Bリーグ1部は12月24、25日の両日に各地で第13節が行われ、島根スサノオマジックは敵地で信州ブレイブウォリアーズと対戦。第1戦は島根が序盤から試合のペースをつかむと、最後までリードを保ち93-86で勝利。第2戦は第4クオーター(Q)残り5分から安藤誓哉が16得点するなどの活躍で信州を一気に突き放し101-84で勝利。島根の破壊力のあるオフェンスが信州のディフェンスを上回る2連戦となった。
堅守自慢の信州相手に2試合で194得点と爆発
スコアラーとしてチームをけん引するペリン・ビュフォードの活躍もさることながら、2日間に渡り存在感を示したのはキャプテンを務める安藤だった。平均失点がリーグ3番目に少ない信州のディフェンスを相手に、島根は安藤を中心に第1戦で93得点、第2戦で101得点とハイスコアリングゲームに持ちこんだ。
「オフェンスに関しては効率よくできたらいいと思っていました。ディフェンスの部分に関しては(信州には)タレントも多いのでそこを集中して守ること」を意識して信州戦に臨んだという安藤。第1戦では32分19秒の出場で3ポイントシュート4本を含む20得点をマーク。自身のフィールドゴール(FG)成功率は57.1%、チーム全体としてもFG成功率54.7%を記録するなど、効率の良いオフェンスを展開した。
続く第2戦ではさらに圧巻のパフォーマンスを発揮する。第1Q、島根の最初の10得点を全て安藤が記録。島根のオフェンスのトーンを作った。また第4Qの残り5分からの“クラッチタイム”には3Pシュート4本を含む16得点をマークする圧巻のパフォーマンス。味方の3ポイントシュートなどを演出するアシストも光り、粘る信州を突き放し勝利を呼び寄せた。
この試合で3Pシュート8本中6本成功(75.0%)、FG13本中9本成功(69.2%)と驚異のシュート力を見せた安藤はキャリアハイとなる32得点をマーク。「少し休んでしまった時間はあったが、今日に関しては勝負所で決められたので良かった」と手応えを口にした。
勝負所での活躍が代名詞にもなりつつある安藤。重要な場面でも臆することなく得点を狙いに行く姿勢については「どんな時でも強気で攻めるというのは心掛けている」と一言。その強靭なメンタルがあるからこそ、チームを勝利に導く活躍ができているのだろう。
津山尚大はチームにフィット「今シーズンはチャレンジ」
ここまで17勝6敗と好調を維持する島根。安藤ともう一人、司令塔としてチームをけん引しているのは今シーズン三遠ネオフェニックスから移籍してきた津山尚大だ。
津山は福岡大学付属大濠高等学校を卒業後、大学には進学せず、当時bjリーグに所属していた琉球ゴールデンキングスに加入しプロ生活をスタートさせた。琉球で3シーズンを過ごした後、ライジングゼファー福岡、海外挑戦、アルバルク東京、三遠ネオフェニックスと多くのチームを渡り歩いたが、Bリーグでのプレータイムは平均15分前後と限られていた。
だが、今シーズン島根に加入してからは、アップテンポな「バズソースタイル」が津山のプレースタイルと見事にフィット。平均30分近いプレータイムを獲得し、1試合平均9.7得点2.4アシスト、3P成功率40.7%と目覚ましい活躍を見せている。
信州戦でも第1戦は23分21秒の出場でFG7本中5本成功で12得点を記録。第2戦は29分30秒の出場で得点こそ8点に留まったが、「誓哉さんやペリン・ビュフォードがボールハンドラーになるとは思うが、僕自身もチャンスメイクをしっかりできるように」と試合後に語ったように、大事な場面で3Pシュートを2本沈めるなどチームの勝利に貢献した。
自分のプレースタイルにマッチしたチームと出会い、活躍の場を得られたことに関して津山はこう語る。
「本当に嬉しいですし、プロキャリアをスタートさせて8シーズン目で、プロがどのくらいのディフェンスの強度なのか、オフェンスは自分の長所をどう生かすのかということを理解できてきました。これをしっかりこれからのプロキャリアに生かせるように、今シーズンは僕自身もチャレンジだと思っています」
またチームのエースである安藤やビュフォードの印象については「この2人で来ると分かっていても止められないぐらい強力な2人だと思いますし、Bリーグでもトップ選手だと思います」と語り、「この2人からしっかり学べることは学んで成長していきたいです」とチームメイトから刺激を受けている様子だった。
バズソースタイルに磨き 新外国籍エペ・ウドゥ加入で層に厚みも
島根が所属する西地区はここまで上位4チーム(琉球、広島、名古屋D、島根)が勝率73%以上を記録するなど、強豪揃いの激戦区となっている。島根は信州に2連勝したことで17勝6敗としたが、順位は変わらず西地区4位。優勝を目指すには、まず強豪ひしめく西地区を勝ち上がらなければならない。
激しい順位争いが続く西地区について津山は「勝率で見てもみんな同じくらいなので、一つ一つの試合がこれから本当に大事になってくると思う。自分たちのやるべき“バズソースタイル”を貫くということを1試合通してやらなきゃいけないので、それをしっかりやって西地区を勝ち上がりたいと思う」と意気込みを口にする。
昨季はチャンピオンシップCSセミファイナルで琉球に敗れ、優勝にあと一歩届かなかった島根スサノオマジック。安藤、ビュフォード、ニック・ケイといった昨季からの主力に加え、今年は津山らも加入し、バズソースタイルにさらに磨きがかかっている。また、信州戦からは新たな外国籍選手エペ・ウドゥも出場し、攻守にわたって貢献。プレータイムが長い主力選手の負担を軽減する貴重な存在となりそうだ。攻守に役者がそろった今シーズンは、まず激戦の西地区での争いを制し、悲願のBリーグ優勝を目指していく。
(芋川 史貴)