信州B1残留のカギを握るアンガス・ブラントが終盤戦へ意気込み「チームは正しい方向に向かっている」
インタビューに答える信州ブレイブウォリアーズのアンガス・ブラント©Basketball News 2for1
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 Bリーグ(B1)は約3週間のバイウィーク(休止期間)を終え、3月1日からリーグ戦を再開した。中地区7位の信州ブレイブウォリアーズは現在7連敗中、ホームでは13連敗中と依然として苦しい状況が続いている。特に、11月のバイウィークからは2勝23敗と負けが込んでおり、第23節終了時点で富山グラウジーズ(4勝35敗)、茨城ロボッツ(5勝34敗)に次ぐ6勝33敗と残留争いの真っ只中にいる。

 そんな中、1月12日に茨城ロボッツから信州に移籍し、大黒柱のウェイン・マーシャルの代役を担うアンガス・ブラントがチームの光明となっている。再開するリーグ戦を前に、ブラントに話を聞いた。

練習でもリーダーシップを見せる©Basketball News 2for1

チームに与えた「献身性」と「プロフェッショナルさ」

 ブラントが信州で初出場したのは1月17日の横浜ビー・コルセアーズ戦。加入から1週間も経っていないにも関わらず、チームメイトのためにスクリーンやシールを繰り返したりと献身性を見せていた。また、ビッグマンとのピックプレーからハンドラーの選手がゴール下に侵入していくというマーシャルが得意とするコンビプレーも披露するなど、信州らしさを感じたブースターも少なくないだろう。結果的には敗れはしたが、9得点6リバウンド1アシストを記録。上述したようなスタッツには表れない活躍を多く見せ、チームに貢献した。

 その試合についてブラントは「ここに来て一番考えていたことは、まずは『自分らしさ』を出せるようにすること。その中で(勝久)マイケルヘッドコーチ(HC)のバスケットは、きめ細かな部分がたくさんあるので、そういう部分を早く学べるようにしたかった」と振り返る。「他のメンバーは半年前からこのバスケットをやっているので、早く追いついて、自分らしさを出して、チームに貢献できるようにという準備をしていた」といい、その姿勢からもいかに献身的なプレイヤーかが伺える。

 勝久HCも「彼が来た初日に『自分に何を求めている?』って聞いてくれた。今我々が何よりも必要なのが「プロフェッショナルさ」。毎日の練習、ビデオミーティング、ウォークスルー、ディテール(細部)、最初から最後まで意識高く、プロフェッショナルに。これが今足りなくて、まずはそこという話をした中で今日の評価に繋がるが、来たばかりなのに、遂行力やメンタルのミスが非常に少なかった。それは毎日意識高くやってくれているからだと思う。ノートをとって、覚えようとして確認をしにくるなど、毎日の練習、最初から最後まで集中していることは彼の目を見て分かる。そうじゃない人も目を見れば分かる。なのでまずはそこのメンタリティの部分を評価している」とブラントを称賛。指揮官からの信頼も厚い。

 加入して間もないチームで、なぜこうも献身的な姿勢を見せられるのだろうか。ブラントは話す。

 「常に献身的にプレーしていたというのはある。その中で今シーズンのことを話すと、開幕戦で茨城の選手として来たときは本当に信州を倒したいという気持ちでしっかりと試合に挑んでいた。今回、信州に来てもその思いは変わらず、対戦相手としっかりと戦って勝つという気持ちもあるし、茨城との試合はもうないが、もし対戦する機会があったとしても、茨城に勝つために自分を犠牲にして、しっかりと献身的にプレーしたいという気持ちはある」

 常にチームの勝利を第一に考えるプロフェッショナリズムが言葉の端々から感じられる答えだった。

献身的な姿勢が光る©Basketball News 2for1

残り21試合「全員が同じ方向を向いてポジティブに」

 バイウィーク期間の練習でもブラントが声を出して盛り上げるシーンやハドルを組んでチームメイトと情報を共有する姿が多く見られた。チームに合流してまだ間もないが、日本人選手・外国籍選手関係なく誰とでもコミュニケーションを取っており、チームにとって欠かせない存在になっている。

 ブラント自身も「このチームはとても好き。ここにいる全員が諦めないで頑張ろうという意識はとても高い。その中で自分たちが求めていた結果には今はなっていないが、それでもめげないで、下を向かないで、どうにかしようという気持ちをみんな持っているので本当に素晴らしいと思う」と語り、今後のチームへの期待感を口にする

 バイウィークが明け、リーグ戦も残すところ20試合余りとなったB1。冒頭で触れた通り、信州は現在6勝33敗で富山や茨城と激しい残留争いを繰り広げている。そんな状況下でも、ブラントはチームが正しい方向に進んでいると断言する。

 「本当にこのチームは正しい方向に向かっていると思う。今、(取材中に)ドリブルの音も聞こえていると思うが、チーム練習が1時間前に終わったにも関わらず、選手たちはずっと自主練をしている。後半戦に勝つためには、全員が同じ方向を向いてポジティブになることが必要。チーム一丸となって戦う姿勢や考え方を全員がしっかり持っていれば、ひとつでも多く勝てると思うので、それらは徹底していきたい」

 大黒柱ウェイン・マーシャル不在の期間を助け、チームに欠かせない存在となったブラント。マーシャルの復帰まではもうしばらく時間がかかるとみられ、ブラントのインサイドでの奮闘が期待される。バイウィーク期間で初めてトレーニングキャンプをこなし、戦術の理解やチームメイトとの絆はさらに深まった。ハードな練習後には栄養価の高いナッツ類を食べ、体のケアにも時間を費やしていたブラント。強靭な肉体の秘密は「長年の筋トレと大好きなチョコレートを食べないこと」と笑顔で答えてくれた。結果次第では信州の未来が決まると言っても過言ではない終盤戦。ブラントを含め、「ALL信州」で勝利を目指す。

(芋川 史貴)

終盤戦への意気込みを語る©Basketball News 2for1

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