安藤誓哉「チームのモーターに」自己最多24得点で島根スサノオマジックを開幕白星に導く
自己最多24得点を挙げた島根・安藤(左)©Basketball News 2for1
バスケットボールニュース2for1代表。スポーツニッポン新聞社の編集者・記者を経て、2020年に現メディアを立ち上げる。日本代表やBリーグからNBA、WNBAまで国内外さまざまなバスケイベントを取材。スポーツライターとしても活動している。

 Bリーグ1部は2日、各地で第1節が行われ、島根スサノオマジックはホームで千葉ジェッツに100-94で勝利。今季から加入した安藤誓哉は24得点5アシスト、金丸晃輔は3ポイントシュート3本を沈め11得点と、新天地でデビューを果たした2選手が躍動。リード・トラビスはゲームハイとなる26得点14リバウンドの活躍を見せ、島根が昨季王者との“点取り合戦”を制し、開幕戦勝利をつかみ取った。

金丸が得意の3ポイントでシーズン初得点

 第1クオーター、金丸がいきなり3ポイントを沈め、幸先の良いスタートを切った島根が31得点と大爆発。金丸が3本の3ポイントを決め9得点と気を吐き、島根が8点リードと流れを作る。

 第2クオーター、島根は後藤翔平のレイアップシュートで33-23とリードを10点に広げるも、千葉は新加入・クリストファー・スミスやギャビン・エドワーズがインサイドで得点を重ね、14-2のランを決めるなど反撃。残り6分32秒には、千葉が35-37と2点のリードを奪った。島根も負けじとぺリン・ビュフォードや安藤の3ポイントなどで8-0のランを展開するなどやり返し、49-43と6点リードで折り返す。

第1クオーターで9得点を挙げた島根・金丸(左)©Basketball News 2for1

 第3クオーター、序盤からお互いが得点を重ね一進一退の展開となるも、島根は安藤がこのクオーターだけで9得点と本領発揮。島根の4点リードで最終クオーターへ突入する。

 第4クオーター、最初のポゼッションで千葉のスミスが3ポイントを沈めると、次のポゼッションでは島根・安藤がお返しの3ポイントを決めるなど、両者譲らないシーソーゲームが続く。残り6分24秒、島根は安藤のパスからトラビスがシュートを決め6点差とすると、次のオフェンスでは新加入でオーストラリア代表のニック・ケイが3ポイントを沈めリードを9点に広げる。千葉はこの日チーム最多22得点を挙げた富樫勇樹のジャンプシュートなどで応戦するも、残り2分59秒には島根のトラビスが速攻からダンクシュートを叩き込み、リードはこの日最大の12点に。最後までリードを守り切った島根が100-94と100点ゲームで昨季王者に勝利した。

試合最多の26得点を決めた島根・リード トラビス ©Basketball News 2for1

「走るバスケ」を新たなスタイルに

 千葉との走り合いを制した島根が、2021-22シーズン開幕戦を白星で飾った。

 今季から指揮を執るポール・ヘナレHCは「タフな試合だった。千葉は昨季の王者だし、我々は勝つためにすべてをうまくやらないといけなかった。勝てたことはうれしいけど、明日はもっとタフな試合になると思う」と試合を総括。

 ハイペースで得点を重ね、オフェンスリバウンドも千葉の6に対し19と圧倒したことに関しては、「セカンドチャンスで得点を取ることに集中していました。それが試合での差を生んだポイントだったかもしれません」と納得の表情を見せた。

 新加入の安藤・金丸については「彼らのもっともよかった点は我々のシステムや、特にディフェンスの観点でやろうとしていることをしっかりと理解し実行してくれたことです。彼らをコーチすることができて光栄でした。シーズンが進むにつれて、よりシステムの理解度が深まりプレーしやすくなっていくと思います」と称賛した。

試合後、記者の質問に答える島根・ヘナレHC(右) ©Basketball News 2for1
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「全員でやらないと40分持たない」

 11得点を挙げた金丸は「本当に大事な一戦になると思っていた。千葉はゲームを通して40分間走ってくるチームなので、その波にのまれないように、僕たちは自分たちのスタイルを40分貫こうと意識して今日は挑みました」とデビュー戦を振り返る。

 先制点を自身の武器である3ポイントで決め、第1クオーターで9得点を挙げるなど流れをつくった金丸。「出だしはいい感じで打ってそれが入っていたので、チームを勢いづけられたと思います」と手ごたえを口にした。

 ヘナレHCの走るバスケットという新たなスタイルに挑戦することについては「本当にきついですけど、疲れたら交代すればいいだけなんで。出てる以上は100%出さないと。チームスポーツなので。体力的に厳しい時間帯も来ると思うが、そういうところで集中力を切らさずにどれだけ踏ん張れるかが、このスタイルを貫いていくのに大事なことだと思う。このバスケットは全員でやらないと40分持たないので。これからも全員でやっていく」とコメント。チーム一丸で戦うことの重要性を説いた。

試合後、記者の質問に答える島根・金丸 ©Basketball News 2for1

アップテンポな中で得点力を生かす

 後半だけで17得点と勝負強さを見せつけた安藤は「勝利は本当にうれしい。『覚悟』を一人一人が持って臨んで、みなさんに見てもらえたかなと思います」と安どの表情。「ファンの前でプレーできてよかった」と会場に駆け付けた1709人のブースターに感謝した。

 アルバルク東京在籍時とはまったく違う、アップテンポなバスケットでの司令塔を務める安藤。「僕らのスタイルは『バズソー』といってチェンソーみたいに、オフェンスからディフェンスから回り続けるように、というスタイルなんですけど、僕がその『バズゾー』のモーターになれるようにしていきたい」と新たな役割にも意欲を見せる。

 この試合ではフィールドゴール17本中10本決め、自己最多の24得点と積極的な姿勢を見せた。

 「(自分で得点を狙って)打てるところで打たないと、チームのリズムにはならないので。積極的なスタイルでの状況判断をしていけるように今シーズンはやっていきたいです」と自ら積極的に攻めていくことを宣言。「今日は島根スサノオマジックのスタイルをまずは少し見せられたんじゃないかと思います」と自信をのぞかせた。

試合後、記者の質問に答える島根・安藤 ©Basketball News 2for1

千葉・富樫「修正して勝って帰れれば」

 一方、惜しくも黒星スタートとなった千葉。

 チーム最多22得点と奮闘した富樫は「聞いていた通り(島根は)トランジションのチームで走り負けたな、という印象でした」と試合を振り返る。「しっかり明日(3日)修正して、勝って帰れればいいと思います」と前を向いた。

試合後、記者の質問に答える千葉・富樫©Basketball News 2for1

(写真=吉本宗一朗、文=滝澤俊之)

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