
Bリーグ1部(B1)、2部(B2)に所属する東北6県のチームが参加する「東北カップ2025」が9月13日から15日にかけて岩手県盛岡市の盛岡タカヤアリーナで行われ、秋田ノーザンハピネッツは3年ぶりの優勝を果たした。
14日に行われた準決勝では、B2・東地区の岩手ビッグブルズと対戦。互いに強度の高いディフェンスが武器とあって両者譲らず、リードチェンジを繰り返しながら試合は進む。40−44で迎えた後半、中山拓哉がインサイドへ切り込んで得点すると、岩手県出身で凱旋試合となった菅原暉が後に続き、3点プレーを完成させる。岩手をファウルトラブルに誘い込み、フリースローでも得点を重ねていくと、第4Q残り1.1秒で中山がフリースロー獲得。1本目を沈め、最終的に78−76で勝利し、決勝に進んだ。
B1対決となった仙台89ERSとの決勝では、序盤に新加入のヤニー・ウェッツェルが秋田のペースをつくる。第2クォーターに入ると、仙台のジャレット・カルバーに得点を許す時間帯が増えたものの、栗原翼や田口成浩らが要所で見せ場をつくり、39−26と13点リードで後半へ。第3Qは仙台の岡島和真の連続3ポイントシュートで詰め寄られる場面もあったものの、序盤につくったアドバンテージをしっかり守りきり、78−69で勝利。3年ぶりとなる東北カップ優勝を果たした。
仙台戦では、中山が17得点9リバウンド5アシストとダブルダブル級の活躍。次いで田口が3ポイントシュート4本(成功率80%)を含む14得点とベテラン勢がチームを支え、タナー・ライスナーが13得点5アシストと安定感を見せた。
東北カップを終えた秋田は、B1・西地区の京都ハンナリーズと9月20日には大館のタクミアリーナで、21日には能代のNODENアリーナでプレシーズンゲームを行う。10月4日と5日には同地区のサンロッカーズ渋谷とアウェイの青山学院記念館で2025-26シーズンの開幕戦を迎える。
仙台戦後の記者会見では、前田顕蔵HCとアリ・メザーが記者の質問に答えた。
前田顕蔵HCの東北カップ決勝・仙台戦後のコメント
ーー東北カップ決勝・仙台戦の総括
何年ぶりか分かりませんが、優勝できて本当に嬉しいです。3日目ということで自分たちのスタイルの部分を少し変えた方がいいのか(という思いもあったが)、やっぱり今シーズン自分たちが体現したいことをやろうということで、選手たちが本当にまとまって、それぞれの良さを出しあって、40分間粘って粘って戦ってくれたことが本当に嬉しかったです。それをまた、たくさんの秋田のブースターの方たちと喜べたことも非常に嬉しいです。それにこの3日間、募金活動もしていただいて、被災してしまった人たちに少しでも良いニュースを届けられたんじゃないのかなと思うとより嬉しいです。
ーー第2Qに仙台のジャレット・カルバーへのディフェンスが厳しくなったように感じたが、何か指示したことがあったのか
間違いなく彼がゲームの鍵をにぎっている選手だと思うので、ゲームプランは間違いなくあったんですけど、かなり短い中でのスカウティングだったり、ゲームプランを作っているので、それをもう一回協調して「こうなんだよ」というのを指示してやっていったというところです。
ーーピッチが少し上がったと感じたが、それもそのため?
