Bリーグ1部(B1)は10月7から9日にかけて各地で第2節が行われ、ドルフィンズアリーナ(愛知県名古屋市)では名古屋ダイヤモンドドルフィンズと琉球ゴールデンキングスが対戦した。
昨シーズンから西地区でしのぎを削り合い、ともに第1節を2勝0敗とした両者が激突したこのカード。第1戦はホームの名古屋Dが得意のアップテンポなオフェンスから得点を重ね94-72で勝利。続く第2戦では、前日の試合での反省点を修正してきた琉球が最後までリードを守り切り、91-82で名古屋Dをくだした。バスケットボールファン注目の西地区の強豪同士の「第1ラウンド」は1勝1敗の五分で幕を閉じた。
齋藤拓実が23得点 第1戦、堅守からリズムをつかんだ名古屋D
第1戦、名古屋Dは序盤から琉球に対して高い位置でプレッシャーをかけ続け、スティールやターンオーバーを誘発。堅いディフェンスから試合の流れをつかむ。後半はファウルトラブルに苦しむ場面はあったものの、4本の3ポイントシュートを含む23得点を記録した齋藤拓実の活躍などもあり、ホームで勝利をつかんだ。
開幕節のシーホース三河戦でB1リーグ戦1試合最多アシスト記録タイである18アシストを記録した齋藤。
第1戦でも3ポイントシュートを5本中4本(80%)成功させるなど、高いパフォーマンスを発揮しファンを沸かせた。その齋藤はこの第1戦をこう振り返った。「5年連続地区優勝しているチームが相手だったので、名古屋Dとしてもかなりモチベーションの高い状態で挑めた。チーム全員でファウルトラブルを乗り越えて勝てたことは自信に繋がったし、チャンピオンシップにも近いゲームが出来たと思う」。
名古屋Dのショーン・デニスヘッドコーチ(HC)は「最初からフィジカルな試合になることは予想していた。オフェンスではいい動きが出来たところが良かったと思う」と白星を振り返る。「リーグで1番フィジカルなチームを相手に25ファウルを取られたことが第2戦での課題となる。うちのチーム(名古屋D)はディフェンスからテンポ良くプレーをするチームなので、明日(第2戦)はより強力なディフェンスでターンオーバーを誘ってそこからテンポの良い試合を展開したい」と第2戦へ意気込んだ。
17TOVにFG35.4% 桶谷HC「負けるゲームはこういうゲーム」
一方、琉球は名古屋Dの堅いディフェンスを前に17ターンオーバーを献上。流れをつかみきることができず、フィールドゴール成功率も35.4%と低迷した。ディフェンス面では、名古屋Dの強力なアウトサイド陣を止めることに注力するあまり、ペイント内で48得点を許すなどインサイドをつかれてしまうシーンも多く見られた。
琉球の桶谷大HCは「負けるゲームはこういうゲームだろうなと思っていた」とコメント。「こういったゲームを序盤で何回か経験することによって、対処方法を見つけチームを作っていくのがキングスのスタイル。あくまでもこれはキングスのチャレンジだと思っている」と冷静に試合を振り返った。
しかし、そのコメントからはチームと選手への信頼と、シーズンを通して成長していけるという確信が感じられた。桶谷HCが新しく提唱する「ポジションレス」については「状況判断を早くしていけるようになったらポジションレスは可能になると思っている」と語り、新たなスタイルへの自信を口にした。
ダーラム最多22得点 第2戦は琉球がリベンジ
両者共に序盤から激しい攻防を繰り広げた第2戦。前半、琉球がリードを2桁に広げる時間帯があったが、名古屋Dも譲らず接戦のまま後半へ。後半は、22得点6リバウンド5アシストとマルチな活躍を見せたアレン・ダーラムやフリースローから得点を稼いだ今村佳太などの活躍で、琉球がリードを広げて見事勝利。前日の試合での反省点を生かし、西地区王者のプライドを見せた。
ゲームハイの得点でチームに貢献したダーラムは「第1戦では簡単なミスから流れを失ってしまっていたので、今日はそういった点を修正できるよう意識してゲームに挑みました。シーズンは長いので目の前の1勝1敗にマインドを左右されないよう、長期的に考えてチームを作っていけるよう今後も日々取り組んでいきます」とコメント。長期的な目線で成長を目指す桶谷HCのビジョンが選手にもしっかりと根付いていることがうかがえた。
1勝1敗の五分に終わった今回の対決。次回の対戦は11月30日ドルフィンズアリーナで行われる。熱戦を繰り広げてくれるであろう両者の「第2ラウンド」が楽しみだ。
(田名さくら)