10か月ぶり復帰のシェーファーアヴィ幸樹が見据える未来と役割「チームが優勝するときに重要なピースとなっていたい」
笑顔を見せるシーホース三河のシェーファーアヴィ幸樹©Basketball News 2for1
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 Bリーグ1部・シーホース三河は第22節を終えて中地区2位につけている。今シーズンは昨季までチームを28年間率いた鈴木貴美一ヘッドコーチに代わり、NBAワシントン・ウィザーズでアシスタントコーチなどを務めたライアン・リッチマン氏がHCに新たに就任。ザック・オーガストジェイク・レイマン久保田義章といった新加入選手も躍動し、ここまで25勝12敗(勝率67.6%)と堂々たる成績を残している。

 そんな好調のチームにさらなる追い風となるニュースがあった。日本人ビッグマンのシェーファーアヴィ幸樹が2月3日の信州ブレイブウォリアーズ戦で戦列に復帰したのだ。昨年3月に右ひざの前十字靭帯断裂という大ケガを負ってから約10か月。3日の信州戦、314日ぶりの出場を果たすと、9分22秒のプレータイムで3ポイントショット1本を決めた。

 翌4日の試合後、2for1ではシェーファーにインタビューを実施。10か月ぶりの復帰戦の感想やリハビリ中の思い、今後の目標などについて語ってもらった。

昨年3月に右ヒザ前十字靭帯断裂「込み上げてくるものがあった」

ー(3日の信州戦で)実際にコートに立ってみて、いかがでしたか

 最高でした。本当にその一言に尽きる。やっぱり自分がコートに立った瞬間の歓声だったり、自分がスリーを決めたときの歓声はめちゃくちゃすごかったですし、10ヶ月間リハビリしてきて、きつい思いもたくさんしてきましたけど、本当に頑張ってよかったなと思いました。いろいろと感慨深いというか、試合中なので泣きはしないですけど、ちょっと泣けそうなぐらい込み上げてくるものがありました。

ー(ウィングアリーナ刈谷の)「青援」がすごかったです

 すごいですね、ウィングアリーナ。怪我をして、(コロナ後の)声出し解禁以前にしかプレーしていなかったってこともあって、すごいなって、改めて思いましたね。ウィングアリーナの熱を改めて本当にすごいなって感じました。

ープレーしている間、例えば、何か不安だったり、恐怖心が出たりということはありましたか?

 全くなかったんですよ。楽しかったです。パフォーマンス的には、ちょっとまだ足りないというか、ちょっとずれるというか、タイミングがずれたりっていう感覚があったので。その辺はやっぱりここから良くしていかないとなというのはありましたけど、全体的にも、本当にただただ楽しんでプレーできたかなと思います。

ー約9分間のプレーでした

 プレータイム制限があったので、一応、実はちょっと制限オーバーしたんですけど。本当は交代が入ってたんですけど、なかなかプレーが止まらなくて、長引いちゃったって感じなんですけど、予想通りでした。プレータイムとかプレーするタイミングとかも前もってライアン(リッチマンHC)が伝えてくれたので。「まず1クォーターの開始5分で1回出るよ」っていう。なので、気持ちとしても体としても一番準備しやすく臨めたかなと思います。

 試合前にライアンからは「試合に関しては多くは求めてない」というか、本当に求めてることは、ただただ「ハードにプレーすること」と、「これだけ頑張ってきたんだから今日の場を本当にただ楽しめ」っていうその二つだけだったので。それだけを求めてるっていわれて、なので本当に気持ちとしても楽でした。

ー(復帰戦は)緊張されましたか?

 めちゃくちゃ緊張しました。あんまりそんなに緊張しないタイプですけど、「いつも試合にどうやって入ったっけな」って(笑)。「試合に何持って行ったっけ」っていう、そういうのでちょっと不安になって、そわそわというか緊張はしました。

ー実際に復帰戦を終えてみての感想は

 なにより試合に勝ててよかったなっていうのが一つと、本当にいろんな方に「おかえり」「おかえり」って言ってもらって嬉しかったですし、チームみんなからも「おめでとう」「おめでとう」とか、いろんな人に声かけてもらって。家族でご飯を食べに行って、お祝いしてもらったりとかして、すごいみんなに祝福された感はありましたし、すごい嬉しかったです。

約10か月ぶりの復帰となった©榊原かよこ

家族の支えや日本代表の活躍がモチベーションに

ー怪我をしたときのことをお伺いしたいです。ちょっと思い出すのが嫌かもしれないですが、当時、一番最初に頭に浮かんだことは?

 「痛い」ですよね。めちゃくちゃ痛かったんで。「やばい、痛い」みたいな。「やばい、痛すぎる」っていう感じでした。経験したことがない痛みだったので、「ちょっとこれやばいかも」みたいに思って。あとその日は友人が3人が来ていたので、なんかせっかく来てくれてるのに開始1分半ぐらい怪我したんで、「申し訳ない」っていうその二つが出てきましたね。あとは、その後にやっぱり「頼むから大きいケガじゃないでくれ」っていう感じでした。

ー(ケガがどんなものか)分かった時というのはどうでしたか?

