11月30日からバイウィーク(休止期間)が明け、レギュラーシーズンが再開するBリーグ1部。名古屋ダイヤモンドドルフィンズはここまで11勝3敗とし、「魔境」と呼ばれる西地区で堂々の首位につけている。
好調のチームを支えるのは司令塔の齋藤拓実と副キャプテンの中東泰斗だ。明治大学では1年、名古屋Dでは4年に渡ってチームメイトとしてプレーしてきた先輩後輩コンビに、今季のチームについてやお互いへの思いなどを聞いた。
大学時代については「あまりエピソードはない」としつつも、話し始めると止まらない2人。試合中にはなかなか見ることができないリラックスした素顔に迫る。
齋藤「(中東は)ちょっと丸くなった」
-お二人は大学時代から仲が良かったんですか?
齋藤 (かぶっていたのは)1年だけですけどね。(齋藤が)1年生と(中東が)4年生で。(中東は)もちろん4年生で主力だったじゃないですか。1年生はAチーム・Bチームに振り分けられることが多いですけど、どっちかっていうと(僕は)Aの方が多かったですよね
中東 そうやな。でもB行ったことある?
齋藤 ありますよ、多分。あるはあります。でもAにいることが多かったので、同じ学年の中では、関わることが多かったのかなと思うんですけど。僕一人だけ実家通いだったから、1年生はみんな寮生活だったので。寮生活だったらまた別の人とも仲が良かったり。バスケット練習のときはよく一緒に同じチームでやらせてもらった感じですかね。そんな覚えてないでしょ?
中東 あんまり覚えてないかな
-大学時代と今とで違いはありますか?
齋藤 (中東が)ちょっと丸くなったぐらいですね。
名古屋D広報さん えぇ?
齋藤 えぇ?と思うでしょ?
中東 大学時代もっとえぐかったもんね
齋藤 もっとSで。今もドSキャラみたいな感じですけど、大学時代はもっとすごかったですから
中東 あんまりこういう媒体ではね(言えないくらい)(笑)
齋藤 もう本当に面倒くさい先輩みたいな(笑)
中東 ザ・面倒臭い先輩。俺は(後輩を)走らせるのとか好きなので、ちょっと粗相があったりしたら『ちょっと走った方がいいんちゃう?』とか言って
齋藤 悪いことしたらもちろん走ったり、ペナルティとしてそういう部活のルールがあるので走るんですけど、走っているとずっとこうやって線を指しながら「おーい!踏んでないぞ!おーい!」とか言うようなタイプです。いたずらっ子でもあったので
中東 そうですね。そういうのが俺は楽しかったですね。良いのか悪いのか
齋藤 「泰斗さん、だる」みたいな。上(体育館の2階)で見ているときもありましたよね
中東 覚えてない、それは覚えてない(笑)
齋藤 覚えてないか。全体を見渡して「おーい!」みたいな。そういうことやってましたよ?『なんで泰斗さんあんな所にいるんだよ』みたいな(笑)
中東 基本Bチームの人がやらかしても、Aチームも一緒に走らせるみたいな。Bチームの4年生とかから(情報が)入ってくるわけですよ、俺に。やらかしました、みたいな。そうしたら、俺が出るしかないので。走らせ役みたいな。やっぱり俺に走らせてほしいみたいなとこえろもあるので、Bチームの4年生も。それはもう俺が張り切ってやるしかないなっていう。逆に今はもうね、丸くなったというか
齋藤 その根源というか、そこはやっぱり変わらない感じはありますね
中東 でも(今は)昔みたいなこともなく、楽しくやってますよ。なんなら(名古屋Dでのチームメイトとしての方が)大学時代より長いので、大学は1年だけだったので。でも、(佐藤)卓磨が入ってきて、最近は俺の目が卓磨の方に行っちゃってるので
齋藤 すごく思ったのが、元々僕にも(中東が)ちょいちょい言ってきたりとか、僕も全然言うので「泰斗さんこそ」とか言ったりもするんですけど、(菊池)真人さんにもちょっと言ったりとかもするんですよ。真人さんはすごい優しい人だから。泰斗さんだけじゃないですよね。結構みんなにいじってもらって、それで優しいみたいな感じなんですけど、今シーズンは卓磨が加入してきたので、本当に天性のいじられ肌というか
中東 もう卓磨をいじってたら真人さんをいじることを忘れちゃうぐらい、卓磨の存在がすごくて。となると、(齋藤)拓実まで今(いじりに)いってないですよね
齋藤 ついこの間、久々に真人さんをいじったなと思ったら、卓磨をいじるみたいな感じですごく雑になってるんですよね(笑)。そんなに真人さんをいじるの雑だったっけ?と思って
中東 卓磨の影響が本当にすごいですよね。偉大なキャラしてます、本当に
齋藤 試合の入場前とか、気づいたらみんなに囲まれていろんなところからいじられてて
中東 今(チームの)好調の要因はそれかもしれないです
齋藤 そこのリーダーになっていますもんね、筆頭に
真逆だからこそ、お互いが補い合う
-お互いの尊敬できるところはどんなところですか?
