
Bリーグ2部(B2)は2日から5日にかけて各地でレギュラーシーズンの第1節が行われ、東地区の信州ブレイブウォリアーズはホームのホワイトリングで同地区の山形ワイヴァンズと対戦。4日の第1戦は94-60、5日の第2戦は96-79で勝利し、開幕2連勝を決めた。
主力選手の若返りに成功し、スピーディーなプレーや運動量が増えた今季の信州。山形戦では、激しいディフェンスから速攻へとつなげ、得点を重ねるシーンも多く見られた。ハーフコートオフェンスでも、オフボールの動きが増加し、リングに向かっていく回数も増えている印象だ。昨季のようなオフェンス時の停滞が解消され、流動的なチームプレーが数多く見られた開幕戦だったといえる。
こうした中で存在感を放ったのが、今季から加入した東海林奨だ。青森ワッツから移籍した東海林は、第1戦ではベンチからの出場ながら18分27秒間プレーし、9得点6リバウンド2アシストを記録。出場した時間帯のチーム全体の得失点差を表す「+/-(プラスマイナス)」では、チーム2番目の「+24」という数字を残しており、勝利に大きく貢献したデビュー戦となった。
連続3Pで流れ引き寄せる 勝久HC「本当にうれしい」
第1クォーター残り1分32秒、互いに譲らない攻防が続く中で東海林が3ポイントシュートを沈めた。直後の相手スローイン時には全力で腕を振り、ターンオーバーを誘発してボールを奪う。再び3Pシュートをねじ込み、一気に流れを引き寄せた。さらに第2Q残り2分23秒にはこの日3本目となる3Pシュートを決め、会場を大いに沸かせた。
上々のデビュー戦となったが、東海林は「シュートが入ったのはすごく良かったと思うが、まだまだ目標としているところではない。今日(4日の第1戦)のプレーが百点満点ではないと思うので、もっともっと上を目指して成長していけるようにしたい」と謙虚な姿勢で振り返った。
期待を背負って今オフシーズンに信州に加入した東海林だったが、トレーニングキャンプの前半はけがで参加できていなかったこともあり、プレシーズンゲームでは影を潜めていた。開幕直前の練習でもシステムの理解が追いついておらず、勝久HCからも指摘を受けるシーンもあった。それだけに、開幕戦での大活躍には指揮官の勝久マイケルヘッドコーチ(HC)も目を細めている。
「キャンプ中はけがでスタートが遅れて、やっぱり新加入選手にとってそれはすごく大きいこと。1日でもいなかったり、けがで数日アウトだったりするとそれだけで全然違うので、プロセスは大事だなと改めて感じた。そのプロセスが、最後の方の合流だったわりには今日のプレーは素晴らしかったので、本当にうれしかったです」

万能性が魅力 「外国籍選手を守るところも強みの1つ 」
加入当初から勝久HCに「ダイヤの原石」と評されていた東海林。193センチ91キロのスモールフォワードであり、ボールハンドリング力やシュート力、ディフェンス力にも優れているオールラウンダーだ。青森では年々スタッツを向上させ、チーム内での役割も大きくなっていたが、それでもさらなる飛躍を遂げるポテンシャルを秘めている。
今オフはペリン・ビュフォードやテレンス・ウッドベリー、三ツ井利也らSFの選手たちが多く退団し、そのポジションの補強が急務となっていた。特に、ディフェンスと3Pシュートに特化した「3&D」タイプの選手は信州が強化を目指していた部分でもあり、東海林のスタイルはまさにチームの弱点を補うものであった。東海林自身も、その役割については自覚しているという。
「マイケルさんからは『ドリブルでアタックする役割もできると思うし、アタックしている逆サイドで待っていて、パスをもらってシュートを打つ役割もできると思うから両方やってもらいたい』と言われた。ここ最近はフォワード系の外国籍選手が増えてきたりしていて、それこそ昨年は信州にいたペリン・ビュフォード選手とマッチアップするタイミングがあった。自分よりちょっと大きい選手と、外国籍選手を守るところも強みの1つだと思っている」
第2戦では無得点に終わったものの、ディフェンスやハッスルプレーなどスタッツに表れにくい部分での献身も光った。こうした謙虚な姿勢こそが今後の東海林の成長を後押しするだろう。
鮮烈なデビューを果たし、開幕2連勝に貢献した東海林奨だが、本人はまだ満足する様子を見せない。ダイヤの原石が磨かれ光輝く頃には、どんなプレーヤーへと変貌を遂げているのか。シーズンを通した成長がますます楽しみだ。

(芋川史貴)






