“3BIG”が復活した島根スサノオマジック ライバル琉球に連敗も「地力」の高さ証明
琉球戦で復帰した島根スサノオマジックのぺリン・ビュフォード(右)©Basketball News 2for1
沖縄を拠点とするフリーランス記者で2for1沖縄支局長。沖縄の地元新聞で琉球ゴールデンキングスや東京五輪を3年間担当し、退職後もキングスを中心に沖縄スポーツの取材を続ける。趣味はNBA観戦。好物はヤギ汁。

 Bリーグ西地区の島根スサノオマジックは11、12の両日、沖縄アリーナで同地区のライバルである琉球ゴールデンキングスと対戦し、77ー80、84ー91で連敗を喫した。通算成績は8勝6敗となり、西地区6位となっている。

 ペリン・ビュフォードハッサン・マーティンという主力の外国籍選手の負傷が続き、11月に入ってから中地区首位の川崎ブレイブサンダースにもホームで連敗するなど、厳しい戦いが続く。しかし、琉球との初戦では絶対的エースであるビュフォードが6試合ぶりに復帰。2戦目で早速トリブルダブルを記録して存在感を示し、チームにとって明るい材料となった。

8勝6敗でバイウィークを迎えた島根スサノオマジック©Basketball News 2for1

脅威の粘り ビュフォードら活躍し二度追い詰める

 琉球との第2戦は前半を43ー44の1点ビハインドで折り返したが、第3Qで琉球のピックプレーに手を焼き、クオーター残り約4分でこの試合最大となる14点差を付けられた。しかし、津山尚大が3Pを沈めて反撃の狼煙を上げると、ニック・ケイが3Pとフリースローで連続10得点を挙げて6点差まで詰め寄った。

 クオーターをまたいで琉球の松脇圭志に3連続3Pを決められ、再び12点差まで広げられたが、再び食らい付く。ビュフォードがピック&ロールからゴールにダイブしたウィリアムス・ニカにアシストしたり、ドライブからレイアップをねじ込んだりして追いすがる。さらに安藤誓哉が3Pなどで続き、残り約4分で1点差に。最後は琉球に逃げ切られたが、久しぶりにビュフォード、ケイ、安藤という“BIG3”が揃い踏みし、脅威の粘りを見せた。

 特にビュフォードは第4Q中盤で足をつったのか、コート上でしゃがみ込んで表情を歪める場面もあったが、21得点、10リバウンド、13アシストという圧巻のスタッツを残した。

 ポール・ヘナレHC「試合を通してなんとか追い付こうとする作業をずっと繰り返していました。ただ追い付きかけた時に3Pを決められてしまったりして、苦しみました。相手の得点を連続でストップすることができなかったことが敗因です」と悔しそうに振り返ったが、ビュフォードの復帰については「トリプルダブルだったので申し分ない。彼のような素晴らしい選手が戻ってきて、チームの後押しになりました」と満足げに語った。

 この日4本の3Pを沈めて12得点を挙げた津山も「ケイ、安藤、ビュフォードというエース3人がいる中で、そのうちの1人が戻ってきたことは相当大きい。ペリンがいない中での数試合で僕たちもステップアップしてきたつもりなので、うまくフィットしてチームとしてバスケができたんじゃないかと思います」と好感触を示した。

会見で話すポール・ヘナレHC©Basketball News 2for1

「波のあるチーム」も得点、失点、リバウンドで10位前後

 一方、昨シーズンはレギュラーシーズンで一度も同カードで連敗をせず、2シーズン連続となるチャンピオンシップ(CS)進出を果たした島根だが、今季は既に2度、同カードで連敗している。この現状について、津山は危機感を示した。

 「今季は波のあるチームだと思います。西地区は各チームがどんどん勝ち上がってくるので、この時期からしっかりやっていかないとプレーオフ進出も危うくなる。しっかり自分たちのスタイルを確立し、ディフェンスをもっともっと強化してやっていかないといけないという印象です」

 ただ、これまでの成績の詳細を見ると、そこまで悲観的になるような状況ではない。

 黒星を喫したのは琉球と川崎の他、中地区3位のシーホース三河、西地区4位の長崎ヴェルカと各地区の上位陣のみで、下位チーム相手の試合で取りこぼしはない。主要なスタッツでも平均得点80.9点はリーグ9位、平均失点78.4点はリーグ11位、平均リバウンド40.4本はリーグ9位につけており、ターンオーバー数の10.4に至ってはリーグで3番目に少ないのだ。

 ビュフォードとマーティンが14試合中5試合を欠場したことを考えれば、ほとんどの主力が残留した今シーズンも地力は高いと見て間違いないだろう。

チームの現状に危機感を示す津山尚大©Basketball News 2for1

バイウィークで健康に 津山は成長誓う

 ヘナレHCが「複数試合、選手が欠けている状態が続いたので、この休暇を使って選手たちの怪我を癒やしたいです」と話したように、3週間近いバイウィークで、まずはチームの健康状態を取り戻すことが優先事項となる。

 さらに津山は「琉球はリバウンドが強くて、昨日よりも今日の方がある程度は戦えました。ただ、リバウンドにいく前のピック&ロールにディフェンスや、ボックスアウトの部分はもっと精度を高くやっていかないといけない。このあたりをバイウィークの中で取り組みたいです」と具体的な改善事項も挙げる。その他、個人としての成長もテーマに掲げた。

 「昨シーズンのCSのアルバルク東京戦でペリンが一人孤立している状態が続いたり、今季ペリンが怪我をしている中で誓哉さんが一人頑張っていたりするのを見て、僕もしっかり得点を取らないといけないと感じます。ピック&ロールをうまく使いながらペリンや誓哉さんにボールムーブすることも意識していけたら、もっとチームオフェンスが回っていくと思います」

 バイウィークでマーティンが怪我から復帰し、津山らウイング陣もステップアップできれば、リーグ再開後に島根が西地区の上位に上がっていく可能性は十分にある。

(長嶺 真輝)

©Basketball News 2for1

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