目次
ロスターそろい踏みでキャンプ始動
Bリーグ1部の信州ブレイブウォリアーズは11日、長野市内の体育館でチーム全体練習を行った。アンソニー・マクヘンリーとウェイン・マーシャル、勝久マイケルヘッドコーチ(HC)がこの日からチームに合流。2021-22シーズンのロスター12人全員が揃い、他チームに先駆けてトレーニングキャンプをスタートさせた。
キャンプ初日から強度の高い練習メニューでみっちり3時間汗を流した。
「去年のトレーニングキャンプは7,8人でやったっていうことを考えたら、この時期に全員合流できていることはとてもありがたい」と勝久HCは笑みを浮かべる。
マクヘンリー新加入3人に「才能ある」
B1昇格1年目となった昨シーズンは20勝34敗(勝率37.0%)の成績を残した信州。序盤は6連敗をするなど苦戦したが、B1昇格初年度のチームとしては史上最多の20勝を挙げ、平均失点では宇都宮ブレックスに次いでリーグ2番目の少なさを記録するなど収穫も多いシーズンとなった。
今オフには昨シーズンのコアメンバーの残留に加え、新たなピースを獲得。昨シーズン富山グラウジーズで平均9.7得点、3P成功率43.8%を記録した23歳の岡田侑大、滋賀レイクスターズで平均4.8得点、フィールドゴール成功率48.8%を記録した23歳の前田怜緒、シーホース三河で平均2.9得点、3P成功率34.0%を記録した25歳の熊谷航の3選手が新たにチームに加わり、ファンの期待値も高まる一方だ。
チームの大黒柱であるマクヘンリーはキャンプ初日を終えて「ワクワクしているよ。みんながモチベーションを高く持ってプレーしているし、一歩ずつだけど面白いチームになると思う」とチームへの手ごたえを口にする。
「新加入選手たちは才能がある。昨シーズン対戦した時もそう思ったし、彼らがチームに馴染んでいけばどんどんチームが良くなっていくと思うよ」と新加入の3選手にも期待を寄せた。
「我々のリストのトップにいた3人」
プレジデント・オブ・バスケットボール・オペレーションズとして、コーチングだけではなくチームの編成も一任されている勝久HC。今オフの補強のポイントとしては、ディフェンスもオフェンスも両方できる「2Way player」であることを重視した。
「新加入の3人は3人とも我々のリストのトップにいた3人。そんなにうまくいくのはなかなかないというか、(3選手を獲得できて)非常にうれしく思っている」と興奮しながら振り返る。
「3人ともルーキーではない、まだまだこれからの選手。もっともっとできると思っている選手。ちょうど脂が乗ってくる、でもまだまだ成長できる、というタイミングで我々のチームに来てくれた。ここで成長してもらいたい。今後もこのチームのコアとして活躍してほしいという思いがあります。非常にワクワクしています」
「女子は本当に美しいバスケットをしていた」
この夏はバスケットボール日本代表の活躍にも刺激を受けた。
女子日本代表は東京オリンピックで史上初の銀メダルを獲得。平均身長176㎝と出場12か国の中で2番目に小さかった日本は、機動力を生かしたディフェンスと優れたパスワーク、そして1試合平均31.7本放たれた正確無比な3Pシュートを武器に、オリンピック7連覇を成し遂げたアメリカまであと一歩のところまで迫った。
女子日本代表を率いたトム・ホーバスHCと勝久HCが目指すバスケットボールには共通点も多い。運動量の多いディフェンスが武器という点はもちろん、3Pシュートを多投するスタイルもリンクしている。信州は昨シーズンB1でトップとなる平均31.4本の3Pを試投。2番目に試投が多かった滋賀(27.7本)よりも約4本多く3Pを放っていた。
「特に女子は本当に美しいバスケットをしていたと思いました」と勝久HCは日本代表の快挙に舌を巻く。
ホーバスHCから「プレーを盗んだことも」
「今日のミーティングでも例として使わせてもらうためにチームで取り上げました。『Play the right way』(正しくプレーする)とはどういうことなのか、という話の中で取り上げさせてもらった。メンタルもエナジーも100%正しいことに向けてフォーカスすること。特に女子の日本代表は純粋にチームとして一丸となって、目標に向かってフォーカスしていた。そして素晴らしいバスケットをしていた。トム(ホーバス)コーチからも過去にもプレーを盗んだこともありますし、とても素晴らしいコーチだと思いますし、とても素晴らしいチームだと思いました。学ぶことは多いです」
B1での2シーズン目に向けて始動した信州。
「日本一に向かって日々成長していく。なれるチームのベストになれるように目標に向かっていく。毎日成長して、どこまで強くなれるか。特別なチームになれる可能性があるチームだと思っている」
「日本一グレートなチームに」。勝久HCの長い旅の第2章が始まる。(滝澤俊之)