琉球ゴールデンキングスが悪循環に陥り3連敗、ホーム負け越しに…仙台戦で見えた“二つの光明”とは
3連敗を喫した琉球ゴールデンキングス©Basketball News 2for1
沖縄を拠点とするフリーランス記者。沖縄の地元新聞で琉球ゴールデンキングスや東京五輪を3年間担当し、退職後もキングスを中心に沖縄スポーツの取材を続ける。趣味はNBA観戦。好物はヤギ汁。

 Bリーグ西地区の琉球ゴールデンキングスが試練の局面を迎えている。

 12月24日に川崎ブレイブサンダース戦を90-96で破れると、同27、28の両日にあった仙台89ERSとの2連戦も72-80、66-85で敗北。今シーズン初の3連敗となった。

 いずれもリーグ屈指の熱量を誇るホームの沖縄サントリーアリーナで行った試合であり、琉球がホームで3連敗を喫したのは2016年にBリーグが開幕してから初めて。通算成績は17勝11敗で西地区4位につけるが、ホームに限ると6勝7敗で負け越しに転じた。

 12月20日にアウェーであった富山グラウジーズ戦も80-90と失点を抑えられずに敗れており、ディフェンス面の課題が大きい。それに引っ張られるようにオフェンス力の低下も著しく、悪循環に陥っている印象だ。

 12月10日に西地区2位の名古屋ダイヤモンドドルフィンズに敗れることこそあったが、バイウィーク明けの序盤は好調を維持していた琉球。なぜ、ここまで急激にチーム状態が落ち込んでしまったのか。そして、上昇に転じる鍵は何か——。

悪循環を生んだ“三つの要因”は…マカオ戦で潮目変わる

 少しさかのぼると、名古屋Dとの水曜ゲームの後、12月13、14の両日に佐賀バルーナーズと行ったアウェー2連戦時点では、良好なチーム状態を保っていた。オフェンスではボールの流動性が高く、失点は2試合とも70点台だった。

 さらに12月17日にホームであった東アジアスーパーリーグ(EASL)のマカオ・ブラックベアーズ戦も、ヴィック・ローが試合開始から1分38秒で離脱したものの、我慢を続けて87-81で勝利をつかんだ。しかし、この試合を境目にチームの歯車が狂い始め、先述の富山戦を起点とした直近5試合は1勝4敗となっている。

 悪循環を生んだ要因の一つとして、最も分かりやすいのがコンディション不良によるローの離脱だ。28日の仙台戦で5分59秒出場したが、ブラックベアーズ戦以降はコートに立っていなかった。15.9点7.6リバウンド4.3アシストのスタッツに加え、ディフェンスで高い機動力を備えていることを考えれば、重量級センターを二人抱える琉球にとって影響が大きいのは当然だろう。

 二つ目の要因は、チームの大黒柱であるジャック・クーリーのブレーキが挙げられる。

 ここまでEASLも含めてフル出場であり、ブラックベアーズ戦では229cmの巨体センターを相手に体を張った。ロー不在の中でスモールフォワードタイプの外国籍選手にマッチアップする機会が増え、より足も使う。本来のパワフルな動きが少しずつ影を潜め、直近の仙台戦ではリバウンド数が今シーズン最少タイの5本にとどまった。

 桶谷大HCも「ビッグマンに関して言うと、間違いなく『疲労があるな』という動きが見え、もどかしいところはあります。スイッチが多くなって、ガードを守らないといけない時はどうしても出てきてしまうので、ビッグマン、特にジャックのところは疲れる要因になってると思います」と印象を語る。

 最後に、チーム内で3ポイントシュートの試投数が多い岸本隆一と松脇圭志がシュートタッチに苦しんでいることも試合を難しくしている要因だ。ボールのメーカーが異なるEASLの試合で感触が狂ったのか、最近の試合では1本も決められない試合も目立ち、成功率は極めて低い。

