Bリーグ1部(B1)の群馬クレインサンダーズは9日、アウェーで信州ブレイブウォリアーズと対戦し71-63で勝利。開幕節第1戦で14得点と活躍した五十嵐圭や今オフに琉球ゴールデンキングスから移籍した並里成を怪我で欠く中、見事勝利を手にした。
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第1戦沈黙も第2戦では攻守で信州を上回る
前日の第1戦では、第1クォーター(Q)の出だしこそリードを奪うも、その後は信州の3ポイントシュートが立て続けに決まり、第1Q後半から主導権を相手ににぎられてしまった群馬。そのまま流れをつかむことができず55-80で敗れた。水野宏太ヘッドコーチ(HC)は試合後、「信州のアグレッシブなディフェンスに対して自分達が受け身になってしまった。そして準備してきたことが第1Qから出来なかった」と反省点を口にした。
一夜明けての第2戦では、トレイ・ジョーンズがチーム最多の26得点をマーク。得意の速攻からの得点も多く決まり、「攻撃力のある群馬」を体現した。守備面でも第1戦で信州に与えてしまったファストブレイクポイント25点(速攻からの得点)を3点に抑えるなど改善し、信州を63失点に抑え勝利。前日のリベンジを果たし、第2節は1勝1敗で幕を閉じた。
水野HC「フィジカルにファイト」チームの取り組みを評価
今季から群馬の指揮官に就任した水野HCは「フィジカルにファイトすること。自分達のスタンダードをどこに持ってきてどのように示せるのか。全員でしっかりチャレンジしたいという話をして、選手やスタッフがその期待に応えてくれた。彼らの頑張りに感謝したい」とチームを評価。「(勝利した要因として)シュートが決まったということもあったが、(オフェンスの)終わり方や攻め方で自分たちが準備してきたことができたというのは良かったかなと思う」と勝利を称えた。
第1戦では11本だったフリースローを18本まで伸ばしたオフェンスや、タフなディフェンスで信州のフィールドゴール成功率を第1戦より低く抑えるなど、「フィジカルにファイトすること」を意識して向かってきた群馬。信州の生原秀将は「相手がアグレッシブに来ることに対して自分達はそれを超えるぐらいの気迫を込めてプレーをしていたが、ファールがかさみあまり快適にプレーが出来ず、リズムを崩してしまった」と肩を落とした。
プロの道を歩み始めた八村阿蓮「Bリーグでトップの選手になりたい」
「自分達の力を出し切れば勝てると信じていた」と試合を振り返ったのは群馬の八村阿蓮だ。昨年12月に特別指定選手として群馬に加入し、今季から正式に「プロ」としての道を歩むことになった。プロのキャリアがスタートしたことについて八村は「オフシーズンでフィジカル含めてしっかり準備することができたことが開幕戦からの自分の出来に繋がっていてすごくいい方向に向かえている」と手ごたえを口にする。
今季から本格的に3番ポジションに挑戦している八村は第1戦で9得点、第2戦では5得点を記録。開幕節よりプレータイムも伸ばし、チームの勝利に貢献するなど、新しいポジションでの活躍に期待が高まる。
オフシーズンではNBAワシントン・ウィザーズでプレーする兄・八村塁ともトレーニングを行い、バスケットに向き合う姿勢を学んだという。プロキャリアをスタートさせた八村は「Bリーグでトップの選手になりたい」と今後の活躍を誓った。
「強い有数のチームになるために、やるべきことを徹底」
開幕から3勝1敗、強豪東地区で2位につけるなど、好スタートを切った群馬。水野HCは今季のチーム作りに関して「事前にしっかり準備をすること。戦う文化をつくることが第一」と語る。続けて「それはいきなりつくれるものではないですし、道のりはまだまだ長いと思っている。そのためお互いの意思の疎通をしっかりしていきながら自分達がBリーグの中でも強い有数の一つのチームになるために、やるべきことを徹底していきたい」と就任1年目の思いを口にした。
チーム最年少の八村は「新加入の選手も含めて、お互いコミュニケーションを取ることができ、すごく良いチームに仕上がっていると思う」と充実の表情。「現時点で3勝1敗だが、ここから勝ち星を伸ばしていきたい」と力強く語り、会見場を後にした。
昨季はB1昇格チームとして史上初となる勝率4割超えを記録し、今季はB1で2シーズン目に挑む群馬クレインサンダーズ。五十嵐やパーカーら経験豊富なベテラン軍団に、並里成やケーレブ・ターズースキーといったニューピースが加わり、さらなる飛躍が期待される。新たなメンバーを加え、水野HCがつくり出す群馬の新たな文化は、東地区の勢力図をも変えてくれるに違いない。
(芋川史貴)