Bリーグ2部(B2)は1月26日から28日にかけて各地で第18節を開催し、アルティーリ千葉はアウェーのロートアリーナ奈良でバンビシャス奈良と対戦。27日の第1戦で76ー67で勝利、翌第2戦も78ー76で競り勝ち、連勝を5に伸ばした。今季ここまで31勝3敗の勝率9割超えと圧倒的な強さを見せ、東地区の首位につけている。昨季はあと一歩のところでB1昇格を逃したA千葉。今シーズンの快進撃を支える要因とは。
攻守で1位 スタッツでも圧倒的
34試合を終えて31勝3敗、勝率は91.2%。同じ東地区2位の越谷アルファーズは21勝13敗だが、シーズンを折り返した時点ですでに10ゲーム差をつけている。
スタッツ面からもA千葉の強さが分かる。現在、A千葉はフィールドゴール成功率(48.6%)、3ポイント成功率(35.9%)、平均リバウンド数(42.7本)、平均アシスト数(22.5本)、平均ブロック数(3.44本)でリーグ1位の成績を納めている。オフェンシブレーティング(Ortg:100ポゼッションでの平均得点)とディフェンシブレーティング(Drtg:100ポゼッションでの平均失点)でもそれぞれリーグ1位の数字を残しており、ネットレーティング(NETRtg:100ポゼッションでの得失点差)は17.2と、プレーオフ準決勝まで勝ち進んだ昨季のNETRtgの8.6の2倍の数値を記録している。
アンドレ・レマニスヘッドコーチ(HC)は「(勝てている要因は)自分たちだけではなくて、対戦相手がいることなので複雑ではあるのですが、まずは選手層が厚いということ。けが人が出たとしても、今も長期離脱しているメンバーもいますが、(他のメンバーで)カバーをしっかりできていること」が好調の要因だと話す。第1戦では残り1分18秒で出場した鶴田美勇士と特別指定選手の黒川虎徹を除く出場した全選手が得点するなど、指揮官のコメント通りの層の厚さを見せつけていた。
「今シーズンもしっかり(ディフェンスに)フォーカスをしていきたいっていう話をしていたところを、かなり自分たちのやりたいスタイルに近づけているのではないかと思っています」(レマニスHC)とのコメントの通り、昨季は7位だったDrtgも今季は1位にまで改善している。それに加え、「ポイント・パー・ポゼッション(PPP :得点効率)に関してはおそらく長らくB2の中で1位を取っています。やはりディフェンスを基盤にできる、そこを信頼してプレーできるということは非常に大事なことだと思っています」と堅守を自信に質の高いオフェンスも展開しており、攻守で隙がない驚異的なチームに仕上がっているといえる。
「あとは、ラッキーだったということもたくさんあって、越谷戦や滋賀戦などで最後の最後にギリギリで得点を決めて逆転できたりとか、そういった場面もありました。あとは外国籍選手の長期離脱のけが人が今のところいないことも含めてそういうものはラッキーだった、運が良かったということもあると思います」(レマニスHC)と語る通り、主力選手が健康に過ごせていることも大きいようだ。
リーグ最多のターンオーバー数も「自分たちのバスケットを」
レマニスHCも語ったように様々な面で好調なA千葉だが、1点、リーグ最下位の項目がある。それが、ターンオーバー数だ。現在のA千葉の平均ターンオーバー数は14.3。ターンオーバーとはつまり、対戦相手にボールが渡り、相手の攻撃機会を増やしてしまうとこと。自チームのターンオーバー数を低く抑えられれば、それは相手の攻撃回数を減らすことに等しい。
これだけ圧倒的なパフォーマンスを見せているチームが、なぜターンオーバーを多発させてしまうのか。レマニスHCはチームが追い求めるスタイルゆえの代償だと説明する。
「自分たちのやりたいバスケットのペースが非常に速いので、どうしてもそれを続けようとすると判断スピードが早まってしまう。そこでターンオーバーが重なってしまうのは仕方ないのかなと思っています。あとは、新加入選手が特にプレータイムが長くなったりなどもあるのですが、そういった選手は自分たちのシステムに慣れるまで時間がかかったりとか、そういったことからターンオーバーが重なることもあると思うので、今後もターンオーバーがどこからあの来ているのかっていうのは分析しつつ、ペースを崩さずに自分たちのバスケットをやっていきたいです」
指揮官の言う通り、度重なるターンオーバーはA千葉のアグレッシブな攻守の代価となっているが「リスキーなプレー、例えばジャンプしながらパスとかそういった難しい判断になってしまうようなプレーはちょっとずつ取り除きつつ、バスケットを続けていきたいと思います」と持ち味を維持しつつ、改善へ取り組んでいくことを明かした。
226cmのチュアンシン・リュウ加入がさらなる武器に
シーズン途中の11月24日には中国籍のチュアンシン・リュウの加入が発表され、話題となった。226cmと規格外のサイズを持つリュウはここまで19試合に出場し、平均7分強の出場で3.7得点、2.8リバウンドを記録。また、アジア枠選手として登録することにより、外国籍選手とともに出場することもでき、ラインナップによっては平均身長約205cmという驚異的なビッグラインナップを組むことも可能になった。リュウについてのレマニスHCからの評価は高い。
「現時点ではチームに非常にフィットしていて、素晴らしくやってくれているなと思います。まず、人として本当に素晴らしい人で、チームのことを1番に考えてくれていますし、努力を怠らずにやってくれています」
まだ24歳と若く、伸び代があるリュウのポテンシャルにについて指揮官はこう話す。
「まずは、彼のポテンシャルを何とか全員で引き出していく必要があり、その過程にあります。我々のスタイルがシーズンの最初からオフェンスもディフェンスもスピードのあるプレースタイルで、そこにリュウ選手のスキルをどういうふうに融合させていくのかは、まだまだチームとしても成長過程にあると思っています。彼のポテンシャルを発揮する方法を全員で考えていかないといけないのですが、彼がコート上にいるときに非常に効果的にチームが動く場合もあれば、あまりうまくいかないときもあり、対戦相手次第でもあると思うので、まだまだここからシーズンもあと半分残っているので、そこで全員でその過程を成長できるように進めていければと思っています」
レギュラーシーズンも半分を折り返し、ここまで絶好調のA千葉。昨シーズンはプレーオフ準決勝で長崎ヴェルカに敗退し、B1昇格を逃した。その悔しさをバネに、レマニスHCがつくるアグレッシブでアップテンポなスタイルでここまで快進撃を続けている。ターンオーバー数の改善やリュウのフィットなど、まだまだ成長の伸びしろを残しているアルティーリ千葉。昨年のリベンジ、そしてB1昇格へ後半戦も突き進む。
(田名 さくら)