
Bリーグ1部(B1)は、11月1日、2日の両日、各地でレギュラーシーズンの第7節が行われ、西地区の滋賀レイクスはホームの滋賀ダイハツアリーナで、秋田ノーザンハピネッツと対戦した。
前日の第1戦では試合終了間際にリバウンドで競り負け、悔しい逆転負けを喫した滋賀。翌第2戦は、第1クォーターからガード陣が激しくプレッシャーをかけ、ディフェンスからリズムをつくる。攻めては速いボールプッシュから全員がゴールにアタックする姿勢を見せ、前半を58-36と大きくリードして折り返す。後半に入ってもインテンシティーの高いディフェンスで相手にタフショットを打たせ、リバウンドをしっかりと取るなどして、着実にリードを広げる。第4Qは秋田に点差を縮められる場面もあったものの、落ち着いてリードを守りきり、最後は89-73で勝利。第7節を1勝1敗で終えた。今節を終えて、滋賀は7勝5敗で西地区5位につけている。
この試合では、滋賀はザック・オーガストがキャリアハイの32得点に加えて12リバウンドのダブルダブルを達成。そのほか、西田陽成と野本大智がともに10得点、游艾喆が12アシストを記録して勝利に貢献した。試合後、記者会見に登場した前田健滋朗HCと野本、オーガストのコメントを紹介する。
前田健滋朗HCの秋田戦後のコメント
――秋田戦(第2戦)の総括
今日(第2戦)、4500人を超えるたくさんの皆さんに来ていただいて、勝利という結果を届けることができて嬉しく思っています。試合の途中に(秋田の)田口選手が足をけがして、その後出場がなかったので、何もなくすぐに復帰してプレーされることを一番祈っています。
試合に関しては、自分も秋田に在籍していましたし、顕蔵さん(前田HC)の元でアシスタントコーチをやらせていただいていました。やはり毎年30勝をあげているクラブだけあって、どんな状況でも戦い試合をつくっていくというところをやり続ける。そこに対して自分たちは苦戦した2試合だったと強く感じています。どんな苦しい状況でも小さな光を探して、なんとか試合をつくっていくというところを感じさせられましたし、勝利以上にコーチとしても大きな学びがあった試合だったと思っています。
――昨シーズンから在籍するガード陣のディフェンスの成長面での評価について
やはり昨シーズン1年、このB1の舞台で60試合戦ってきたことが一つ大きいのかなと思っています。ただ、まだまだもっと成長していかなければいけないとも同時に強く思っています。ディフェンスの部分で言ったら、本当にまだまだだなと思っています。
この例えをしていいのかはわからないですけど、秋田の中山拓哉は自分が秋田にいた頃、まだ若手でしたが毎年毎年ディフェンスのレベルを上げて、リーグトップクラスの選手になっています。他には茨城の長谷川暢、FEの保岡龍斗など当時の秋田の若手選手が、今リーグの中でディフェンスで存在感を出しているということを考えると、今のうちの日本人選手たちと状況としては似ていると思います。もっともっといいディフェンダーになれるとそれぞれが思って、しっかりと成長して欲しいと思います。それをやりつづければ、名前を挙げた選手たちやそれ以上のディフェンスができる選手になれる可能性があると思っているので、もっと頑張ってほしいです。

