「仕事人」牧隼利が待望の復活!琉球ゴールデンキングスにさらなる”厚み”をもたらすか
滋賀戦で今季初出場を果たした琉球ゴールデンキングス牧隼利©Basketball News 2for1
沖縄を拠点とするフリーランス記者。沖縄の地元新聞で琉球ゴールデンキングスや東京五輪を3年間担当し、退職後もキングスを中心に沖縄スポーツの取材を続ける。元バスケ日本代表の渡邉拓馬選手に似てると言われたことがある。趣味はNBA観戦。好物はヤギ汁。

  Bリーグ西地区首位の琉球ゴールデンキングスに朗報だ。19、20の両日に沖縄アリーナで行われた滋賀レイクス戦で、所属4年目となる牧隼利が約9カ月ぶりに怪我から復帰。昨シーズンの今年2月以来、地元ブースターの前で久しぶりにコートに立った。強いフィジカルを武器にディフェンスで体を張り、オフェンスでも年々プレーの選択肢が増えている「仕事人」が、今季こそBリーグ制覇を掲げるチームにさらなる層の”厚み”をもたらすか。

「シーズン最終盤にどうあるかが大事」

 第1戦の第1クオーター(Q)残り3分19秒だった。客席から降り注ぐ盛大な拍手に迎えられ、 久しぶりに背番号88がファンの前に姿を表した。今村佳太と交代し、ゆっくりとコートに足を踏み入れる。淡々とした様子で、表情からは心境を読み取ることはできない。牧が振り返る。

 「(試合前から)いい意味でそんなに自分に期待してなかったので、そんなに緊張はしませんでした。帰ってこられたという気持ちでした」

 「自分に期待してなかった」との言葉通り、負傷する前のトレードマークだった筋肉質な体はやや小さくなり、琉球のスピード感あるオフェンスにもまだついていけていないことは見ていて明白だった。2試合で合計10分ほど出場し、得点はゼロ。ディフェンスでもシュートチェックに行った際に体が流れてファウルになる場面もあった。

「自分に期待していなかった」と語る牧

 ただ、当の本人に焦りはない。「これだけバスケから離れて、(復帰してすぐに)このレベルでうまくいって、プレータイムを勝ち取れるとは思っていない。変に焦って自分にプレッシャーをかけるよりも、徐々に上げていって、シーズンの最終盤にどうあるかということを大事に今季に臨んでいます。むしろ、思ったより早く戻ってこれたなと思っています」と柔らかい表情で語る。

 昨シーズン、琉球にとって初のファイナルとなった東京体育館での宇都宮戦は、コート外から見ていて「すごく複雑な気持ちで、素直に応援できない自分がいた」と悔しい思いを振り返る。その上で「その気持ちをしっかり自分で受け止めて、今の自分がある。今季も最後にその舞台に立つというがチームの目標でもあり、自分の目標だと思っています」と力を込めた。

豊富なウイング陣 プレータイム確保に”危機感”も

 今季は松脇圭志が加入し、今村、田代直希、小野寺祥太とウイング陣の層が極めて厚い琉球。 それぞれフィジカルの強さやディフェンスの激しさも備えていることに加え、桶谷大HCが「ポジションレス」を掲げているため、このポジションにはオフェンスにおけるボール運びやプレーメークも求められる。

 牧もチーム内での競争激化を自覚している。「今季は比較的ボールが流れるバスケになっているので、その分ボールを持つ機会が増えている。新たにできることを増やさないと、出られるチャンスがないという危機感もあります。点を取るだけでなく、いかに起点になるかが鍵になると思っています」と今後を見通す。さらに「(ウイングは)全員が190cm近くあって、体もあって、なんでもできるのが自分達の最大の強み。そこにいかにフィットできるか。今まで以上に一回一回の動きでずれをつくり、シュートにいく動きもしたいです」と気を引き締めた。

 牧の復帰によって、さらに層の厚さが増す選手たちをどう起用していくかは、指揮官にとっても腕の見せ所となる。桶谷HCは「前半はプレータイムをシェアしながら、どの選手、組み合わせがいいかを探り、エンドオブゲームで誰が出るかが大切だと思っています。ただ、今季は昨季の最後にはなかったロスター12人全員が試合に出ていて、ローテーション的にみんなリズムを取りにくそうにはしています。試合ごとに選手によってプレータイムが伸びる、伸びないが出てくるので、 その辺りのマネジメントはしっかりやりたいです」と自身の役割を見詰めた。

チーム内でのポジション争いも激化していく

一足早く復帰した田代直希主将からの助言

 牧と同じく昨シーズン途中に大怪我を負い、今季は開幕戦から一足先に復帰していた田代にも後輩の復帰の受け止めを聞いてみた。すると、同じ境遇にあることを念頭に「僕ら2人にとっての課題」について、こんな答えが帰ってきた。

 「リハビリをして、バスケから距離を取っていると、 チームを俯瞰しているからこそ見えることがあります。牧もそれをしっかり見て帰ってきました。今後チームとしてどう歩むべきなのか、牧や僕がどうアジャストしていくのかが大事になると思います」

 また、牧に対して「試合を重ねていく中で調整することが必要です。彼はシーズン最後にチャンピオンシップ(CS)進出が懸かる試合なり、CSの舞台なりで必要とされる選手にならないといけない。そこに照準を絞り、ゆっくり体と相談しながら調整していってほしいです」と主力の一人としての活躍を求めた。

 今後は東京五輪で代表に選ばれた207cmの日本人ビッグマン、渡邉飛勇の復帰も見込まれる琉球。初のBリーグ制覇という明確な目標に向け、シーズン終盤に個々の選手、チーム全体としての完成度を着実に高めていきたいところだ。

©Basketball News 2for1

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