6連勝西地区3位で終戦の京都ハンナリーズ 岡田侑大「最後まで自分たちのバスケットができた」 退任指揮官にも感謝
古川孝敏(左)とハイタッチをする京都ハンナリーズの岡田侑大©Basketball News 2for1
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 Bリーグ1部(B1)は5月3日と4日の両日、各地でレギュラーシーズン(RS)の第36節が行われ、西地区3位の京都ハンナリーズはホームの島津アリーナ京都(京都市)で同地区8位の滋賀レイクスと対戦した。

 第1戦を勝利し、迎えた第2戦。滋賀はチーム得点王のブロック・モータムが怪我で欠く中、野本大智が序盤にバスケットカウントを決め、勢いに乗る。京都はターンオーバーなどのミスもあり、得点を伸ばすことができず、2桁リードを許す展開に。その後、京都はアンジェロ・カロイアロなどの活躍で逆転すると、終盤はシーソーゲームに。第4クォーター残り1分42秒、滋賀のジュリアン・デュクリーに3ポイントシュートを決められ同点とされたものの、最後は岡田侑大が勝負を決定づける3Pをお返し。76-71で京都が逃げ切った。

 京都は第2戦でカロイアロ19得点、チャールズ・ジャクソンが17得点11リバウンドのダブルダブル、古川孝敏が15得点、岡田侑大が10アシストを記録。京都は6連勝でRSを終え、西地区3位となる33勝27敗を記録した。

 第2戦後、京都のロイ・ラナHC、岡田、水野幹太が記者の質問に答えた。

ロイ・ラナHCの滋賀戦後のコメント

―滋賀戦の総括

 ゲームのスタートはあまり良くないところがありましたが、シーズン通して自分たちが見せられている耐久性の部分はありましたし、第2Q以降は自分たちのバスケットができました。

―京都だけではなく日本のバスケ界全体についても気にかけるような言葉がたくさんあった。HCに就任した当初から日本のバスケ界も変わってきているが、課題に感じる部分は

 全体で見ますと、日本人選手のタレントレベルは上がってきています。自分たちのチームで言えば、岡田、澁田、水野。他にもいますが、若手が成長しているところが日本のバスケ界にとって非常に良いことだと思っています。千葉ジェッツを見ても、瀬川選手だったり、若手の選手がベターになってきています。日本人だけではなく、外国籍もかなり良い選手が入ってきているところが増えていると思っています。うちで言えば、カロイアロ選手のような選手が入ってきているところが良いことだと思います。コーチ陣も日本人コーチも非常に良いコーチが多くて海外からも良いコーチが入ってくる。そういうリーグになってきていると思います。

 唯一課題があるとすると、フィジカルさです。(RSが)60試合ある中で、土日連戦があったり、水曜日ゲームがある中で、これだけのフィジカルさを許しているところがあるので、やはり(けがの)リスクがあると感じています。82試合あるNBAで仕事した経験のおかげで上手くマネジメントすることが出来ましたが、プレースタイルとスケジュールは考えていかないといけないのかなとは思います。

 あと、リーグのCS(プレーオフ)に出られるチーム数にも課題があると思っています。いま、B1は24チームあって、(CSには)8チームしか出られないですが、来シーズンはB2から2チーム上がってきて、26チームになる中で、CS出場チーム数が増えるとゲームに対するワクワクが最後まで残ってくると思いますし、ビジネス面やファンの方の喜びなど、そういうところも出てくると思います。もし、CS出場チームが10から12チームになってくると、最後の最後までエナジーを持った状態でプレーが続けられるところもあると思います。もっともっといろんな機会が増えるのかなと思ってますし、NBAの例で言うと、ゴールデンステート・ウォリアーズがプレーイン・トーナメントから入っていって、(プレーオフのセミファイナルまで)戦っているところもあるので、街にとってはかなり嬉しいことでもありますし、そういうことが日本でも起きてくればもっともっと面白くなるのかなと思います。

―16シーズンのクラブの歴史で3年以上指揮をとったのは浜口炎HCとラナHCのみ。3年間は長いようで短いが、京都はラナHCにとってどんな存在になったか

 妻と子供、親戚や家族が来たり、非常にユニークな場所でした。もちろん観光客の方も多いですけど、自分にとっては特別な場所になったのは間違いないです。あと、組織のことを考えても、間宮アシスタントコーチと過ごすことができて、特別な関係を築くことができましたし、渡邉GMとはカルフォルニアで初めて会って、関係性も出来ました。もちろん、他にも選手だったり、他の人たちとの関係性を築くことが出来たので、非常に素晴らしい経験になったと感じています。

