
Bリーグ1部(B1) 京都ハンナリーズは第24節を終え、ここまで21勝20敗。シーズンの3分の2を消化し、西地区4位につけており、2017-18シーズン以来2回目となるチャンピオンシップ(CS)進出を狙っている。そんな中で、司令塔としてチームを支えるのが澁田怜音だ。
今シーズンはここまで39試合に出場し、平均4.6得点1.2アシスト、自己最高となる3Pシュート成功率38.0%を記録している澁田。2月上旬にホームで行われた横浜ビー・コルセアーズ戦では、第2戦で主力の岡田侑大が欠場となり厳しい戦いを強いられる中、キャリア最多となる6本の3Pを決め、チームを勝利に導く活躍を見せた。
ベンチからの出場にもかかわらず、勝利に大きなインパクトを残す澁田。2月24日の練習後、バスケットボールニュース2for1では澁田にインタビューを敢行した。現在のチーム状況やここまでのシーズンの戦いぶり、高校時代の指導者から受けた影響、後半戦への意気込みなどについて語ってもらったインタビューの一部をお届けする。
チームでの役割に苦悩「もっとやらなきゃいけない」
―今シーズンのここまでのご自身のパフォーマンスについての評価は
プレータイムにすごくムラがあるので、あんまり満足はしていなくて、コーチから求められていることをコートで表現できていないというところがとてもあるかなと思います。去年もそういう感じでシーズンが終わってしまったので、苦しむと言ったらちょっと大げさかもしれないですけど、もっとやりたい、もっとやらなきゃいけないっていう思いが強いです。
―高いパフォーマンスがなかなか発揮できない要因はどの辺りに感じますか
細かいミスが多かったりとか、ターンオーバーとかもちろんありますけど、チームで決められた細かい決まりごと、そういうところでの細かいミスというところはまだあると思う。勝つためにはそういう細かい部分、ただシュートを決めるとかアシストをするとかだけではなく、数字で現れない部分というところがすごい大事になってくるというのは理解しているので、そういう部分をもっと突き詰めなきゃいけないなと思います。
―現在の成績についての評価は
選手層も厚くなっていますし、ロイ(ラナ)HCも3年目ということで、ロイHCが求めるチームのバスケットというのもだんだんチームに浸透しているかなと思うので、そこは間違いなく去年よりいいところ。それが結果として勝率に現れているのかなと思います。

ベテラン陣の加入に刺激「すごく助かっている」
―ベテラン選手の加入による影響はどんなものがありましたか
去年は若いメンバーが多くて、勢いというのは間違いなくあったんですけど、逆に崩れやすいというか、立て直せないというところは、誰がとかじゃなくてチームとしてそういう部分があったと思う。今年は大崩れする試合がほぼないんじゃないかなと思いますし、ハーフタイムにロッカールームへ戻ったあと、コーチたちがロッカールームに入ってくるまでちょっと時間があるんですけど、そういう時も去年とは雰囲気がちょっと違うというか、選手同士でしっかりコミュニケーションをとっていて、コーチの指示が要らないよ、というくらいまでいっている試合も何試合かあります。そういう掛け声の部分だったりとか、もちろんコートでベテラン選手たちがしっかり仕事をしてチームを救ってくれるシーンは多く見られるので、そこはすごい助かっています。
―ベテラン陣から印象に残るアドバイスはありましたか
(川嶋)勇人さんはポイントガードの経験もあって、フルさん(古川孝敏)はシューターのポジションの目線からというか、全部を聞き入れる必要はないと思うんですけど、間違いなく掛け声の中で印象に残るものはたくさんありますし、納得する部分がとても多いです。もちろんすぐにできるかと言われたら、僕のスキルとかチームでの役割があるのでプレーで表せられない時があるんですけど、3年後、4年後にどういう選手になっていくかというビジョンを持たせてくれるという意味で、いろんな言葉をかけてくれるので助かっています。
今までいろんなコーチの元でバスケットをやってきて、ヘッドコーチのことが絶対というか、チームでやることが多かったんですけど、コーチの目線とプレーヤーの目線が違うなというのはずっと感じていて、そこで経験がある選手から「今はコーチのことじゃなくて俺らでやろう」という掛け声だったりとか、そういう選手ならではの目線プラス経験を交えて言ってくれるので、すごく勉強になります。
―ベンチからの出場で一番重要視している部分は
流れを変えるのがベンチメンバーの役割の一つだと思うので、そこをどう流れを変えるかって考えた時に、チームの中で僕が長けているものは圧倒的にスピードだと思う。ペースを上げたり、守っていてもフィジカルや強さ、身長とか身体能力で敵わない部分はスキルとか戦術でカバーしきれない部分もあると思っていて、スピードもその身体能力の一つだと思うので、相手の戦術をスピードで全部壊すっていう、このチームでは僕にしかできないことだと思うので、そこを意識してやっています。
―ロイ・ラナHCが年初の大阪戦の会見で渋田選手については「若手ではないと思っていて、もっと貢献してほしい」とおっしゃっていました。ボールハンドリングとディフェンスのところでもっと出場機会を勝ち取ってほしいと期待されていたのが印象的でした
そこはずっとコーチから言われているところで、レベルが上がっていくにつれてディフェンスで相手にアドバンテージを取らせないというところは間違いなく大事になってきますし、今(取材時に)日本代表戦をやっていますけど、(日本代表の選手は)どの選手もいい強度でディフェンスをしているので。強度だったり、IQの部分も、僕が今一番スキルアップしなければいけないところかなと感じています。

