勝率5割復帰のファイティングイーグルス名古屋、初のCSへ望み 佐土原遼「残りの試合に全部勝てば可能性は全然ある」
ファイティングイーグルス名古屋の佐土原遼©Basketball News 2for1
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 Bリーグ1部(B1)は3月30日と31日、各地でレギュラーシーズンの第29節が行われ、ファイティングイーグルス名古屋(中地区5位)はアウェイで信州ブレイブウォリアーズ(同7位)と対戦。第1戦は76-69、第2戦は83-75と両日とも接戦を勝ちきり、敵地で貴重な連勝を飾った。

 第2戦でFE名古屋はアーロン・ヘンリーがキャリアハイとなる両軍最多の32得点、ルーク・エヴァンスが15得点9リバウンド、ジェレミー・ジョーンズが10得点を記録し、勝利に貢献した。

激しいディフェンスからミス誘発 信州に連勝

 FE名古屋は48試合を消化し、現在24勝24敗で中地区5位。5月から開催されるチャンピオンシップ(CS)に出場するためには、各地区の上位2チームに入るか、それら6チームを除いたチームの中で勝率が高い2チームに入る必要がある。FE名古屋はCS圏内に位置する同地区2位のシーホース三河(29勝19敗)とは5ゲーム差、ワイルドカード下位・島根スサノオマジック(28勝20敗)とは4ゲーム差につけており、CS進出への可能性を残している。

 信州戦を前に、同じくCSの枠を争うサンロッカーズ渋谷と島根スサノオマジックと対戦し、痛い3連敗を喫したFE名古屋。川辺泰三ヘッドコーチは、持ち前の「激しいディフェンスから攻撃のリズムを作ること」を40分間継続できなかったことを敗因として挙げていた。特に3月24日の島根戦では、ペリン・ビュフォード、安藤誓哉、ニック・ケイの「BIG3」に80失点を許し、75-97と大敗。平均スティール数がリーグ1位(7.9本)、平均失点の少なさがリーグ6位(74.9失点)とディフェンスから勝機をつかむFE名古屋にとって、守備の改善は急務となっていた。

 3連敗で迎えた3月27日の横浜ビーコルセアーズ戦。第1クォーターを22-24と2点ビハインドで終えるも、その後は会心の守備を披露。残りの3クォーターでわずか40失点、試合全体での横浜BCのフィールドゴール成功率を30.7%(23/75)に抑え、80-64で勝利していた。

その勢いのままに迎えた信州戦。第1戦では、持ち前の激しいディフェンスで9スティールからファストブレイクポイント17得点を記録。リバウンドでも信州の38本に対して52本(うちオフェンスリバウンド21本)と圧倒し、セカンドチャンスポイントでも25-8とアドバンテージを取った。第2戦では、同点で迎えた第4Qに相手から9個のターンオーバーを誘発。信州のファストブレイクポイントを試合全体で3得点に抑える堅守を披露し、接戦をものにした。

 第1戦後、14得点で勝利に貢献した佐土原遼は終盤戦に向けてのフォーカスについてこう語った。

 「まずは連勝を伸ばすこと。自分たちはCS(チャンピオンシップ)を目指しているので、CSに行かないといけないと思っている。同地区の相手とは負けられない戦いだったこともあり、チーム全体としても負けちゃいけないという雰囲気が試合前からあった。島根戦の時は、ディフェンスの部分で穴ができてしまって、自分たちのやりたいバスケットができなかった。でも横浜戦でカムバックして勝ちも取れたし、内容としても自分たちのやりたいような試合展開に持っていけて、自分たちらしい勝ち方ができた。その水曜日のイメージがある状態でこの試合(信州戦)に臨めたので、『これをやれば勝てる』というのがある程度全員にあったと思う」

 キャプテンの笹山貴哉「先週の水曜日に渋谷さんと当たって、土日に島根さんと当たって、勝たないといけない試合を3連敗で終えてしまった。チャンピオンシップがかかっている中での試合。絶対に2連勝をしないといけないというところを、僕だけじゃなくてチームとして共通意識が強かった」と信州戦への思いを口にし、チーム全体が勝利に向けて1つになっていたことを強調した。

キャプテンの笹山貴哉©Basketball News 2for1

大混戦のCS争い 他の愛知勢に続けるか

 3連勝で24勝24敗と勝率を5割に戻したファイティングイーグルス名古屋だが、初のCS進出への道のりは依然として険しい。同地区では2位の三河との間に川崎ブレイブサンダース(26勝22敗)とSR渋谷(26勝22敗)がおり、ワイルドカード争いでも島根との間に広島ドラゴンフライズ(27勝21敗)など6チームがひしめく大混戦となっている。

 ライバルも多くいる中で、CS進出を果たすためには何が必要なのか。笹山は話す。

 「まずは自分たちは勝って自力でチャンピオンシップを目指すのが一番。まだまだ厳しい位置にいるので簡単ではないと思うが、チャンピオンシップというひとつの目標に対して全員が同じ方向を向くことが大事だと思う。誰か一人がそっぽを向いてしまうとチームとしてはまとまらない。キャプテンとしてもポイントガードとしても、そういう部分は選手たちを常々見てまとめていきたい」

 実際に信州との第2戦では、3Qまでなかなか波に乗れず接戦が続く中で、チームが好プレーを決めるとベンチも大きく盛り上がるなど、チームが一つにまとまっていた。チームがまとまっていたことでアウェイ会場でも主力選手たちも気持ちよくプレーができ、エースのアーロン・ヘンリーが自己最多32得点を記録するなど、ベストなパフォーマンスを披露できていた。

 昨シーズンに広島でCSを経験している佐土原は、CSを目指す上ではチームのマインドセットが重要だと指摘する。

 「(ワイルドカードの島根まで)5ゲームというのは確かに厳しい状態ではあるが、ここから残りの試合に全部勝てば可能性は全然あると思っている。(信州戦を含めて)14試合全部勝つことにフォーカスして、みんなが何をしなければいけないのか、常に考えながら練習などでも話をしている。チーム全体がまだ諦めていないをコートでも体現できているのかなと思う。ここから残りの試合に勝ったらCSに行けるということをモチベーションにして、みんな陽気な感じになっている」

 レギュラーシーズン12試合を残し、CS進出の望みをつないでいるファイティングイーグルス名古屋。すでに昨シーズンの勝利数(22勝)を超えており、B1昇格2年目にして飛躍のシーズンとなっている。三遠ネオフェニックス、三河、名古屋ダイヤモンドドルフィンズの3チームがCS圏内にいる中で、愛知勢として4チーム目のCS進出を果たすことができるか。残り12戦、“FEインテンシティ”に期待したい。

(芋川 史貴)

初のCS進出を目指すFE名古屋©Basketball News 2for1

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