小野寺祥太の守備を起爆剤に琉球ゴールデンキングス11連勝 セカンドユニットの存在感が増す終盤戦
久保田義章(右)にぴったりとつく琉球ゴールデンキングスの小野寺祥太©Basketball News 2for1
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 Bリーグ1部は3月22日、各地で第26節を行い、琉球ゴールデンキングスはアウェイのハンナリーズアリーナ(京都市)で京都ハンナリーズと対戦。今季、激戦区となっている西地区同士のマッチアップは86ー80で琉球が勝利。第26節を終えて、琉球は西地区2位、京都は同地区7位の位置につけた。

 試合は前半、琉球のビッグラインナップに対応した京都がリードする展開。琉球は前半を34-47の追いかける形で折り返す。

 後半はマッチアップを変え、京都の久保田義章に対して好ディフェンスを見せた小野寺祥太を起点にオフェンスでもリズムをつかんだ琉球が逆転し、リードする立場に。第4クォーター(Q)では青木龍史の3ポイントシュートにより京都に一時2点差まで詰め寄られるも、岸本隆一が残り48秒に3Pを沈め、勝負あり。連勝を11に伸ばした。

 この試合では、ジャック・クーリーが25得点14リバウンド、ジョシュ・ダンカンが12得点10リバウンド、岸本隆一が10得点5リバウンド6アシストを記録した。

©Basketball News 2for1

桶谷大HC「今日のMVPは間違いなく小野寺」

 「本当に彼みたいな選手がキングスにいるから、キングスは強いと僕は思っている」

 試合後の記者会見で小野寺のディフェンスについて質問が及ぶと、納得の表情でそう答えた桶谷ヘッドコーチ(HC)。

 前半では京都の久保田には岸本がマッチアップしていたが、6得点4アシストと京都のオフェンスを勢いづける活躍を許し、13点のビハインドを負う展開に。後半、桶谷HCは久保田へのマッチアップにスタートから小野寺を起用。指揮官の期待に応え、久保田にぴったりと張り付いてプレッシャーをかけ続けた小野寺。相手の主力選手への好ディフェンスや泥臭くオフェンスリバウンドに絡むハッスルプレーなどでチームに貢献し、第3Qの入りを8-2とリズムをつかむきっかけを作った。

献身的なプレーが光った小野寺(中央)©Basketball News 2for1

 この試合では得点こそなかった小野寺だが、出場している時間帯での得失点差を表す「+/–」では「+11」を示しており、チーム最高の数字を記録していた。これは小野寺の出場している時間帯にしっかりとチームで得点出来ており、またディフェンスでも相手の得点を抑えられた証だ。小野寺の活躍には桶谷HCも満足した様子で「ディフェンスでしっかり小野寺が久保田くんを抑えられ、そこからオフェンスもスムーズに行くようになった」と称賛。

 「(小野寺は)ずっとメインで試合に出ているわけでもないですし、マッチアップによっては試合に全く出られなかったり、こういうゲームでいきなりディフェンスを頑張ってくれと言われたり、そういう中で、それでも嫌な顔一つせずチームのために自己犠牲を払って遂行してくれるというところ。やっぱりそこが出来る選手であることが小野寺の1番の強みだと思っていますし、言った注文通りにディフェンスをして帰ってきてくれたので今日のMVPは間違いなく小野寺だと思っています」

 桶谷HCと小野寺は、小野寺が高校卒業後に練習生として入団した岩手ビッグブルズ時代から10年目の付き合い。こうした長い年月の中で小野寺が堅実にプレーする姿が桶谷HCからの厚い信頼へと繋がっているのだろう。

記者会見で小野寺の貢献度について話した琉球ゴールデンキングス・桶谷大HC©Basketball News 2for1

カール・タマヨに渡邉飛勇 3ビッグでの戦い方を模索

 前半は新しい戦力としてシーズン中盤から加わったアジア特別枠のカール・タマヨや怪我から復帰した渡邉飛勇を外国籍2選手と組み合わせる「3ビッグ」のラインナップを起用する場面も。しかし、なかなかチームとしてのリズムがつかめず重苦しい試合展開となった。

 桶谷HCも「3ビッグは前半、何回かポゼッションはあったんですけども、正直タマヨも渡邉も個人的には良かった。ただ、5対5をやった時のリズムが作れなかった」とコメント。後半は3ビッグを使わず、ウイング3選手+外国籍2選手の普段通りのラインナップでプランを組み立てたことを明かした。

 続けて、「前半はタマヨを使ったり、渡邊を使って成長させないといけないと思っているので、その成長させている前半があった中でこうやって勝てたことは非常に良かったと思います」と語り、若手ビッグマンであるタマヨと渡邉に経験を積ませながら勝利できたことへの手ごたえを口にした。

ベンチ陣がスタメンの「底力を引き上げている」

 またオフェンスについても前半はターンオーバー(8つ)からの失点やタフショットが多く、特に第2Qではフィールドゴール成功率が31.6%と今シーズン平均の44.6%を大きく下回った。後半は琉球の持ち味である強度の高いディフェンスからリズムを作ることでいい流れが生まれ、オフェンスでもスムーズなボールムーブから得点を重ねていった。

 キャプテンの田代直希は「前半は僕たちのオフェンスのシュートセレクションがあまり良くなくて無理にシュートを打っていた。どこで攻めたいのか、どうやってオフェンスしたいのかそれが明確になっていなかったので後半はそこをどう攻めようかという意識がまとまっていったような気がします」とコメント。

ベンチ陣の貢献に対して語ったキャプテンの田代直希(右)©Basketball News 2for1

 続けて、「核となる選手がしっかり仕事をしながら、その試合に応じて、小野寺選手だったり松脇選手だったり、今日の試合で言えば僕(田代)かもしれませんが、そういう控えから出てくるメンバーがしっかり仕事できているっていうのが、今この11連勝に繋がっているんだと思います。カールも飛勇もそうですけど、そういった控えからでているメンバーがどんどんスタートメンバーの底力を引き上げていることが連勝に繋がっていると思います」とし、ベンチ陣の活躍が好調なチームを支えていることを指摘した。

 今季序盤の課題となっていた「セカンドユニット」の活躍が課題として挙げられていた琉球。バイウィーク中にも天皇杯やEASLなどの試合を重ねるなどタフなスケジュールとなっていたが、他チームより多くの試合をこなしてきたからこそ、セカンドユニットの貢献度も増し、チームとしての完成度が上がってきていることは間違いない。

 次節は3月25・26日にはホームの沖縄アリーナで千葉ジェッツの連勝を止めた仙台89ersを迎え撃つ。6シーズン連続の西地区優勝を目指すべく、シーズン終盤に向けてさらにチーム力が増した琉球の戦いに注目したい。

(田名 さくら)

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