8月25日からFIBA男子ワールドカップ(以下、W杯)の沖縄ラウンドに臨む日本代表(FIBAランキング36位)は2、4の両日、群馬県のオープンハウスアリーナ太田でニュージーランド(同26位)と国際強化試合を行った。第1戦はディフェンスの強度とリバウンドで上回り、79ー72で逆転勝利。第2戦は逆にリバウンド21本対45本で圧倒され、75ー94で敗れた。
206cmの渡邊雄太と208cmのジョシュ・ホーキンソンが不在で完全な戦力が整った訳ではないが、昨シーズンのBリーグ終盤戦で足を負傷したエースガードの一人、河村勇輝が約2カ月ぶりに実戦に復帰。早速攻守に存在感を示した。
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渡邉飛勇らとのコンビネーションで沸かす
第1戦で初めて出番が訪れたのは、8点ビハインドだった第1Qの残り1分3秒。このクオーターは少ない時間ではあったが、エンドライン沿いの鋭いドライブから川真田紘也にパスを合わせようとしたり、コートを横にまたぐパスで原修太に3Pシュートを打たせたりと、いずれも得点にはつながらなかったが、早速オフェンスの司令塔として存在感を示した。
第2Qに入ると、相手のディフェンス網の間を割ってカットインを仕掛け、ダイブした渡邉飛勇にノールックパスを送ってイージーゴールを演出。4千人以上が詰め掛けた会場を沸かせた。同様な形で馬場雄大にもアシストしたほか、トランジションからワンパスで吉井裕鷹のレイアップにつなげるなど多彩なプレーでチームをけん引した。ディフェンスでも持ち味のハードなプレッシャーを掛ける場面が多く見られた。
日本は12点差を追ってこのクオーターを迎えたが、河村を中心に流れを引き寄せたことで逆転し、後半は流れを渡さず勝ち切った。
「ムズムズしてた」7アシストもターンオーバーに課題
この試合に18分8秒出場して7得点、7アシスト、2スティールを記録した河村。試合後の会場インタビューでは「2カ月間、試合に出ることができずにムズムズしていたので、楽しかったです。これからもっと上手くなっていきたいと思います」と充実感をのぞかせた。
プレーについては「僕の強みはディフェンスであったり、ペイントアタックをすることで日本に流れを持ってくることだと思っているので、そこは重点的にプレーしました」と振り返った。一方、チーム最多の4ターンオーバーを記録したことを念頭に「アシストは良かったけど、ターンオーバーでゲームを崩してしまった時間帯もあったので、そこはもっと修正していきたいと思います」と反省も口にした。
第2戦は自らゴール狙い10得点、3アシスト
第2戦はスターティングメンバーとして出場。しかし第1戦から格段にプレーの強度を高めたニュージーランドに序盤から先行を許す。自らバスケットカウントワンスローを決めるなど好プレーは見せたが、チームは苦しい立ち上がりとなった。
間合いを詰める相手の激しいディフェンスも影響し、この日はドライブで自ら得点するシーンが増加。2ポイントとフリースローで10得点を挙げ、アシストは3を記録した。
第1戦で課題に挙げたターンオーバーはゼロ。ただ終始劣勢の中での試合となり、自らのゲームコントロールについては「僕がオールコートでボールを持ってコントロールしないといけない時間帯があったにも関わらず、(他の選手に)任してしまったことがあったのは一つ反省。W杯本番ではなく、早めの段階でそれに気付けたことは収穫なんじゃないかなと思います」と語り、新たな課題を成長につなげる考えだ。
約2カ月のリハビリは「いい期間だった」
久しぶりの実戦を終え、体の感覚は「まだまだ」という。「2日間で思った以上に体の疲れを感じました。ゲームでの体力は慣れが必要かなと思います」と続けた。2試合で11本中1本の成功にとどまった3Pの成功率が示す通り、実戦でのシュートタッチも普段のレベルに戻すのにはもう少し時間がかかる見込みだ。
ただ、約2カ月のリハビリ期間は得るものもあったようだ。
「バスケとウエイトのトレーニングは両立にすごく難しさがあって、ウエイトを重点的にやればやるほど、疲労のコントロールであったり、バスケの質がちょっと下がってしまったりすることもあるので。そういった意味では、バスケができないことで体の強さが良くなったと思う。僕にとっていい期間になったかなと思います」
次の強化試合となる15日のアンゴラ戦からは、得点力の高い渡邊雄太やホーキンソンも合流する見通しだ。この2人の合流時には「彼らがファーストオプションになりながら、僕は逆にロールプレーヤーに徹する時間帯とかも増えてくると思う」と役割の変化も想定している河村。いずれにしろ、若きリーダーの活躍は日本がW杯本番で勝利を重ねるための必須条件となるため、残り3試合の強化試合でできる限り復調してもらいたいところだ。
(長嶺 真輝)