――第1戦は悔しい逆転負け、第2戦も終盤に追い上げられる展開もあったが、ゲームクロージングの課題についてどう考えているか
そこがうまくいかなかったから、昨日(第1戦)は負けたと思っています。なので、私個人としてはしっかりとチームをああいった状況下で勝たせられるように、良いコーチングを今後もっとやっていかなくてはいけないと思っているというのが一つです。
もう一つは、このリーグ今26チームあって、(1日に)13試合ありますが、4,5試合が7点差以内の僅差の試合が多くなっている中で、やっぱりちょっとしたミスが命取りになって負けてしまう。昨日のうちで言ったら、最後の逆転されたリバウンドがフォーカスされるかもしれないけど、最後の5分をもっと良いゲーム運びをしなくてはいけないですし、残り1分のところで良い時間の使い方をして、ターンオーバーをしないようにしないといけないと強く感じています。ただ、ああいった状況で決めきる選手もこのリーグにたくさんいる。田口選手の昨日のオフェンスリバウンドは素晴らしかったと思っています。彼は自分の記憶では、bj時代にプレーオフで残り1秒で逆転の(第1戦と)同じようなオフェンスリバウンドからの得点を決めて、ファイナル4進出を決めている。そういったことをしてきた選手で、そういったことができる素晴らしい選手がいるというのがこのリーグの特徴であるので、そんな選手に対してもしっかりと止めきる必要があると思っています。
今日に関しては、秋田さんが本当にトラップしてきたり、ラインナップを変えてきたり、非常にアグレッシブにやってきていて、正直自分たちに足りない部分はありますが、秋田さんのディフェンスが素晴らしく、あの状態から戻してきたというのがあるので、秋田さんに対するリスペクトと、自分たちはもう少しベターなゲーム展開をしなくてはいけないというところを強く感じています。今後、しっかりとコーチとしてチームをリードしていきたいと思います。
野本大智の秋田戦後のコメント
――秋田戦の総括
まずは勝利できたことにほっとしています。昨日(第1戦)の敗戦から今日の勝ちはチームとして絶対に欲しいものだったので、それを得られてよかったと思います。ただ試合の中で自分たちが修正しなくてはいけないポイントや、ゲームの終わり方はもっと徹底すべきことがありました。勝利の喜びと、自分たちの課題にしっかりと取り組んで、次の試合の準備をしたいと思います。
――好調の要因であるディフェンス面の評価は
プレシーズンと、シーズンを通してディフェンスは良くなってきていると思います。佐賀戦であったり、自分たちが2連敗した試合は、良いディフェンスができていなかったと感じます。ガードのプレッシャーや、もちろんビッグマンのリムプロテクトやスティールの部分がよりはまってきた印象があって、シーズンを通して良くなってきていると感じています。

――昨シーズンからガード陣が激しくプレッシャーをかけるディフェンスを目指していたが、今シーズンはどのような部分が機能しているのか
昨シーズンはディフェンスが全くできていなかったとは思っていないですけど、今シーズンは他の選手が「もっとやらないといけない」「こういう風にやらないといけない」と思うような見本となる、ディフェンスを周りに見せる選手が増えてきたと思います。今だったら(西田)陽成や、(常田)耕平、やZ(ザック)もそうですけど、ディフェンスの部分でより大きく貢献できる選手が、よりタフにやってくれているのが、(ディフェンスがうまくいっている)要因なのかなと思います。
――ガード陣のポジション争いが激しい中、良い意味での相乗効果を感じるか
もちろん、それはあります。誰も保証されたものはないですし、相乗効果みたいなものはすごくあると思います。やはりそれ(ハードなディフェンス)をしないとコートに立てないというのをみんな理解していると思うので、ディフェンスに対する緊張感のようなものがチームの中にあるのかなと思います。
ザック・オーガストの秋田戦後のコメント
――秋田戦の総括
まず、今日勝てたことをすごく嬉しく思っています。昨日(第1戦)のパフォーマンスは、個人として良くなかったので、それをどうやって変えるかというと、ここに来て勝つだけ、それしかないと思っていました。チームのモットーに「Set the standard, be the standard(自分たちが基準を決めて、自分たちが基準になる)」というものがあるのですが、今日の試合はまさにそれでした。自分たちがどの試合で良いパフォーマンスをする、悪いパフォーマンスをすると選ぶものではなく、これがスタンダードであり、どの相手に対してもこれをしなくてはいけないと思っています。今日のような勝利はバイウィーク前、連戦が続きますが、これを続けていきたいというような試合になったと思っています。

――チームでの自身の役割をどう考えているか
オンコートでは、自分は今まで良い経験を積んできているので、「勝つメンタリティー」をチームメイトに伝えるのが自分の役割だと思っています。自分自身とチームメイトに責任を持ち、今シーズンの目標である30勝達成のために、日々ハードに練習することを徹底させたいです。
オフコートでは、性格的にチームメイトや家族と一緒に過ごすことが好きなタイプです。一緒に過ごすことでつながりや快適さが生まれ、そういうものがコート上にも現われてくると思っています。それがお互いを信じること、ボールをシェアすることにつながると思っています。全員が全員ベストフレンドにはならないかもしれませんが、仕事を離れて仕事以外のことを一緒にすることで気付きもあると思います。逆に日本人選手が、自分の知らない日本のカルチャーや食べ物を教えてくれることもあり、オフコートの時間を一緒に過ごすことはとても大切だと思っていますし、その時間を楽しんでいます。リーダーとして、経験のある者として、最高のチームメイトであることが自分の役割だと思っています。
(高久理絵)






