CS圏内3差のサンロッカーズ渋谷、逆襲の終盤戦へ ベンドラメ自信「どんなに強い相手でも戦える力ある」
ジョシュ・ホーキンソン(右)らサンロッカーズ渋谷のメンバー©Basketball News 2for1
バスケットボールニュース2for1代表。スポーツニッポン新聞社の編集者・記者を経て、2020年に現メディアを立ち上げる。日本代表やBリーグからNBA、WNBAまで国内外さまざまなバスケイベントを取材。スポーツライターとしても活動している。

 Bリーグ1部(B1)のサンロッカーズ渋谷(中地区4位)は27日、ホームで信州ブレイブウォリアーズ(同7位)と対戦。第1クォーターを19-10と9点リードで終えると、第3Qには一時4点差に迫られたものの、リードを譲ることなく終始試合をコントロール。第4Q残り31秒にはベンドラメ礼生が試合を決定づける3Pショットを沈め、65-58で勝利した。

 SR渋谷はベンドラメとライアン・ケリーがそれぞれ11得点、アンソニー・クレモンズが14得点6アシストを記録。昨季まで信州に所属したジョシュ・ホーキンソンは古巣との初めての対決で14得点11リバウンドのダブルダブルを記録し、今季3度目となった有明コロシアムでのホーム戦を3連勝で締めくくった。

信州戦で連敗ストップ「勝利に値するプレーをしてくれた」

 信州を破ったSR渋谷は46試合を終え、現在24勝22敗で中地区4位。5月から開催されるチャンピオンシップ(CS)へと進むためには、各地区の上位2チームに入るか、それらの6チームを除いたチームの中で勝率が高い上位2チームに入る必要がある。SR渋谷はCS圏内に位置する同地区2位のシーホース三河(29勝17敗)とは5ゲーム差、ワイルドカード下位・島根スサノオマジック(27勝19敗)とは3ゲーム差につけており、ポストシーズン進出への可能性を残している。

 アウェー戦となった23日と24日の三遠ネオフェニックスとの対戦では、第1戦を78-94で落とすと、続く第2戦では終盤にフリースローを4本中3本外し、81-84で惜敗。同地区首位を相手に痛い連敗を喫しての信州戦となっただけに、CSを目指す上では絶対に負けられない戦いとなっていた。

 「まず信州との難しい試合を勝ち切った選手たちにおめでとうと伝えたいです」

 信州戦後の記者会見で、ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチは開口一番に選手を労った。

 「信州は今の成績は抜きにして、正しいことをやっているチームです。3か月前に我々が対戦した信州と今日のチームとでは全く違うチームになっています。日本人選手たちもケガから復帰し、ここから再建を目指していたタイミングでの今回の対戦となりました。コーチマイク(勝久マイケルHC)はリーグでも有数のコーチであり、豊橋での連敗から戻ってきたこのタイミングで、このチームと戦うことは厳しい戦いになるとわかっていました」

 B2降格圏内を脱出するために是が非でも勝利が欲しい信州は、第3Qに激しいディフェンスから猛追。このクォーターで11得点を挙げたジャスティン・マッツを中心に、残り1分56秒には4点差に詰め寄った。それでも、第3Qの終盤と第4Qの序盤に田中大貴が連続得点を決めリードを広げると、その後もベンドラメやクレモンズが要所で得点を重ね、リードを守り切った。

 「水曜日ゲームということでオープンショットやレイアップ、フリースローを落としてしまうなど、いつもとは違うようなことも起こりました。それでも選手たちはしっかりとソリッドにいいプレーをしてくれたと思います。ほとんど40分間リードを保つことができ、難しい試合になりましたが、勝利に値するプレーをしてくれたと思います」

要所で得点を重ねた田中大貴(右)©Basketball News 2for1

オフにホーキンソンら補強も大黒柱欠き2勝9敗スタート

 昨季は28勝32敗でシーズンを終え、CS進出を逃したSR渋谷。オフには日本代表のジョシュ・ホーキンソンや元日本代表の田中大貴らスター選手をチームに加え、補強に成功。また、アルバルク東京を2連覇に導いた名将・パヴィチェヴィッチ氏を指揮官に迎えるなど、チーム初の優勝に向けて体制は整ったかに見えた。

