
バスケットボール女子日本代表は7日と8日の両日、豊田合成記念体育館エントリオで行われた三井不動産カップ2025(愛知大会)でチャイニーズ・タイペイ代表と対戦。第1戦を95-42、第2戦を89-45で快勝し、2連勝で大会を終えた。
コーリー・ゲインズHC体制での初陣となった今大会。第1戦では、チーム最年少19歳ながら先発起用された田中こころが10得点、同じく19歳の中村ミラー彩藍が3ポイントシュート4本を沈め、12得点を記録するなど、若手の活躍が光った。前半だけで13本の3Pシュートを沈めた日本が終始試合の主導権を握り、大事な初戦を95-42で勝利した。
翌第2戦、外角のシュートを警戒してくるチャイニーズ・タイペイに対し、日本は赤木里帆や野口さくらのドライブで打開する。髙田真希、渡嘉敷来夢といった経験のあるセンター陣との合わせのプレーも効果的に決まり、順調に得点を重ねていく。第2戦は3Pシュートの試投数は34にとどまり、確率は第1戦の43.9%から26.5%まで落ちたものの、人とボールが動き続けるバスケットでチャイニーズ・タイペイを翻弄。守ってはインテンシティ高くチャイニーズ・タイペイにプレッシャーをかけ続け、30のターンオーバーを奪うことに成功。日本は第2戦を89-45で勝利し、チャイニーズ・タイペイ戦を2連勝で終えた。
第2戦では、髙田が15得点、渡嘉敷が11得点を記録。また、大会MVPは二試合ともに先発起用の田中が受賞した。
女子日本代表は今月16日から中国遠征を行い、7月3、4日に開催される三井不動産カップ2025(東京大会)を経て、7月13日から中国で行われるFIBAアジアカップに参戦予定。アジアの王座奪還を目指す。
試合後の記者会見ではゲインズHCと渡嘉敷、星杏璃が記者の質問に答えた。

コーリー・ゲインズHCのチャイニーズ・タイペイ戦後のコメント
-チャイニーズ・タイペイ戦の総括
この三井不動産カップは、今まで合宿期間で練習して取り組んできたことを試合で試す完璧な機会だったので、感謝の気持ちでいっぱいです。この2日間で我々の改善点を明確にして、進歩して成長したと思います。今日(第2戦)の試合ではあまり3Pは入りませんでしたが、それでも89点取れたので良かったと思います。
オフェンスは28点、26点、22点、13点と試合が進むにつれて落ちていたのですが、昨日(第1戦)も一緒で、選手たちの持久力がまだまだ追いついていないと思うので、そこを上げていきたいと思います。まだ追い込みが必要だと思います。4クォーターの最後まで走り続けること、「スピードの継続性」が大事で、それはこれからの課題だと思います。
反面、ディフェンスは(チャイニーズ・タイペイの得点が)11点、19点、8点、7点と、後半(日本の)ディフェンスの強度が上がったので、それはすごくよかったです。シュートは入っていなかったですが、ディフェンスの激しさは40分間継続できたと思います。オフェンスの良かった試合、ディフェンスの良かった試合を一つに統一できれば我々は強いチームになれると思います。

