【バスケ日本代表】「たくさんのNBAチームが僕に興味を」 ジョシュ・ホーキンソンがパリ五輪で世界に示した存在感【インタビュー前編】
インタビュー中に笑顔を見せるジョシュ・ホーキンソン©Basketball News 2for1
バスケットボールニュース2for1代表。スポーツニッポン新聞社の編集者・記者を経て、2020年に現メディアを立ち上げる。日本代表やBリーグからNBA、WNBAまで国内外さまざまなバスケイベントを取材。スポーツライターとしても活動している。

 Bリーグ1部はオールスターゲームを終え、23日からレギュラーシーズンの後半戦がスタートする。中地区4位のサンロッカーズ渋谷は前半戦30試合を終えて18勝12敗としており、チャンピオンシップ(CS)進出圏内の千葉ジェッツに1ゲーム差に迫るなど好調を維持している。

 そんなSR渋谷を大黒柱として支えるのがジョシュ・ホーキンソンだ。29歳のホーキンソンは今季はここまで全30試合に出場し、平均18.1得点(リーグ5位)、9.0リバウンド(同7位)、1.2ブロック(同5位)、フィールドゴール成功率49.9%を記録。オールスターのファン投票では千葉Jの富樫勇樹に次いで全体2位の得票数を獲得しており、名実ともに日本バスケットボール界のスーパースターの座を確立している。

 2023年には日本国籍を取得し、昨夏には日本代表としてパリ五輪にも出場したホーキンソン。日本のインサイドを支えるビッグマンに、バスケットボールニュース2for1では単独インタビューを敢行。パリ五輪での戦いや日本バスケットボール界への思い、SR渋谷で挑む今シーズンへの意気込みなどを語ってくれた。

練習で汗を流すホーキンソン©Basketball News 2for1

「今でもあの試合のことを考える」 勝利目前だったフランス戦

 日本国籍取得後、日本代表の主力として定着したホーキンソン。23年に開催されたワールドカップでは5試合に先発出場し、チームトップとなる平均21.0得点10.8リバウンドを記録。W杯で日本が過去最多となる3勝を挙げる立役者となり、パリ五輪出場権獲得に大きく貢献した。

 8強入りを目標に掲げたパリ五輪では未勝利に終わったものの、3試合で平均18.3得点(大会8位)9.7リバウンド(同2位)を記録。NBA選手が揃う世界トップレベルの強豪国相手でも、その実力が通用することを証明した。

 自身初の五輪出場については「素晴らしい経験になった」とホーキンソンは話す。

 「勝ちたかったし、目標を達成したいと思っていたけど、そこには届かなかった。でも、素晴らしい思い出がたくさんあります。世界に我々(日本)がいるべき場所がオリンピックだということを示すことができたと思う。世界の強豪チームと競い合うことができた」

 1次ラウンド3試合の中でも、フランス戦は勝利にあと一歩というところまで迫った。世界9位(当時)を相手に序盤から接戦を繰り広げ、第4クォーターにはエースの八村塁が退場するアクシデントに見舞われながらも、河村勇輝とホーキンソンのコンビを中心に戦い続けた日本。残り16.4秒で4点リードと勝利は目前だったものの、終盤に相手にビッグプレーを許し、延長戦の末90-94で敗れた。

 「フランス戦は我々が勝つべき試合だったと思う。正直、今でもあの試合のことを考えることがあります」

 悔しそうな表情を浮かべながら、ホーキンソンは振り返る。

 「クレイジーな試合でした。(八村)塁の退場があって、その後も全員で戦い続けていた。(チームで)スリーポイントも決めて。試合の終盤、(河村)勇輝がドライブをして、僕が(ビクター)ウェンバンヤマ越しにフローターを決めた。そのシーンの写真をインスタグラムにもアップしたんだけど、その写真を見てみると、本当に彼(ウェンバンヤマ)にブロックされる寸前だったんです。ボールのすぐ下に彼の手があって。『このブロックを超えられるわけない』と思っていたんですけど、シュートを決めることができた。

 その後、試合の最後は不運な形になってしまった。あれ(河村のプレー)がファウルだったかどうかは分からない。もしかしたら少しホームの地の利があったのかもしれない。フランスのファンに、フランスのレフリー。でも、そういうものだと思います。結局、フランスが延長で勝利して、すごく辛かったけど、いい試合だったと思います」

 日本戦の勝利で勢いに乗ったフランスは決勝トーナメントに進出し、最終的には決勝に進出。金メダルをかけた戦いではアメリカに87-98で敗れたものの、強豪ぞろいの大会で銀メダルを獲得し、開催国の意地を見せつけた。

 「(フランス戦は)とても苦い経験だった。特に、フランスが最終的には銀メダルを獲っていて、決勝でアメリカにも勝ちそうだったことを考えるとね。そういったことを考えると、自分たちがどれだけオリンピックで勝つことや、決勝トーナメントに進むことに近かったかがわかる。ただ、試合の結果を変えるためには1つのポゼッションや1つのプレーが大事になります。それがパリ五輪で我々が受け取ったメッセージだと思う」 

日本代表としてチームを支える©Basketball News 2for1

「注目されることは嬉しかった」 米ESPNで特集

 パリ五輪で勝利は挙げられなかったものの、「アカツキジャパン」は世界から注目される存在になった。河村勇輝は大会後にNBAメンフィス・グリズリーズと2ウェイ契約を結び、NBAデビューを果たした。富永啓生はNBA下部Gリーグのインディアナ・マッドアンツでプレーし、NBAへの挑戦を続けている。

 インサイドの大黒柱として日本を支えたホーキンソンにも当然、世界中から注目が集まった。アメリカのスポーツ専門放送局「ESPN」は「オリンピック2024 NBA入りが期待される国際的な注目選手」と題し、パリ五輪で活躍を見せたNBA以外に所属する選手たちの特集記事を掲載。7人の選手の中の1人としてホーキンソンが紹介され、「NBAでバックアップのセンターなどとしてプレーできる」との評価を受けていた。

 「たくさんの選手の中で注目されることは嬉しかったですね。(パリ五輪での)いくつかのスタッツではレブロン(ジェームズ)やステフ・カリー、ヤニス(アデトクンボ)などと一緒にジョシュ・ホーキンソンの名前が載っていましたから。僕はNBAでプレーしたことがなかったけど、パリ五輪ではそういった選手たちと対戦して、いいプレーができて、自分がどういう選手か知ってもらうことができた。とても嬉しかったです」

 大学卒業後にはNBAでプレーすることは叶わず、日本でプロキャリアをスタートさせたホーキンソンだったが、パリ五輪での活躍によって複数のNBAチームから連絡を受けたという。

 「たくさんのNBAチームが僕にすごく興味を持ってくれているとエージェントから聞きました」

 詳細は明かさなかったものの、「たくさんのNBAのチームが自分に興味を持ってくれていたり、(NBAチーム関係者からの)フィードバックを聞いたりすることはとてもうれしかった」といい、「自分のプレーをいいと思ってくれていて、ポジティブな感想をたくさんもらいました」と笑顔を見せた。

 献身的なプレーで日本代表の躍進を支えたホーキンソン。母国を離れ、遠く離れた日本で腕を磨き続けてきただけに、その努力が報われた喜びはひとしおだったに違いない。

(滝澤俊之)

インタビューを受けるホーキンソン©Basketball News 2for1
インタビュー後編はこちら

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