 しかし、今シーズン開幕直前にチームの大黒柱であるジェームズ・マイケル・マカドゥが左肩のケガにより離脱。いきなりピンチを迎えたチームは、開幕から4連敗を喫し、最初の11試合を2勝9敗で終える波乱のスタートとなった。

 それでも、ホーキンソンやベンドラメ、田中を中心にケミストリーを構築し、長崎ヴェルカでサポートコーチを務めていた43歳のジェフ・ギブスが電撃加入すると、徐々に勝ち星を伸ばし始める。パヴィチェヴィッチHCのディフェンシブなスタイルも次第に浸透していき、直近35試合は22勝13敗(勝率62.9%)と大きく勝ち越している。直近35試合の勝率は千葉ジェッツやシーホース三河、名古屋ダイヤモンドドルフィンズなどCS圏内にいるチームのシーズン成績とほぼ同じであり、ここにきてSR渋谷がCS争いに絡んできているのも納得だ。

 チームの奮闘にはパヴィチェヴィッチHCも目を細める。

 「現在の順位を見て、(CS圏内に)3勝足りないという状況を考えると泣きたい気分です。なぜなら、シーズンが開幕した時、我々の勝率は10%でした。そこから80%の試合を勝つようになった。その中で選手がケガで離脱することもあって、1ポゼッション差の接戦を落としてしまうことも何試合かありましたが、選手たちの頑張りを見ると、3勝足りないという現状でもよくやっていると思います」

記者の質問に答えるルカ・パヴィチェヴィッチHC©Basketball News 2for1

「すごくチャンスある」 三河や川崎との対戦残す

 3シーズンぶりのCS進出が見えてきたとはいえ、残り14試合で3ゲーム差をひっくり返すのは簡単なことではない。特に、CS進出圏最後の1枠に座る島根にはタイブレーカー(同じ勝率になった場合に順位が上になる権利)を握られており、もし島根とワイルドカードを争う場合にはSR渋谷が勝利数で上回らなければならない。今後は秋田ノーザンハピネッツや川崎、三河などCSの枠を争う相手との対戦も続くだけに、一戦一戦が非常に重要になる。

 ただ、枠を争う相手との直接対決で勝利を重ねていくことができれば、SR渋谷のCS進出も現実味を帯びてくる。ベンドラメは話す。

 「もちろんCSに向けて、(残りの試合を)一つも落とせないと思ってますし、(島根との)3勝差というのがすごく大きいと思う。勝ち切れる試合を勝ち切れないところもあったんですけど、1試合1試合しっかり自分たちのペースで試合を運んでいって、勝っていきたいですし、中地区で2位を狙ってやっていくのが一番ベストかなと思う。まだ三河とも試合があるし、川崎とも試合が残ってるので、そういった意味ではすごくチャンスあるんじゃないかなと思います」

 指揮官は目の前の試合に集中することが重要だと強調する。

 「このチームは去年の夏から始動したばかりで、いろいろなトラブルなどもありながらも、常に集中力高く、勝利を目指して毎試合戦っています。(CS圏内まで)3勝差で残り14試合。島根や広島、群馬、秋田、川崎といった我々の順位の前後にいるチームと争っていく状況はタフです。ですが、残りの試合を毎試合が一番重要な試合として取り組み、シーズンが終わったときに我々がどこにいるか。それを見てみたいと思います」

 主力選手のケガなどで出遅れながらも着実にチーム力を高め、勝利を積み重ねてきたサンロッカーズ渋谷。「どんなチーム、どんなに強い相手でもしっかり戦える力はある」とベンドラメが語るように、今季はすでに三河や川崎からも勝利を挙げており、上位チームにも勝つ力は十分にある。残り14試合、混戦模様のCS争いを勝ち抜いていけるか。SR渋谷の逆襲に期待したい。

(滝澤 俊之)

CS進出に向けて意気込みを語るベンドラメ礼生©Basketball News 2for1

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