そうですね。修正しながら、協調しながら、みんなで意識を統一していったような感じです。

ーー人数が少ないなかでの連戦は苦労があると思うが、選手の交代はどう判断していたか
交代は僕だけではなくて、ストレングスコーチ、メディカルスタッフ、トレーナー陣が仕事をしてくれていて、彼らの情報がまわってきて試合中に交代をしている。もちろん、アシスタントコーチ陣も。そこでバランスを取っているような感じです。なので、僕っていうよりはスタッフ陣の力が大きいです。
ーー先日の取材では、仕上がりは4割くらいとおっしゃっていたが、今でどのくらいになったか
その時(8月30日の群馬戦)はやっぱりディフェンスの部分だったり、走りきれなかったりという部分があったんですけど、今日(仙台戦)のこのシチュエーションというのは、戦術もいろいろ使えたというのは非常に良かった。ただ、やっぱりこのリーグは外国籍選手が一人いないだけでガラッと変わってしまうリーグなので、そういう意味では、(現時点での仕上がりは)6割とか。ピンダー選手と高比良選手、彼らが戻ってきてもっと良くなるんだろうなっていうイメージです。なので、まだまだ良くならないといけないと思うし。ただ、2週間前、3週間前に比べたら良くなっているのは間違いないです。
ーーメザーやウェッツェルが以前と比べてよりチームになじんでいる感じがあったが、練習で何か変えた部分はあるか
やり方はかなり変わっています。台湾戦(9月5日)のあとは、8割くらいディフェンスの基礎の練習をしていたので、そういう部分ではかなりアプローチは変わっていますね。
ーー9月の20日、21日にプレシーズンゲームの京都戦が控えているが、そこに向けてどう仕上げていきたいか
まず、本当この3日間をけがなく終えられたことが良かったので、(選手たちには)まず休んでもらいます。選手の体が回復しないことには京都戦に向けられないと思うので。また、自分たちのバスケットを今度は秋田で、大館と能代で(見せられる)。また京都は昨シーズン非常に良かったチームですし、しっかり準備して、勝って、シーズン開幕に向けて勢いをつけたいです。
アリ・メザーの東北カップ決勝・仙台戦後のコメント
ーー東北カップ1日目、2日目はアシストの印象が強かったが、決勝では自身で得点する場面が多かった。何か意識の違いはあったのか
最終日ということもあって勝ちたい気持ちが強かったですし、その中で前田HCがつくったゲームプランをしっかり遂行するという気持ちがあった。それを40分間最初から最後までやっていこうという気持ちの中、第3Qは相手も追い上げてきたところで、自分はオフェンスでチームとしてやりたいこと、求められていることを遂行しただけです。それはアシストだったり、自らの得点だったりという形で、第3Qでは得点になった感じです。

ーー決勝では親友のセルジオ・エル ダーウィッチとの対戦となったが、どうだったか
正直、すごく変な気持ちでした。代表でもそうですし、クラブチームでも3、4年間チームメイトとしてプレーしていたので、こうやって対戦相手として同じコートに立つことが今までない感触でした。プロのバスケ選手としてだけではなくて、幼なじみとして、小さい頃から同じクラブチームでやっていたので、そういう面でもすごく変な感じでしたが、やはりバスケのプロ選手としてコートに立っている以上、どちらかのチーム勝ってどちらかが負けるという状況なので、そこはお互い負けたくない気持ちをお互いに出してプレーしていたと思います。それ以上にレバノン出身選手として、レバノンを代表する選手として恥にならないように、「国を代表してプレーしている」ということを心がけてプレーしていた。こうしてBリーグでお互いプレーできたことは良かったと思います。
ーー秋田のチームの雰囲気はどうか、また今シーズンの目標は
群馬戦はチームに合流して1週間くらいだったので、正直チームになじめてなかったというところがあった。ただその後1週間一緒に練習して、群馬戦を戦ったあとでこのチームは特別なケミストリーが生まれるなという感じがあったので、群馬戦から今まで練習だったり、試合を重ねて(ケミストリーを)高めていくところ。自分もどうやってこのチームで自分の長所を出せるのかを考えながらで、その部分はいま実りつつあるのかなと思っています。
今シーズンの目標としては、(入団)記者会見でも話したように、1試合1試合勝つために全力を出すこと。それが自分たちの目標だと思う。最後に自分たちの目標を修正することはあると思いますが、まずは自分たちが全力でプレーして秋田のファンの皆さまに誇りに思ってもらえるようなプレーをすることが目標です。
(東北支局)






