になったりした部分があったので、自分が行ける時は狙おうと思っていました。ああいったプレーができて良かったです」と安堵感を漂わせた。

勝利に貢献したアルバルク東京のテーブス海©Basketball News 2for1

19点差から“宿敵”千葉Jをまくった宇都宮

 準々決勝第3試合の宇都宮対千葉ジェッツは、いずれも人気チームで、Bリーグ東地区のライバル同士の対決らしく、平日開催にも関わらず多くのファンが客席を埋めた。

 試合は、帰化選手無しの千葉Jが金近廉と田代直希も欠きながら、高い遂行力を発揮し、第1Qでいきなり最大19点のリードを奪った。しかし、ディフェンスを修正して我慢を続けた宇都宮がD.J・ニュービルを中心にじわじわと点差を詰める。全体として武器の3ポイントシュートの成功率が低かったが、最終盤に小川敦也や遠藤祐亮にも当たりがきて、71-66で逆転勝利を飾った。

 天皇杯において、過去5戦全敗だった宿敵の千葉Jを破った宇都宮。13得点を決めた小川は「シュートの波はありましたが、ディフェンスに立ち返り、そこから速い展開を意識してやり続けた結果、こういう逆転を生んだと思います」と手応えを口にした。

 この日最後のカードとなった三河対琉球ゴールデンキングスは、ルーズボールやトランジションで高い集中力を見せた三河が10-0のランでスタート。ベテランの石井講祐を中心に、各選手が華麗なボールムーブから3ポイントシュートを高確率で決め切り、前回王者を相手に一度も逆転を許すことなく92-85で勝利した。

 千葉J、SR渋谷時代に天皇杯優勝を経験している“天皇杯男”の石井は「トーナメント式は好きなので、勢いに乗りやすいですね」と笑みを浮かべ、「僕はいろいろな経験をしてきた方だと思うので、それを体現してチームに貢献しようと思っています」と頼もしいコメントを発した。

宇都宮ブレックスの小川敦也(左)©Basketball News 2for1

「統率力」と「爆発力」で激突——A東京vs三遠

 いずれも今後の戦いに勢いが生まれるような準々決勝だった栄えある4チーム。準決勝における勝負のポイントは何か。

 第1試合は、統率力の高いバスケットで内外から着実に加点するA東京に対し、三遠は素早いトランジションと積極的なアウトサイドシュートで一気に流れを引き寄せる力がある。

 ディフェンス力に目を向けると、BリーグにおけるディフェンシブレーティングはA東京がリーグ7位で上位につけるが、三遠は19位。三遠の大浦が「アルバルクはすごく遂行力が高いチームなので、そこに対して自分たちが40分間、粘りながら戦い続けられるかがキーポイントになると思います」と語った通り、三遠のディフェンスが機能するかどうかが、試合結果を左右する重要な要素になることは間違いない。

 A東京については、準々決勝の勝負所で福澤や菊地祥平らがボールダイブして戦う姿勢を示した。オン・ザ・コートワンでプレータイムが伸びている日本人ビッグマンの平岩玄が「オーバータームに持っていって勝つというのは、次に向けても良い経験になりました」とのコメントを発しており、この泥臭さをチーム全体で維持したいところだ。

 A東京は安藤周人中村浩陸、三遠は佐々木隆成吉井裕鷹といった主力を欠く中、高いチーム力で勝ち上がってきた両チーム。準決勝も総力戦での勝負が見込まれる。

決勝進出を狙う三遠ネオフェニックスの大浦颯太©Basketball News 2for1

3Pシュートを強みとするチーム同士——宇都宮vs三河

 第2試合は宇都宮対三河。

 宇都宮はニュービルと比江島慎の二枚看板に加え、帰化選手のギャビン・エドワーズと日本人ビッグマンの竹内公輔も擁しており、優勝候補の最右翼だ。対する三河も、ダバンテ・ガードナーという大黒柱を中心に、西田優大須田侑太郎など安定して力を発揮できる選手が多い。

 両チームの共通点は、3ポイントシュートを多投するスタイルにある。Bリーグにおいて、宇都宮はシュート試投数のうち、3ポイントシュートが占める割合が53.1%でリーグトップ。三河も48.1%で4番目に高い。

 オフェンシブレーティングは三河が3位、宇都宮が4位につけており、いずれも良好なスペーシングを保ちながら高い得点効率でスコアを重ねられるのが強みだ。

 一方、ディフェンシブレーティングは宇都宮が4位で、この指標でも上位につけるのに対し、三河は14位。高い攻撃力を有するチーム同士なだけに、三河がどこまでディフェンスで我慢できるかは注目点だ。三河の石井は「ディフェンス、ルーズボールはブレックスの強みなので、そこで負けないことが大前提。オフェンスはズレを的確に突くことを全員ができれば、チャンスがあると思っています」と見通す。

 千葉Jを相手に逆転勝ちを収めた宇都宮は、自信を深めている。まだ準決勝の相手が決まっていない段階でのコメントではあるが、小川は「どういう相手でも自分たちのやるべきことをやれば、最終的にいい結果が待っているということは、今日で改めて分かりました。ブレックスメンタリティーに立ち返り、戦っていきたいです」と、決勝進出に向けた手応えをにじませた。

 いよいよ佳境を迎える第101回の天皇杯。頂上決戦行きの切符を手にするのはどのチームか。準決勝の2試合は必見となる。

シーホース三河の石井講祐©Basketball News 2for1

(長嶺真輝)

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