Bリーグ1部(B1)は3月30日と31日、各地でレギュラーシーズンの第29節が行われ、千葉ジェッツ(東地区3位)はホームの船橋アリーナで川崎ブレイブサンダース(中地区4位)と対戦。第1戦は91-77、第2戦は95-71とCS進出を争う川崎に2連勝を飾った。
第2戦では小川麻斗が両軍最多タイでキャリアハイを更新する19得点、富樫勇樹が17得点、原修太が16得点、アイラ・ブラウンが12得点、さらにはゼイビア・クックスが12得点12リバウンド8アシストとトリプルダブルに迫る活躍を見せた。
年明け以降18勝4敗 CSに向けて一気に加速
昨シーズン、千葉Jはレギュラーシーズンを53勝7敗で終え、勝率.883とB1史上最高勝率を記録した。シーズン中にはBリーグ最多となる24連勝を記録するなど、圧倒的な強さでレギュラーシーズンを駆け抜けた。琉球ゴールデンキングスにファイナルで敗れてしまったものの、その強さを継続して今シーズンを迎えると思われていた。
しかし、いざ今シーズンが開幕すると、原修太が足首の手術で開幕から欠場し、開幕節ではジョン・ムーニーが負傷し、約3週間の離脱。また12月には、 二上耀が左前十字靭帯断裂の大ケガ、戻ってきた原修太が左手を骨折するなど、主力に負傷者が続出。12月を終えた段階で13勝13敗の勝率5割とチャンピオンシップ進出すら危ぶまれる事態となっていた。
それでも、1月に入り徐々に負傷者も復帰すると、チームは一気に登り調子に。1月から2月にかけてリーグ戦で12連勝するなど、年明け以降は18勝4敗と圧倒。3月には昨季の主力であったクリストファー・スミスがチームに加入し、東アジアスーパーリーグ(EASL)優勝、そして琉球を48点差で下して天皇杯2連覇を達成。昨シーズンの勢いを取り戻していた。
川崎戦ではチーム内でトップ3の平均得点を誇るムーニーとスミスが欠場するなど苦戦が予想されたものの、第1戦では原が自己最多の25得点、第2戦では小川が同じく自己最多の19得点とステップアップ。ビッグマンが揃う川崎相手に、ホームで大きな連勝をつかんだ。
チームの好調の要因について、ジョン・パトリックHCは「このチームはステップアップをしなければいけない時に、必ず誰かがステップアップをする。ゼイビアや原がポジション関係なく、色々な選手をマークし、ボール運びもするなど、みんながパフォーマンスを上げているのでありがたい」と語り、選手の“for the team”の精神を称えた。
また、原も「CSに出れるか出れないかの際にいるのは自覚している。誰かが怪我しているから負けていくのはありえないと考えている」とチーム1人1人が責任感を持つことで、チームが好調を保てていると語った。若手の活躍についても、「(内尾)聡理も入ってすぐの時は、最後に出るぐらいと思っていたが、戦力になっている。また、小川や金近もやっと彼らの実力ぐらいのパフォーマンスを出せるようになってきているので、助かっている」と語り、重要な場面でステップアップする小川らの活躍に目を細める。
富樫が「大きな怪我を抱えている選手が多いからこそ、チームとして成長できる試合が続いている。5月にメンバーが揃った時にどのようなチームになれるかが楽しみ」と語っているように、成長を見せる若手選手と主力選手が100%の状態になった時、どんなチームに仕上がるのか。期待は高まる一方だ。
小川らが躍動 ディフェンス改善が好調の要因に
チームが好調な要因の一つとして、強固なディフェンスを取り戻したことが挙げられる。53勝を記録した昨シーズンは、ディフェンシブレーティングでリーグ3位を記録。今季はそれで14位まで下がっており、特に序盤戦では相手に多くの得点を許すことも少なくなかった。特に、ポイントガードからセンターまでマッチアップできる原修太など主力選手が不在の期間はディフェンス面で苦戦することも多かったが、そういった期間に小川や金近、内尾らがディフェンス面でも成長を見せたことは収穫だったといえる。
実際に、12月までの26試合では平均83.8失点を記録していたが、1月以降は平均79.0失点と約5点近く平均失点が減少。川崎戦でも2試合ともに失点を70点台に抑えており、昨シーズンの水準に近づいてきている。
原は「内尾と小川が前からディフェンスをしてくれていることで、自分は前から当たらずに(ハーフコートディフェンスに)フォーカスできるのはありがたい」とディフェンス面でも貢献を見せる若手選手を評価する。主力の入れ替わりによりディフェンスを変更している部分も多く、「試合相手によって変更をしている部分もあるので、完成度としては何%かはわからない」としつつ、チームのディフェンスへの意識が上がっていることに手応えを見せた。
琉球との再戦 富樫「チャレンジになる」
今週末の6日と7日にはアウェーで西地区首位・琉球ゴールデンキングスとの対戦を控えている千葉ジェッツ。天皇杯の決勝では千葉Jに屈辱的な敗北を喫しただけに、琉球としても気合いが入る対戦となるだろう。
琉球戦について富樫は「相手はかなり対策してくると思うので、自分たちがどれだけそれに対してできるかのチャレンジになる。ただ、この2試合でかなり大きなステップアップになったので、メンバーがいないことを言い訳せずに臨んでいきたい」と意気込む。パトリックHCは「うちのチームはサイズやタレントではリーグのトップではない」としつつ、「ファイティングスピリッツやスピードでは上の方にいる」とチームに自信を見せる。
天皇杯決勝ではスピードのミスマッチを突き、高確率の3Pショットを沈め、勝利を手にした千葉J。琉球とはCSでも対戦する可能性があるだけに、相手に自信を与えるような展開は避けたいところだ。ケガ人を多く抱える状況ではあるが、川崎戦のように他のメンバーがステップアップできれば連勝を伸ばせる可能性は十分にある。今週末の琉球との大一番、チームの真価が問われる対戦となりそうだ。
(田中 隼翔)