2017-18シーズン以来のCS進出へ「どれだけチャレンジできるか」
―現役NBA選手のユスフ・ヌルキッチ(シャーロット・ホーネッツ)が飛び込みで京都の練習参加されていましたが、一緒に練習されてみて何か得たものやアドバイスはありましたか
僕らの練習はワークアウトみたいな感じで、対人も無いしシューティングのメニューばかりだったので、アドバイスはもらう機会がなかったんですけど。あれだけ身長があって体格もあって、僕が見てきた選手だとそういう選手って手先が器用ではなかったりとか、動きがちょっと鈍いという僕のイメージがあったんですけど、それが全部覆されたというか。あんなに体が大きくて、でも手は繊細で、シュートタッチもすごく綺麗で、というのは衝撃を受けました。これが世界のトップレベルの選手なんだというのは、シューティングで違うなと(わかりました)。そのレベルに行ったことがない僕でも分かるということは、相当すごいことなんじゃないかなと思います。
―影響を受けた指導者に大阪エヴェッサで選手としてプレーされた経験のある斎藤資さんの名前を挙げられていますが、どんな影響がありましたか
当時の周りの高校生ってひたすら走ったりとかフットワークばかりやってという、ちょっと古いかもしれないですけど、根性論での指導が多かったんじゃないかなと思うんですけど、(斎藤さんは)高校の時からプロに近いというかプロ意識を持たせてくれるような練習メニューだったり練習以外での取り組み方だったりというのを指導されていたので、そういう部分で高校生ながらにもっと自分の意識を上げなきゃいけないというのは思っていました。
―プロ選手になることへの影響はありましたか
当時はインターハイでどれくらい勝ちたいとか活躍したいっていうことは思っていましたけど、その先のプロのことは特には考えていなくて。でもプロになってみて、過去を振り返った時にその取り組み方が今の自分にフィットしていますし、高校の時にそれをやっておいてよかったなというのは感じますね。
―京都に来て2年目ですが、オフはどのように過ごされていますか
コーヒーが好きなので、コーヒー飲みに行ったりとか、サウナに行ったり。結構気分屋なので、前々から予定立ててというのはあまり好きじゃないので、その日にこれをしたいと思ったことをしちゃいますね。寝ていたいと思ったらずっと寝るし、これを食べたいと思ったら食べに行くし、みたいな感じでその日の僕に従って動いています。
―シーズンの後半戦はどんな戦い方していきたいですか
CSに向けてというところがチームとしてあるので、もちろんこれまでの試合も大事ですけど、これからの残りの試合は一勝とか一敗の価値が変わってくる時期だと思います。僕としてはどれだけプレータイムで食い込めるか、どれだけチャレンジできるかというところが楽しみですし、一つでもチームに貢献して目標を達成できるようにと思うので、どんなことがあっても前に進み続けたいなと思っています。

(金澤朱志)