CS進出へ 川崎戦の勝利が信州ブレイブウォリアーズにとって大きな価値があったワケ
シュートを放つ信州ブレイブウォリアーズの岡田侑大(奥)©Basketball News 2for1
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 Bリーグ1部は2月4日から5日にかけて各地で第21節が行われ、信州ブレイブウォリアーズはホームで川崎ブレイブサンダースと対戦。4日に行われた第1戦は、77-79で敗れたが、翌日に行われた第2戦では75-74で勝利。中地区首位の川崎に対して前日の雪辱を果たした。

 これで18勝18敗とした信州の順位は変わらず中地区3位のまま。中地区首位の川崎と同2位の横浜ビー・コルセアーズとのゲーム差を「3」とした。

粘りの「ワンストップ」 “トラウマ”の接戦を制す

 歯がゆい試合展開がここ数試合続いていた。

 リーグ首位の千葉ジェッツと対戦した第19節第2戦では、残り時間11秒に千葉Jの原修太に逆転3ポイントショットを許し70-71で敗戦。第20節の名古屋ダイヤモンドドルフィンズとの第1戦では、残り時間34秒に名古屋Dの齋藤拓実に逆転3Pショットを許し、延長戦の末敗戦。そして川崎との第1戦では残り32秒にマット・ジャニングに逆転3Pショットを決められ、その後熊谷航が同点とするも最後はニック・ファジーカスに決勝フリースローを与え、77-79で敗北を喫した。

 第2戦後の記者会見で勝久マイケルヘッドコーチ(HC)は「ディフェンスで大事な場面でストップが出来ない。例えば、2点リードしている状況で絶対に3ポイントシュートはだめなのにそれをやられてしまうというミスがあったり、ワンストップが大事な場面で出来なかったり、そういう負け方が最近多かった」と連日のタフな敗戦を振り返った。

 同じような展開となった5日の川崎戦ではファジーカスに決まれば逆転となる3Pショットを打たれはしたものの、外れた後のリバウンドやルーズボールに飛び込む姿勢、前線にいた岡田侑大への的確なパスからリードを広げるなど終盤の判断力が光り、価値ある1勝をつかみ取った。

「本当にみんなエナジーを振り絞ろうと頑張ってファイトしていて、最後相手がシュートを外してくれたのもあるが、選手たちのことを思うと勝利で報われたことを嬉しく思う」(勝久HC)

記者の質問に答える勝久マイケルHC©Basketball News 2for1

「やっとこういう接戦を勝ちきれたことはチームとしてもすごく大きかったと思う。なかなかこういう接戦をものにできなかった悔しさもずっと持ちながらやっていたので、これが次の(サンロッカーズ)渋谷戦にも繋がる良い成果だったかなと思う」(三ツ井利也)

笑顔でコメントする三ツ井利也©Basketball News 2for1

 地区首位の川崎相手に、しかも外国籍選手を2人欠いた状態での勝利。この白星がチームにもたらす自信や経験は1勝以上に大きなものだったに違いない。勝久HCは接戦を制したチームをねぎらいつつ、「勝ちきれたのは良かったが、最後は相手がシュートを外してくれているというのもある。結構良いシュートを打たれてしまっているので、満足せず学び続けてもっともっとゲームを強くフィニッシュできるチームになっていきたい」とさらなる成長を誓った。

主力の“三銃士”とホーキンソンの成長も大きな鍵に

 第22節を終えるとB1はバイウィークに入り、3月からはいよいよシーズンの終盤に突入する。初のチャンピオンシップ(CS)進出を目指す信州のカギを握るのは、やはり熊谷航・前田怜緒・岡田侑大の「三銃士」とジョシュ・ホーキンソンだ。

 まずは三銃士。今シーズンのオールスターに選出された熊谷はスピードを生かしたドライブはもちろん、3FG%(3ポイントショット成功率)で37.2%と素晴らしい成績を残しており、ここ数試合でも勝負所のシュートを多く沈めている。前田も既に昨シーズンの40本を上回る43本の3Pショットを沈めているほか、相手のエースとマッチアップする機会も多くディフェンスでの貢献度も上がっている。岡田はシーズン序盤こそベンチからの出場が多かったが、1月11日に行われたシーホース三河戦から7試合連続で先発出場。ベンチスタート時の平均24分から平均33分と出場時間を伸ばし、現在17試合連続2桁得点を記録するなど抜群の得点力を発揮している。

3Pショットが好調な熊谷航©Basketball News 2for1
オールラウンドな活躍が光る前田怜緒©Basketball News 2for1
エースとして活躍する岡田©Basketball News 2for1

 プレーでチームをけん引する若きスターたちだが、キャプテンのアンソニー・マクヘンリーは彼らの精神面での成長も感じているという。

 「3人は特にメンタル面で成長していると思うし、色んな面でステップアップしてくれている。今日(川崎との第1戦)の試合に関しても、結果的にあそこまで追いつけたのは若い選手たちがビッグプレーをしてくれたのもあるし、特に3人がステップアップしてくれたから。彼らは精神面でも技術面でも、さまざまな面で日々ステップアップしている。若手選手の精神面での成長をとても感じている」と三銃士の進化に目を細めた。

 その三銃士とともにチームの中心選手として活躍するのがホーキンソンだ。今シーズンは35試合中34試合に先発出場し、平均18.2得点(リーグ12位)9.3リバウンド(同12位)1.5ブロック(同3位)を記録。ウェイン・マーシャルやウィリアム・モズリーが負傷で離脱しているなか、最近は40分近くプレーすることも多く、献身的にチームを支えている。「リーダーシップはどんどん良くなっている」と勝久HCが評価するように、今季はプレーだけではなくチームをまとめるリーダーとしても大きく成長。6日には日本国籍の取得も完了しており、今後はチームの大黒柱としてさらなる飛躍が期待される。

攻守で大車輪の活躍を見せるジョシュ・ホーキンソン©Basketball News 2for1

後半戦には同地区対決 「ハードなバトルになる」

 次節のサンロッカーズ渋谷戦を含め、今後は川崎や横浜BCなどとの同地区対決が続く。

 勝久HCは「どの試合もそうだが、特に同じ地区の上位チームとは昨日今日(川崎戦)みたいにハードなバトルになることは分かっていて、100%のエナジー、スピリット、我々のベストを出さないといけない。負けたくないという気持ちも強いが、逆にそういうチームに勝っていければ我々の目標に近づいていける」と意気込みを口にする。

 第21節終了時点で21勝15敗の川崎と横浜BCが並び、信州は3ゲーム差の18勝18敗と中地区3位につけている。バイウィーク明けには川崎と1試合、横浜BCと3試合を残しており、CS進出条件となる地区2位以内を目指すためには負けられない戦いが続く。

 「接戦を勝ち切れたことは本当に大きいことですし、みんなの自信にもつながった。この試合をきっかけに連勝を続けていくことができればCSに一歩近づく」と岡田が語る通り、川崎戦での勝利をきっかけに波に乗ることができるか。中地区のCS争いは信州の台頭とともに盛り上がっていくに違いない。

(芋川 史貴)

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