Bリーグ1部(B1)は2月4日から5日にかけて各地で第21節が行われ、滋賀レイクスはホームのプロシードアリーナHIKONEで三遠ネオフェニックスと対戦。2月4日に行われた第1戦では79-87と惜敗するも、翌5日に行われた第2戦では89-84で勝利。12月10日のシーホース三河戦以来、実に57日ぶりの白星をつかみ、連敗を「18」で止めた。
1月26日に指揮官就任 2月5日三遠戦で初勝利
今季は外国籍籍選手の度重なる故障や離脱に悩まされてきた滋賀。さらには11月16日にルイス・ギルHCの契約解除、1月26日には保田尭之HC代行との契約解除と二度にわたって指揮官を交代。なかなか体制を整えられない苦しいチーム状況の中、新指揮官に任命されたのがダビー・ゴメスHCだった。
スペイン出身のゴメスHCは33歳という若さだが、ギル元HCの元では選手としての経験もあり、6カ国でプロコーチの経験を持つ。今季はアシスタントコーチとしてチームを支えて来たが、保田HC代行の契約解除と同時にゴメス氏のHC就任が発表された。
HC就任時点での滋賀は15連敗中という苦しい状況。「何としてでも連敗を止めたい」というファンやチームからの期待やプレッシャーを背負っての門出となった。初陣となったアウェーでの仙台戦や三遠との第1戦は勝利とはならなかったものの、確実にチームとしての手応えを得ていた。そして迎えた第2戦。新たに加入したデクアン・ジョーンズらの活躍もあり、一進一退のゲームで最後は逆転勝利を決めたのだった。
試合後、18連敗という長いトンネルから抜け出し、プレッシャーから開放されたゴメスHCの顔には笑顔が溢れていた。キャプテンの柏倉は「誰よりもダビー(ゴメスHC)が一番プレッシャーのかかった状態でチームを鼓舞して、この短期間でチームを変えてくれたと思います」と指揮官をに感謝を述べた。
「今までの自分たちとは全く違うチーム」
ゴメスHCは就任後、短期間でチームを改革するにあたって取り組んだのは「選手たちのメンタリティを変えること」と「規律を重んじること」。その結果、第20節の2試合と第21節の第1戦に手ごたえをつかみ、第2戦の勝利へとつながったのだと話す。
「今までの自分たちとは全く違うチームだということを感じ取ってもらえたら嬉しいです。それが一番の目標でしたし、簡単な目標ではないことは確かでした。その目標を達成できたことは本当に大きなことですし、それを達成できたこのチーム、そして選手を誇りに思います。この球団を応援してくださっている皆さんも同じように誇りに思っていただけたらと思っています」
目まぐるしく状況が変わっていくチームの中で、ゲームキャプテンとしてチームを率いてきたキーファー・ラベナも勝利を喜んだ。
「(勝利して)すごく嬉しいです。1勝1敗ではありますが、勝利できたことでやっと連敗を止められたことは本当に大きく感じています。ここ2ヶ月間、球団に関わる全員がタフな状況下を戦ってきました。この勝利をきっかけに残りのシーズンを良い形で戦っていきたいと思います」
連敗中もチームをけん引してきた柏倉も感慨に浸る。
「しばらく味わえていなかった感覚だったのでやっぱり勝利って本当に嬉しいなと思います。勝つのって難しいなというのを改めて実感しました。今日の勝利が次に良い感じに繋がると思います。また引き続きチームで頑張っていきたいと思います」
短期間での大改革に柔軟に対応した選手たちの頑張りについてゴメスHCは「全選手が尽くしてくれているのでこれ以上求めるものはないです」と称賛。記者会見の終わりには、スタッフ数名を会見場に招き入れると、「いま私はたまたまHCという職についていますが、それはスタッフの頑張りがあってこそ。一緒に戦っているコーチ陣に感謝したいと思うし、スタッフ全員がハードワークをしてくれていることに感謝しています」と激励。笑顔で会見場を後にした。
18連敗という長いトンネルから抜け出した滋賀。新加入選手の活躍や新指揮官の奮闘もあり、少しずつ希望の光が差し込んできた。目指す理想のチームへ完成度は「20−25%」と話すゴメスHC。チーム一丸で戦い、指揮官のバスケットスタイルをしっかりと遂行できれば、シーズンの終わりにはまた笑顔を浮かべる滋賀レイクスが見られることだろう。
(田名 さくら)