Bリーグ1部(B1)は4月15、16日に第32節を行い、西地区2位の琉球ゴールデンキングスはアウェーの滋賀ダイハツアリーナで同8位の滋賀レイクスと対戦。B1残留へ負けられない戦いが続く滋賀を相手に第1戦は85−82、第2戦は89−81と琉球が2連勝を飾り、現在西地区首位の島根スサノオマジックとのゲーム差を1へと縮めた。
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滋賀レイクス相手に2戦連続接戦制す
翌第2戦では、序盤から岸本、今村佳太、小野寺祥太が3本の3Pシュートを沈め、滋賀を突き放すことに成功。しかし、滋賀が徐々に点差を詰め、第2Q残り4分にはデクアン・ジョーンズの3Pで逆転される。その後は滋賀に主導権を握られる時間帯が続き。第4Q残り7分61秒には61−73とこの日最大の12点のリードを許してしまう。しかし、オフィシャルタイムアウト直前に今村の3Pが決まると徐々に流れは琉球に傾き始める。残り3分25秒、岸本の3Pで逆転に成功し、その後も得点を重ねた琉球が89-81で勝利した。
この試合では、クーリーが19得点14リバウンド2アシスト、岸本が17得点4リバウンド5アシスト、今村が13得点4リバウンド3アシストを記録。琉球は連勝を5に伸ばした。
桶谷大HC「共通理解」と「ベンチ陣」に手応え
15日の試合後、桶谷大ヘッドコーチ(HC)は両日とも接戦だった試合展開に触れ、こう語った。
「(シーズン)序盤にあった、パニックになるような状態は今はほぼないですね。今はこうなったらこう、っていうのがみんなで共通化出来ている。今日のゲーム(第1戦)のクロージングのところは良くなかったですが、こういう展開だったらこうだよね、というのがみんなで共通理解出来ている。そこが今、手応えを感じているところかなと思います」
その言葉を体現するかのように、16日の試合では終盤に集中力の高いプレーを披露。試合中のアドバンテージの作り方や、やるべきことについてチーム内で共通理解ができていることが結果として勝利にも繋がってきている。
また、シーズン序盤では課題となっていたベンチメンバーについても「(コートの)中に入っている選手は熱くなっている可能性はあるけど、ベンチにいる選手は割とみんな冷静にゲームを見ているなとは思っている」と信頼感を口にし、「それこそ(スターターが)良くなかったら、次に違う選手が出るというのが自分たちに流れを作っている」とベンチメンバーがチームに良い流れをもたらしていると指摘する。
タレントが揃うチーム「主役と汗かき役の両方が必要」
リーグ屈指の層の厚いメンバーがそろう今季の琉球。さまざまなタレントを持つ選手が集まるチームの中で、悲願の優勝を目指すには「主役となる選手と汗かき役となる選手の両方が必要」だと桶谷HCは語る。
「ボールは一つしかなくて、タレントがいっぱいいる中で、誰を起点にプレーをするのか。僕は『汗かき役』が何人か必要だと思っていて、今村、岸本という(主役)が最初にいるので、その周りにちゃんと汗かき役がいてという形にして、セカンドユニットではダーラムが入ってくる。そこにコー・フリッピンがいますし、松脇(圭志)がいるというところで、牧(隼利)や田代(直希)なんかが汗かき役になれるので、そういったところがバランスが取れているかなと思います」
4Qで12点のリードを許した16日の試合では、終盤にフリッピンや松脇が貴重な3Pを沈め同点に追いつくと、その後は岸本や今村、クーリーが得点を重ね勝利を手にした。他のチームであれば主役級の活躍ができるような選手たちが「汗かき役」としての役目に徹しているからこそ、チームが機能していることは間違いない。
そして、「主役」たちの活躍も欠かせない。滋賀戦では両日ともに第4Qの要所で逆転の3Pを沈め、チームを勝利に導いた岸本。「今日(第2戦)はゲームの始めと最後、やっぱり(岸本)隆一が締めてくれたなと思います」と桶谷HCはエースの仕事ぶりを称賛する。