 もう一つ加えておきたいですが、バスケに限らず他のプロスポーツもですけど、やはり継続性はすごく大事だと思っていて、トップの組織を見てみると、どのスポーツでもリーダーシップ、選手も含めてあまり変わらない()。どこかのタイミングで京都もそこはしっかり考えていかないといけないと思います。勝利が求められるところがどうしても出てくるとは思うので、(継続性が)大切だということはメッセージとして伝えておきたいです。

―若い選手の成長について

 若手の成長を見ていくのはすごく意味があるのかなと思っていますし、選手だけではなくコーチ陣も含めてです。もちろん、ベテラン選手が価値を見出してくれるのも嬉しいんですけど、例えば岡田選手の例で言うと、彼のような選手を見つけるのはなかなか難しいとは思っています。必ずしも良い選手が簡単に扱えるかというとそうではない時もあります。もちろん難しい時もありました。ただ、これまでオクラホマシティ・サンダーのシェイ・ギルジアス・アレクサンダーやナゲッツのニコラ・ヨキッチが若い時に見てきた自分の経験の中で、彼(岡田)もすごく才能のある選手だと思っていますし、彼とは2年間でしたけども、彼をヘルプして少しでも彼の成長に繋げられていれば嬉しいと思いますし、本当に彼は良い人だと思っています。日本だけではなく世界でもっともっと羽ばたいていけるような未来が待っているのかなと思っています。

岡田侑大の滋賀戦後のコメント

―滋賀戦の総括

 昨日も今日もタフなゲームになりましたが、そんな中でもフルさん(古川)やCJ(ジャクソン)がチームを引っ張ってくれて、最後までチームとして自分たちのバスケットができたと思う。

記者の質問に答える岡田©Basketball News 2for1

―Bプレミアが数年後に控え、外国籍選手とマッチアップする機会が増えることについて

 難しい部分ではあるんですけど、オンザコートフリーになるのは良い面も悪い面もある。日本人選手のプレータイムが削られるっていうのはあるんですけど、個人的には外国籍とマッチアップする機会というのは今シーズンかなり多かったですし、自分にとってひとつの楽しさでもあったと思います。でも、日本人選手でも小酒部(泰暉)選手だったり、西田(優大)選手とか自分と同い年ですけど、かなり良いディフェンダーもたくさんいるので、外国籍だろうと日本人選手だろうと個人的にはあまり変わらないです。

―ラナHCが今季で退任となったが、PG挑戦やバスケに対する考え方や取り組み方で影響を受けた部分は

 2年間ぶつかりもしましたし、コミュニケーションもたくさんとりましたけど、(試合中に気持ちを)切り替えるという部分においてかなり教わったことがあった。前半ダメな時でも、後半切り替えてプレーするっていう部分もロイさんにはかなり言われました。「ひとつのターンオーバーで下を向くんじゃなくて、ゲーム通してやり続けないといけない」とロイさんが僕にメッセージをくれたので、ポイントガードとしてやっている自分には大きかったです。

水野幹太の滋賀戦後のコメント

―滋賀戦の総括

 厳しい戦いにはなったんですけど、最後勝って終われたことが本当に良かったと思います。

記者の質問に答える水野幹太©Basketball News 2for1

―ラナHCには「マーカス・スマートのような選手になって欲しい。チームで一番のディフェンダーになって欲しい」と言われていたが、どれぐらい達成できたか

 スティールすることは苦手で、しつこいディフェンスが僕の売りという中で、チームルールがあって、あまりファールしないとかヴァーティカルコンテスト(垂直にジャンプして相手のショットをチェックすること)って言うんですけど、スティックハンド、手を上げてっていうのはスタッツに書いてあって、そういう意味ではよかったと思う。スティールでは貢献できなかったので、(出来としては)60~70%。もうちょっと出来た部分はあったなと思います。試合中のコミュニケーションミスも多く、復帰したてのころはテンパって結構ミスもあったりしました。後半戦は良くなってきたけど、まだまだやれた部分はあったなと思います。

―質の高いプレーが多くなったように感じた。変化を感じた部分は

 スタッツの何を見たかはわからないですが、「(プレーの質が)一番上がっている」とコーチに言われました。自分の中でも積極性もありますし、1年目はB1の舞台で苦戦することもあったんですけど、2年目、3年目と続いて慣れてきましたし、戦えるなというメンタルで入れたことがプレーに繋がっていました。あとは仕事上、ディフェンスをしっかりやる、相手のエースを抑えるのが楽しい部分もあったので、そこはステップアップできたなと思います。

―ラナHCのもとでプレーする前と後では考え方、取り組み方など変化部分は

 ディフェンス面はシステムが多かったので、そこはすごく勉強になりました。外のシュートよりアタックの部分を求められていて、シーズン通してレイアップなどの2ポイントの部分がだいたい50%あったので、アタックは強くなったなと思ってます。あとは外のシュートが課題なので、オフシーズンは身体とシュート力をつけたいと思います。

(金澤朱志)

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