Bリーグ1部(B1)は3月11、12日に2022年12月17と18日に開催予定だった第12節の代替試合を行った。東地区3位の群馬クレインサンダーズはアウェイの青山学院記念館(渋谷区)でサンロッカーズ渋谷(中地区3位)と対戦。第1戦では82-91でSR渋谷に敗れたものの、翌第2戦では接戦を制し87-80で勝利。同一カードを1勝1敗で終えた。
CS圏内の名古屋Dに4ゲーム差と迫る
B1昇格2シーズン目にして、チャンピオンシップ(CS)進出が目指せるポジションを維持している群馬。3月11日の試合を前に、CS圏内のワイルドカード下位に位置する名古屋ダイヤモンドドルフィンズとのゲーム差を3としており、CS進出を目指すうえではSR渋谷戦は連勝必須の状況となっていた。
一方、バイウィーク前から徐々に調子を上げ、群馬との対戦を前に連勝を4に伸ばしていたSR渋谷にとっても、中地区でのCS出場権を勝ち取るためには是が非でも勝ちたい試合。そんな両者が激突した11日の第1戦は、SR渋谷がホームの後押しを受け第4クォーターに差を広げ連勝を5に伸ばした。
CS進出を目指す群馬にとっては絶対に落とせない第2戦。この日は試合を通して両者譲らず一進一退の展開となったが、群馬はトレイ・ジョーンズを中心にゲームをコントロール。第4Qの勝負所で6得点決めたジョーンズは、試合を通して26得点5アシストを記録し、フリースローは14本中14本すべて成功させるなどを素晴らしい集中力でチームを勝利に導いた。試合後には水野宏太HCも「トレイ選手を筆頭に、ゲームのトーンを作ってくれた」とエースを称賛した。
豪快ブロック チームに活力を与えた八村阿蓮
水野HCは「プライドを見せる戦いにしよう」とチームに声をかけ、第2戦に臨んだという。指揮官の言葉に呼応するかのように、試合中にエナジーを見せていたのが八村阿蓮だった。22分34秒の出場で2得点2リバウンドとスタッツ自体は特筆すべきものではないものの、ディフェンスや泥臭いプレーで貢献。第4Q残り3:30には元チームメイトのベンドラメ礼生のレイアップシュートを豪快にブロックし、相手ベンチに向かって吠えるなど気迫あふれるプレーでチームを活気づけた。
指揮官の信頼を勝ち取り、前日から出場時間を倍増させた八村。チームにエナジーを与えたブロックショットについては「自然と『どうだ、やったぞ』(という気持ちになった)」と満足げに振り返る。
「シュートタッチが徐々に戻ってきている中で、ディフェンスでチームに貢献できることがあると思ってプレーしていた。そんな中で最後の局面でディフェンスの意識があのブロックを生んだ」
水野HCも八村について「リバウンドに対するエナジーを一つ一つしっかりと見せ、『球際をしぶとく戦っていくぞ』という気持ちもしっかり出ていた」と評価。若手ビッグマンの活躍に目を細めた。
水野HC「チームとして歩みを進める」
昨シーズンを25勝30敗で終えた群馬。今季はここまでですでに23勝16敗と、CSを狙える位置にまで勝率を伸ばしている。WCの順位では、CS圏内にいる西地区4位の名古屋D(27勝12敗)と4ゲーム差まで迫っており、終盤戦も負けられない戦いが続く。
水野HCは「相手がどのチームでも自分たちのバスケットを出していきたい。残り約20試合でチームとしての文化を作ることで、確実にチームとして歩みを進めていることを確認しながら、その先の結果もついてくればいいなと思っています」と残りの戦いを見据える。
4月15日には新アリーナの「オープンハウスアリーナ太田」の開業を控え、「新B1」への準備も着々と進めている群馬。群馬県にバスケットボール文化を根付かせるためにも、今シーズンにCS進出を果たし、勢いをつけたいところだ。
(吉本 宗一朗)