 まず、ケガして担架で運ばれて、裏の医務室でドクターに「多分(前十字靭帯が)切れてるね」って言われて。そのときでもう既に、「いや、やっぱそうだよな」って思いながらちょっと落ち込んだんですけど。何とか、「いや、実は切れてなくて損傷とかもうちょっと軽めかも」とかって、なんか勝手に淡い期待を抱いてたんですけど。(ケガをした)次の日にしっかりとMRIで検査をして、そしたらもちろん「切れてます」と。もうMRIの画像にも本当に前十字(靭帯)がないんですよね。もう消えちゃって映らないというか。なので、それを知ったときはちょっと唖然というか、分かってはいたけどっていう感じですね。

ー愛知で治療されていたと聞きました。愛知での治療を選んだ理由と、リハビリ生活をする中で大変だったことは?

 シーズンが行われてる段階だったので、できる限り(愛知を)離れたくないっていうのはありました。やっぱりチームの一員として、完全に別じゃなくてこっち(愛知)でやりたいなっていうのがあったので。でも、こっちにうちの家族が来てくれて、手術前後も来てくれましたし、一番きついというか生活しづらい時間は本当に常に人が周りにいたので。比較的、苦もなく生活はこなせたというか過ごせたのかな

ー復帰までの間に一番辛かった時期と、辛かったことは?

 二つありますね。辛かった時期っていうのは、まずは怪我した直後ですよね。発覚したとき、切れてますって言われたときはかなり落ち込みましたし、1年間ぐらいリハビリ(というケガ)を経験したことがないんで、どうしようみたいなってのはありましたね。

 あとはシーズンが始まったぐらいですね。やっぱりその頃ぐらいからだんだんきつくなってくるんですよ、リハビリって。最初の方は痛みが強いんですけど、中盤からは痛みよりは本当にもうしんどいというか、きつい。きついんですよ。追い込むというか、もうトレーニングなので、基本的には。めちゃくちゃきつかったので、しかもチームとは別行動が多くて、もう何か「チームの一員じゃない」感覚もありましたし、そのときはちょっと寂しいという感覚もありました。ポジティブにはいたんですけど、リハビリはきつかったですね。あとは、自分が出られていない中でもみんなが頑張っているところを見て、バスケしたいって思うけどバスケができないっていうのも辛かったです。

ーリハビリの間、ポジティブになれることはありましたか?

 ずっとポジティブでした。それは家族が周りにいてくれてサポートしてくれたんで、頑張らなきゃっていう気持ちもありましたし。会場に来るたびに本当にいろんな方が声かけてくださって、ファンの方々もみんな「待ってるよ、待ってるよ」と声をかけてくれたので。本当に復帰する日を楽しみに、待ってくださってるファンの方々に恩返しっていう形で復帰する日を待ち望んでたので。自分としてはそれを目標にポジティブにいられましたし、あとは日本代表が活躍して、オリンピックの枠を勝ち取ってくれたってのは自分がポジティブになる一つの要因でもありました。

記者の質問に答えるシェーファー©Basketball News 2for1

「チームにいい影響を与えられれば」

ー復帰戦の日程が決まったのはいつ頃でしたか?

 一応、ターゲットのその日を決めたのは、1ヶ月半ぐらい前に明確に「この日をターゲットにしよう」っていうことで決めました。

ー日程が決まったときはどうでしたか?だいぶ先だなという感じだったのか、いよいよだなという感じだったのか

 僕はだいぶ先だな、と思いました。もっと早く行けると思いましたし。ただ、しっかりと話した上で決めましたし、まだ1ヶ月半あるのかとも思いましたけど、時間があった方が確かによかったなと今は思っています。

ー新しいシーズンが始まってチームができていくっていう中で、開幕はしたけど自分は出られないという歯がゆさがあったと思います

 もちろん、寂しさと悔しさみたいなものはありましたけど、同時に自分が外から見るおかげで、自分がどうやったらこの時にフィットできるかとか、自分としての役割は何かっていうのを考えながら見られたので。良い機会というか、いい時間だったと思ってます。

 (チームが連勝を重ねていくのは)ただ嬉しかったです。でも、やっぱりあれだけ連勝して雰囲気もいいですし、なんかやっとライアンがやりたいバスケットがチームに浸透していった感じだったので、それはすごい嬉しい気持ちの方が強かったです。

―ここから再スタートとなりますが、最後に今後の目標を聞かせてください

 チームとしてやっぱり優勝を目指してやってますし、優勝できると今年は思ってるので。自分は本当にやっと復帰をしたということで、ここから一歩一歩、本当に無理せずですけど、焦らず急がずで、ちょっとずつパフォーマンスを上げていこうと思ってるので。最終的にチームが優勝するときに重要なピースとなって、チームに良い影響を与えられればなと思ってるので、ちょっとずつちょっとずつ頑張っていきたいと思います。

今後の活躍が期待される©Basketball News 2for1

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