-ポジションレスバスケットについて
我々が求めているポジションレスのバスケットにはまだまだ早い段階だと思うので、まだまだこれから成長していきたいと思います。この短期間でいろんな選手にいろんなポジションを教えるのは難しいと思いますが、試さなければわからないと思うので、この2日間で試せただけで大きな成長をしたと思います。まだまだレベルが足りないですし、まだまだ成長できると思います。
ポジションレスバスケットの魅力は、いろんなラインナップができて、相手を混乱させることができるところです。あと、ディフェンスとオフェンスの多様性を上げることもメリットかなと思います。いろんな選手にいろんなポジションを与えて、ミスをさせたいと思います。ミスをしないと成長できないと思いますので。ミスした経験の上で成長できると思います。後はこの2日間でいろんな選手に(いろんなポジションをさせて)、例えば東藤選手に1番をやらせて、辛い状況、まだ慣れていない状況で、選手たちがどういう反応をするか見たかったです。
-第2戦ではゾーンも試していたが、ディフェンスの評価は
今日試したのは1-3-1からの3-2からのマッチアップ・マンツーマン。3-2からマンツーマンに変わるタイミングは内緒にしておきますが、チームルールがあります。狙いはオフェンスを混乱させること。いろんなディフェンスを試すことで試合のスピード、ペースを加速させたいと思います。英語でジャンクディフェンスと言うのですが、相手を混乱させてゴミみたいなオフェンスをさせたいと思います。ディフェンスを変化させ相手を混乱させて悪いショットを打たせたい。
もちろん私たちのベースのディフェンスはハイプレッシャー、アグレッシブなマンツーマンですけど、今日の試合でいろいろなディフェンスを試して、フィルムで見返して、どの選手どのラインナップに、どのディフェンスが合っているのかを確認したかったのです。ディフェンスの多様性は本当に大事で、試合の流れを切らないように、相手にミスをさせて得点につなげる、チェンジング、ジャンクディフェンスは自分たちの武器になると思います。
-来週に控える中国遠征での強化ポイントは
中国遠征には若手中心の(今回とは)違うロスター16人を連れて行きたいと思います。テーマはもちろん成長、完全にアウェイの環境で審判のコール、相手チームを応援するファンの熱量といった辛い状況を乗り越えるカルチャーを作っていきたいと思います。辛い時を乗り越えるというより「ぶち抜ける(ようになりたい)」。コーチとしてチームとして、選手としていろんなことを学べると思うので、成長を楽しみにしています。
渡嘉敷来夢のチャイニーズ・タイペイ戦後のコメント
-チャイニーズ・タイペイ戦の総括
私自身、久しぶりの日本代表のユニフォームを着た試合で、しっかりチームとして勝つことができてよかったなと思っています。まだ、合宿に入って2週間なので完成度が高いわけではないですが、コーリーHCが言っているように少しずつステップアップできているのを自分たち選手も実感しているので、それがこの2日間、対相手でやってみて上手くいったところもあり、逆に相手が守ってきた時に、裏をかくプレーができたというのは、この2週間やってきたことが出た結果で、やってきて良かったなと思っています。

-日本代表としてプレーすることについて
やはり日本を代表して日本代表のユニフォームを着てコートに立つというのはWリーグでは経験できない違う感情が生まれています。(代表のユニフォームを着て試合をするのは)3年ぶりくらいで、国内で(試合を)やるのはもう少し前になります。たくさんの方が自分が落選した時もメッセージをくれていたので、そういった方々に恩返しができればなと思っていたので、第一歩を踏み出すことができて良かったと思っていますし、しっかり日本を代表して、世界の相手と戦っていきたいなと、この2試合を戦って改めて強く思いました。
-3ポイントシュートへの意識は
日本の武器の一つの3Pをもっともっと自分が気持ちよく打っていきたいなと思っています。5、6年前からずっと3ポイントの練習はしているんですが、自信がつかないんですよね。それはいくら練習でやっていてもゲームで打たないことが一番の原因だと思っているので、コーリーHCもですが、今の日本代表のメンバーは自分に対しても「打っていこう」と言ってくれている。その雰囲気が自分に自信を与えてくれていると思うので、それにしっかりと応えていきたいと思っています。
-ゲインズHCとの間に言語の壁はあるか
ちょっと上からになりますが、コーリーさんはコミュニケーション能力がめちゃくちゃ高いですし、伝え方が上手です。なので言葉の壁は感じないです。ノリも凄くいいですし、(コーリーが)自分たちに壁を作っていないと感じます。壁ができそうにないです。壁がないからといって、信頼関係がないとか、友達のようになってしまうこともないのが不思議で凄いなと思います。
星杏璃のチャイニーズ・タイペイ戦後のコメント
-チャイニーズ・タイペイ戦の総括
今回、合宿が始まってから初めて試合をして、練習の中ではわからないことでも、試合を通じて日本のバスケのペースが速いことや、十分に戦えることを実感しましたし、速い日本のバスケをやっていて楽しいなと感じることができたので、今回の2試合は成長のために良かったと思います。

-この2日間の評価と課題は
シューターとして空いていなくても打って欲しいと言われていたので、打った本数的には空いたら打つというのができたと思うのですが、(成功率には)悔いが残ります。仲間が繋いでくれたボールを決めきるのがシューターの仕事なので、そこは自信を持ってどんどん打って決めていきたいと思います。
ペースの速いバスケットをやっている中で、先に走ってまずはレイアップを狙う、スリーを狙うというのを、自分の中では走っていたけれど、ボールが繋がらない場面があった。それは多分走るコースが悪かったと思うので、それはこれからの課題だと思いますし、次に繋げていきたいです。
(高久理絵)