信州ブレイブウォリアーズ、ロスター8人で貴重な白星!新たな「武器」が光明に
31得点を記録した信州のジョシュ・ホーキンソン(左)©Basketball News 2for1
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 Bリーグ1部(B1)信州ブレイブウォリアーズは12月3日、4日の2日間、アウェーで京都ハンナリーズと対戦。ケガ人に苦しむ信州は第1戦、生原秀将と岡田侑大が試合中にケガに見舞われ離脱する事態に。最後まで奮闘するも、71-72で惜しくも敗れた。続く第2戦、前日にケガ人が出たこともあり、今シーズン最小となるロスター登録8人で挑んだ信州。全選手が出場し得点を決める全員プレーで90-85と勝利。緊急事態の中、エナジーあふれるプレーを披露した信州が連敗を5で止める大きな白星をつかみ取った。

第1戦 岡田&生原も離脱 1点差で惜敗

 大黒柱のウェイン・マーシャルが右膝外側半月板断裂で10月に戦線を離脱するという痛手を負っている信州。京都との2試合では、先発ポイントガードを務める熊谷航もコンディション不良で不在となり、ロスター10人という状況での試合となった。

 第1戦、第2クォーター(Q)序盤に生原が負傷。熊谷に続き生原が離脱することになり、PGポジションの選手を欠いての戦いとなった。後半、脳震盪の疑いがある岡田も戦線を離脱。シーソーゲームの展開の中、最後まで京都と張り合うもあと一歩及ばなかった。

 司令塔の役割を担える選手を3人失った信州は、前田怜緒が中心となってゲームを組み立てた。勝久マイケルHCは「(生原と岡田の離脱で)何とか怜緒(前田)が頑張り続けるしかない状況になったので、そこでもうちょっとマック(アンソニー・マクヘンリー)にボール運びをさせたりとか、明日(第2戦)に向けてやっていかないといけないことはあると思います」と総括。普段と違うポジションで奮闘した前田については「今日(第1戦)に関しては怜緒もとても集中していましたし、疲れていても、もっともっとエナジーを出そうと頑張っているのは見えました。なので、そのまま最後まで彼が頑張り続けました」と労った。

司令塔としてチームをけん引した前田怜緒©Basketball News 2for1

第2戦 ホーキンソンが31得点 全員バスケで執念見せた

 翌日の第2戦、前日に負傷した生原、岡田を欠き、8人での対戦を余儀なくされた信州。第1Q、序盤から点を取り合う展開になるも、ホーキンソンやサイモン拓海の連続3ポイントシュートなど食らいつく。続く第2Qもホーキンソンを中心に得点を重ね、50-45と5点リードでハイスコアリングな展開となった前半を終えた。

 後半、両者一歩も譲らない展開となり、70-70の同点で迎えた第4Q。京都は前日17得点の活躍を見せた久保田義章やエースのジェロード・ユトフらが得点を重ねる。対する信州も、好調のホーキンソンやサイモンが外からシュートを沈め、執念を見せる。85-85で迎えた残り23秒、栗原ルイスが左コーナーから3Pを沈めると、残り3秒にはホーキンソンがダメ押しのスラムダンク。厳しい状況の中で、選手全員がステップアップした信州が、敵地で貴重な勝利を手にした。

13得点の活躍を見せた栗原ルイス©Basketball News 2for1

 コートを駆け回り、シーズンハイ31得点と気を吐いたホーキンソン。試合後は流暢な日本語で「勝つことができて本当に嬉しいです。ファンの皆さん、応援してくれてありがとうございました。これからも頑張ります」と勝利の喜びとブースターへの感謝を述べた。

©Basketball News 2for1

 勝久HCは「けが人がどんどん出ている中で、状況がどんどん悪くなって、その中で今のところ今季一番厳しい状況だったかもしれない中で、みんなが勝利を信じながらチームでプレーした。会場にいる信州ブースターの皆さんと一緒に僕も感動しています。選手たちを本当に誇らしく思っています」と選手たちの健闘をたたえた。

 また、前日に続きPGの役割を担った前田は8得点4R9Aの活躍。勝久HCは「タイムアウトのたびに彼の目を見ると全然 (ミスなどがあっても)メンタルがやられたりしてなくて、むしろ仲間に『次のプレー』と常に声をかけていた。どんなにミスがあっても最後、そういうメンタルでやり続けたからこそ、彼も最後に何度もビッグプレーをしましたし、本当によくやってくれました」と評価。チームの勝利に力強く貢献した前田の活躍に目を細めた。

試合後、選手たちの健闘をたたえた信州・勝久HC©Basketball News 2for1

新加入モズリーやサイモン拓海が存在感

 ケガ人を抱えながらも見事に勝利をつかみ取った信州だが、まだまだ厳しい戦いは続く。7日に行われる天皇杯4次ラウンドを含め、12月は水曜日開催の試合が3試合予定されており、手薄なチームにとってはタフなスケジュールとなっている。

 絶体絶命の状況だが、希望の光も見えてきた。マーシャルが離脱後、11月からチームに合流した新加入のウィリアム・モズリー。11月30日の富山グラウジーズ戦でデビューすると、京都との第1戦では7得点9R5A、第2戦では4得点5R5Aと早くもチームにフィットし、攻守で存在感を発揮。第1戦では岡田のパスからアリウープダンクを決めたり、第2戦ではブロックショットを記録するなど、今までのチームには見られなかった「高さ」という新しいオプションをもたらしている。

新加入のウィリアム・モズリーはチームに馴染みつつある©Basketball News 2for1

 また、ウイング陣の不足によって新人サイモンのプレータイムも増加。第2戦では3Pを8本中5本沈め15得点を記録するなど、シューターとしての存在感を高めつつある。試合後には「8人全員でステップアップできてとてもいい感覚だった」と手ごたえをつかんだ様子のサイモン。「タフな状況が続くので、毎試合全員でステップアップして今日(第2戦)のような結果が出せるように頑張りたい」と今後の戦いへ意気込みを見せた。

 昨シーズンも11月から12月にかけてケガ人が続出し、悪夢の9連敗を経験した信州。当時、連敗を止めるきっかけとなった試合も今回と同じ京都戦だった。チーム一丸でつかみ取った勝利をきっかけに、勝ちを積み重ね、波に乗っていけるか。トンネルを抜け出した信州の今後の戦いぶりに期待したい。

(田名さくら)

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