 指揮官が「『勝たないといけない』『決めないといけない」と過度なプレッシャーがかかってるのかなと思います」と言うように、他の選手にも影響が伝播しているように見える。各選手ともワイドオープンな3ポイントシュートをなかなか決められず、仙台との2連戦は3ポイントシュート成功率が18.2%(33本中6本)、16.2%(37本中6本)にとどまった。

記者の質問に答える桶谷大HC©Basketball News 2for1

PG崎濱秀斗がもたらしたポジティブな要素

 不安材料が複合的に絡み合い、攻守ともに高い連動性が維持できていないのが現状だ。28日の試合後、桶谷HCはもどかしい心境を吐露した。

「昨日の試合で負けて、今日は出だしから40分間ファイトしようと話をした中で、ゲームの入りでイージーな3ポイントシュートを決められました。一つひとつのポゼッションのスタンダードがすごく落ちていて、危機感が足りなさ過ぎる。トランジションでのファウルも使えていない。相手に気持ち良くプレーされていて、『どうしてしまったのかな』というところはあります」

 仙台との2試合では、現在リーグの得点王であるジャレット・カルバーに一人で計65点を献上。カルバー自身の得点力が高いことは間違いないが、クォーターの残り時間わずかの場面でマークやヘルプが遅れて決められるシーンもあった。

 一方で、チームは苦境をなんとか脱しようと、もがいていることも確かだ。指揮官も「欠点だけをずっと言い続けてもチームはうまく回りません。まわりの選手をリスペクトして、力を引き出し合うサイクルが自己犠牲を生む。窮地に追い込まれる状態で何ができるか、どう成長していくかが一番大切です」と前を向く。

 光明を差す一つの可能性を示したのは、PGの崎濱秀斗である。

 27日の試合では、20点差をつけられた第3Qの残り約3分でコートに入り、素早いトランジションや激しいプレッシャーで流れを変え、今シーズン自身最長の17分41分プレー。4得点6アシストを記録し、+/−はチームで2番目に高い+8だった。本人も一定の感触を得た様子だった。

「仙台は速いバスケットの守りはあまり強くないというスカウティングだったので、他の4人も思い切り走ってくれて速いペースにできました。スタートメンバーのバスケと同じことをしていてもゲームは変わらないので、ディフェンスのインテンシティを上げて、そこからトランジションにつなげるという思いでした」

 

 ローが離脱してハンドラーが不足する中、責任感の重さからなのか、最近は先発PGの岸本の球離れが悪い傾向にあった。崎濱や脇真大のゲームコントロールがより安定すれば、岸本の負担も減り、より余裕を持ったプレーにつながるだろう。

PGの崎濱秀斗©Basketball News 2for1

明確になってきたデイミアン・ドットソンの生かし方

 前向きな要素がもう一つある。バイウィーク中に加入した、3ポイントシュートを最大の強みとするデイミアン・ドットソンの生かし方が明確になってきたことだ。

 鍵を握ったのは、先述した崎濱がコートに立っていた時間帯である。「ドットソンがボールを触れば、必ず引力が生まれてディフェンスのズレが生まれる選手」(崎濱)との信頼からボールを集め、トランジションスリーやドライブで持ち味の得点力を発揮した。

 この時、共に出場していた佐土原遼「(ドットソンは)ハンドラーではなく、松脇みたいなシューターとして生かすのがベストだと思っています。コーナーに立たせているだけでなく、自分とか脇がフレアスクリーンやピンダウンスクリーンをかけてフリーにさせたいです」と語る。

 チームとして共通認識が高まってきたことで、ドットソン自身も「チームメイトがいいシチュエーションを作ってくれて、信頼を得られてきたと感じています」と好感触を口にする。仙台との2試合では14本中7本(成功率50%)の3ポイントシュートを決めてみせた。

 桶谷HCは「下を向くんじゃなくて、いい部分をつなぎ合わせたい」と言った。ドットソンの生かし方、崎濱がもたらすテンポ…。ポジティブな要素を強調してチームに好循環を生み出し、一つひとつのポゼッションのスタンダードを再び押し上げていきたい。

チーム浮上の鍵をにぎるデイミアン・ドットソン©Basketball News 2for1

(長嶺真輝)

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