「今村と岸本という2人のハンドラーは自分たちの武器であることは間違いなくて、しっかりいいシュートを決める、ボールを捌くことが出来る。『やってくれる』っていうというのがある中でちゃんと結果を残してくれるので、やっぱり信頼に値する選手かなと思います」
また、試合終盤でのダーラムの活躍については「ファールをもらえることが大きい」とし、「ボールをプッシュしながらペイントにアタックできるというのは、間違いなくチームにプラスになっているし、ジャック(クーリー)がリバウンドを取れるのもダーラムがいるからだと思います」とダーラムのゴール下での献身的なプレーを称賛した。
地区優勝へ「勝ち続けて島根にプレッシャーを与え続ける」
Bリーグ開幕以来、5度の地区優勝を誇る琉球。今季は第32節終了時点で42勝11敗(西地区2位)と首位・島根(43勝10敗)と1ゲーム差につけている。今季の島根との直接対決は2勝2敗ながら得失点差で上回っているため、同じ勝率でシーズンを終えたとしても地区優勝することが可能だ。西地区首位でCSに進んだ場合、クォーターファイナルだけではなくセミファイナルでもホーム開催できる可能性が限りなく高い。昨シーズンのCSでは最初の2ラウンドを沖縄アリーナで戦い、ファイナルへと進出しただけに、セミファイナルもホームで開催できるかどうかはCS優勝に向けて非常に重要なファクターとなってくる。
6季連続の地区優勝に向けて桶谷HCは「僕らはチャレンジャーなので、毎試合勝ち続けて島根さんにプレッシャーを与え続けるというのが自分たちがやるべきこと。今やるべきことをしっかりとやり続けた先に地区優勝が見えてくる」と残りの7試合でどん欲に勝利を目指す姿勢を見せる。
昨シーズンのリベンジに燃える今村は、地区優勝にフォーカスしすぎず、あくまで自分たちのやるべきことを遂行することが大切だと語る。
「(残りの7試合)自分たちにとっては負けられない戦いが続いていくんですけど、自分たちではどうしようもできない部分もあったりするので、そこに過敏に反応してしまうと自分たちのバスケットを見失ってしまう要因の一つにもなってしまうと思います。
しっかり自分たちが積み重ねたことをやり続ければ、自ずと結果はついてくると思うので、もちろん(地区優勝を)狙いに行きたいですけど、そこにフォーカスするのではなくてチャンピオンシップでいかに自分たちがいいチームになれるかにフォーカスしていきたいなと思います」
昨季リベンジへ今村「(CSにかける思いは)どのチームよりも強い」
昨シーズン、ファイナルで宇都宮ブレックスに敗れ惜しくも準優勝となった琉球。昨シーズンのファイナルでの敗戦を経験したダーラムは優勝という大きな目標について「まず、精神面でとてもタフで強くある必要があります。今日(第2戦)を振り返ってみても、色々なことがコート上では起こるので、とにかくメンタル面でタフに準備をして臨んでいきたいと思います」と言及する。
今村は「去年負けてからこのチャンピオンシップのために準備をしてきたので、自分たちが去年獲得できなかったものをしっかりと貪欲に獲っていきたいと思いますし、そこに対する思いっていうのはどのチームよりも自分たちが強いと思っています。そういう部分をしっかりと出していってチームを引っ張ってその結果を取れるようにやっていきたいなと思います」と、タイトル獲得への思いを力強く語った。
レギュラーシーズンが残り7試合となったBリーグ。西地区は島根、琉球、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、広島ドラゴンフライズの4チーム間で激しい順位争いが続いている。琉球は次節、4月19日にアウェーでファイティングイーグルス名古屋との対戦を控える。6季連続の地区優勝、そしてCS優勝という大きな目標に向けて負けられない戦いが続く琉球ゴールデンキングス。終盤戦になってチームが完成に近づいてきた「西の王者」に注目だ。
(田名 さくら)