【バスケ日本代表】ホーキンソンも絶賛!18歳ビッグマン川島悠翔が見せたパリ五輪メンバー入りの可能性
グアム戦でプレーする日本代表の川島悠翔©Basketball News 2for1
バスケットボールニュース2for1代表。スポーツニッポン新聞社の編集者・記者を経て、2020年に現メディアを立ち上げる。日本代表やBリーグからNBA、WNBAまで国内外さまざまなバスケイベントを取材。スポーツライターとしても活動している。

 「今日は(試合に出場させられなくて)悪いけど、川島選手を使いたかった。本当に使いたかったけど、できなかった。彼のディフェンスは素晴らしいです。本当に」

 上記は25日のFIBAアジアカップ予選(Window1)中国戦後に日本代表のトム・ホーバスヘッドコーチが発した言葉だ。

 22日のグアム戦、25日の中国戦に勝利し、今回のウインドウを2連勝で締めくくった日本。2試合連続でロスター入りを果たした11人のうちの1人が川島悠翔であり、ホーバスHCが称賛した選手だ。2023年3月に福岡大大濠高校を中退し、現在はオーストラリアのNBAグローバルアカデミーでプレーする18歳。200㎝の長身ながら、運動能力を生かした素早いフットワークやドライブが武器の若きビッグマンであり、日本の将来を背負う選手として期待されている。

グアム戦でA代表デビュー 6得点に“ダンク未遂”

 今回のアジアカップ予選では、22日のグアム戦でA代表デビューを果たした川島。13分56秒間の出場でレイアップシュート2本を含む6得点、3リバウンド、2アシスト、1ブロックを記録した。試合終了間際には速攻からボースハンドのダンクを披露するも、惜しくも時間切れとなり得点はカウントはされず。それでも、A代表でのデビュー戦を終えた川島の表情は笑顔であふれていた。

 決めきることができなかったダンクについては「やっぱりダンクにいけるとこは行こうと思うし、初得点(の場面)とかいけたと思うんですけど。あと勇樹さんの合わせからもダンク狙えたりしたので」と悔しさをにじませ、チャンスがあれば積極的に狙っていく姿勢を見せた。

 現在はNBAグローバルアカデミーで日々腕を磨いている川島だが、昨夏のワールドカップ前には日本代表の練習にも参加していたという。その時以来、約6か月ぶりに川島のプレーを見たというジョシュ・ホーキンソンは、川島の成長ぶりに舌を巻く。

 「僕は川島の大ファンだよ。今回は6か月ぶりに会ったんだけど、彼はワールドカップ後からすばらしく成長していた。スキルはもちろんだけど、フィジカル的にも成長していて、すごく誇らしくなったね。彼の成長が見られたのはチームにとっても収穫だった」

 デビュー戦の前には緊張していた川島に声をかけ、緊張をほぐしていたという。

 「彼がグアム戦に出場する前、ちょっと緊張しているように見えたから『ペップトーク(発破をかける言葉)』をしたんだ。何を言ったかは言えないけど(笑)、緊張をほぐすために『自分がやってきたことや努力を信じて』といった言葉をかけたかな。彼は素晴らしい選手だし、『自分のやるべきことをやれば大丈夫だ』ってね。実際、グアム戦では素晴らしいプレーを見せたし、彼には明るい未来が待っていると思う。だから、僕も彼を母校へリクルートしてみたんだよ。『ワシントン州立大はいい大学だよ。いい選手が揃ってるし、いい学校だから行かない?』ってこっそりね(笑)」

 「(先輩方から)『どんどんやれよ』っていう言葉をかけてもらって。(その言葉を)信頼してプレーできました」と川島。“先輩ビッグマン”であるホーキンソンについては「細かいところが本当にホーキンソンさんは上手で、すごく学ぶところがたくさんある。練習中もよく見て、いろいろなものを吸収しようと頑張ってます」と語り、代表合宿でも充実した時間を過ごしたようだ。

グアム戦では6得点を記録した川島(右)©Basketball News 2for1

手薄なインサイドに厚みをもたらせるか

 昨年のワールドカップでチーム史上最多の3勝を挙げ、48年ぶりとなる自力でのオリンピック出場を決めた男子日本代表。今アジアカップ予選では主要大会では88年ぶりに中国から勝利を挙げ、今夏に行われるパリオリンピックについてはホーバスHCが「ベスト8以上」と目標を立てるなど、世界との差を急速に縮めていっている。

 勢いに乗るアカツキジャパンだが、パリ五輪で8強以上を目指すためにはまだまだ課題は山積している。

 まず一つは3ポイントシュートの成功率だ。今回のアジアカップ予選では、グアム戦で26.7%(12/45)、中国戦で34.4%(11/32)としており、ホーバスHCが目指す「40%近く」の成功率には届いていない状況だ。ただ、中国戦に関しては積極的なペイントアタックからフリースローを27本獲得できており、指揮官も「(オフェンスの)バランスはよかった」と評価している。昨夏のワールドカップでは3Pショットの成功率が上がらない試合で苦戦していただけに、そういった展開の中でも活路を見いだせたことは収穫だったといえるだろう。

 もう一つの課題はビッグマンの層の薄さだ。中国戦では接戦を制したものの、リバウンドにおいては44対33と差をつけられ、オフェンスリバウンドも15本許している。ペイント内での得点も日本の22得点に対して中国には36得点を許しており、サイズのある中国にインサイドでアドバンテージを握られていた。世界のトップ12か国が集うオリンピックでは中国のようにサイズのあるチームが多くあり、パリ五輪で勝利を目指す日本にとっては避けては通れない課題となるだろう。

 ホーバスHCも今後の日本の課題としては「4番(パワーフォワード)のディフェンス」の強化を挙げている。中国戦では先発で出場したパワーフォワードの吉井裕鷹が約19分間で5ファウルを記録し、退場を余儀なくされた。ホーキンソンの獅子奮迅の活躍もあり最後は逃げ切ったものの、パリ五輪ではワールドカップのドイツ戦のようにホーキンソンがファウルトラブルに陥る可能性は大いにある。渡邊雄太八村塁らNBA組がチームに加わればインサイドにも厚みが加わるが、それでもその他のビッグマン勢の成長がチームの底上げになることは間違いない。

 アジアカップでのビッグマンの活躍についてホーキンソンはこう話す。

 「ウチのビッグマンたちは今回の合宿でもハードにプレーしていたし、いいプレーをしていたと思う。今回のアジアカップで経験も得られたしね。特にジョシュ・ハレルソンが今回の合宿でいて、彼とマッチアップできたことで、僕だけじゃなくて川島や川真田、(渡邉)飛勇にとってもいい経験になったと思う。素晴らしい選手を相手に2週間練習できたということがね」

 ビッグマン勢のステップアップが課題となっているチームにおいて、指揮官が「本当に使いたかった」と期待を寄せられている川島。ワールドカップ後の半年間で急成長を見せた200cmのパワーフォワードがさらなる飛躍を遂げれば、パリ五輪での代表入りも夢ではない。

 グアム戦後のヒーローインタビューでは、「パリオリンピックのメンバーをしっかり狙っていく」と意気込んだ川島。開幕まで5カ月を切ったパリ五輪に向けて、大きな伸びしろを持つ18歳の若きビッグマンの成長に期待したい。

(滝澤 俊之)

グアム戦後に笑顔を見せる川島悠翔©Basketball News 2for1

関連記事

Twitterで最新情報をゲット!

おすすめの記事