齋藤 僕は、(中東は)この身長で機動力が半端じゃないし、シュートも入るし、カットのタイミングとかも上手なので、ポイントガードとしては、先輩だけどめちゃくちゃ使いやすい。本当に。褒めてますよ?使いやすいっていう言い方がね、いいかどうかはあれなんですけど、使い勝手がいいというか。ヘッドコーチからしてもめちゃくちゃそれは感じると思うので。サイズがあって身体能力も高いし、ディフェンスもできるし、ザ・オールラウンダーだなって思います
中東 俺は、見ての通り(齋藤は)チビ…
齋藤 チビって言い方よくない(笑)。小さいにしようよ(笑)
中東 小さい選手なので、この身長でやっぱりあれだけ得点取れるのは本当にすごいなと思っていて、そこは本当に尊敬していますね。(ディフェンスを)かいくぐってインサイドで点取ったりもするので。あとはやっぱり、速い。あの速さはすごいなと思います。Bリーグのハイライトにも載りがちなので
齋藤 速いって言ってもらってますけど、(中東は)それについて来れるんですよ、この身長で。それがやっぱりすごいなと思いますね
齋藤 プライベートな部分も(尊敬できるところは)ありますか?
中東 プライベートの部分はちょっと尊敬はできないですね
齋藤 なんで(笑)?
中東 マイペースすぎて。今日もね、(インタビューを受けるのに)俺は先輩なのに結構待たされて
齋藤 いやいや、そこはトレーニングをしてっていう
中東 「ちょっとシャワー浴びて良いっすか」とか言って。「うん、いいよー」って言ったんですけど、そこは尊敬できないですね
-逆に齋藤選手は中東選手のプライベートで尊敬できる部分はいかがですか?
齋藤 すごいなと思うのは、何事も「どっちでもいい」みたいな。ルーティンがないんですよ
中東 俺はザ・O型なんですよ
齋藤 うん。ルーティンがないから、「これどっちの方がいいかな」(と聞いても)「どっちでもええんちゃう?」みたいな。自分のことに対しても、試合の前のルーティンも全くないし
中東 逆にだからそこは(齋藤のことを)尊敬します。すごいルーティン持っているので。ミーティング前とか、ショーンさん(ショーン・デニスHC)、アンディ(アンディ・ボーランド通訳兼GM補佐)、(の順に並んでいて)その左横に行きたいんですよ、(齋藤は)絶対に行きたいんですよ。俺は毎回邪魔をしてそこにいるんですよ
齋藤 (手で中東を退ける動作をしながら)わかってるのにそこにいるんですよ
中東 わかっているからこそ、そこにいてルーティン崩してやろうと思ってまして
齋藤 この間、わざとですか?ジョシュ(ジョシュア・スミス)を置いていたんですよ。「ジョシュ、ちょっとごめん、失礼」って言って(割り込む)
中東 でも絶対に入っていくっていう。そこをいつか崩したいんですよ、俺は
齋藤 俺が行かなくなったら「拓実?」ってなりますよ、ショーンさんは
中東 だからジョシュ、スコット(スコット・エサトン)とか何人も置いておこうかなーって、次は
齋藤 並べるな、でかいのを(笑)
中東 邪魔を何個も置きたいです
中東の“コミュ力”がチームの仲の良さに
-お互いの意外な一面はどんなところですか?
中東 プレーは速いじゃないですか、めちゃめちゃ。遠征とかの飯食うのめちゃめちゃ遅いんですよ
齋藤 飯食うの遅いですね、俺と卓磨めっちゃ遅いです
中東 2人ともお喋りなので、喋っていると(食べるのが)進んでないみたいな。意外な一面かなと思います
齋藤 僕は、もう名古屋来て4年目で4年間一緒にやってるんですけど、最初に来て思ったのはコミュニケーションのとり方が上手だなと思って。日本人選手だけじゃなくて、外国人選手とのコミュニケーションの取り方もすごく上手だから、うちにいるレイ(レイ・パークスジュニア)とかも仲良いですし。結構2人でご飯に行ったりとか、それ以外の選手とも(中東は)英語も上手に喋ってる方なので、それはすごいなと思います
中東 喋っている方なのでって言い方なんか…(笑)
齋藤 うちのなんかチームの中ではそうじゃないですか?ペラペラですか?じゃないですよね
中東 ペラペラまではいかんと思う
齋藤 でも本当に理解能力と、喋るのも結構…。正直言うと、大学の時とかはそういうイメージが、もちろん外国人選手がいなかったかなっていうのもあるので、(英語を)喋る機会がなかったですけど。明治のスポーツ推薦ってそんなに頭良くないイメージだったので(笑)
中東 たしかに意外な一面かもな
齋藤 (英語)めっちゃわかるやんと思って。だからそれが意外な一面でもあるし、バスケのときに僕が伝え足りていないことも補足してくれたりするので、そういった部分でもすごく助かっていますね
-良い関係ですね
中東 俺もいい感じに使われてるので
齋藤 使い勝手がいい
-最後にファンへのメッセージをお願いします
齋藤 バイウィーク入る前までのホームゲームの観客数であったりとか、ホームで試合しているときに昨年よりも熱い応援を感じていて、平均観客数でもリーグトップ3に入っているので。(ファンの応援が)ものすごく僕たちの成績の後押しになっていると感じます。バイウィーク明けた後、12月はアウェイの試合が多かったり、まだまだタフなスケジュールが続きますので、変わらず熱い応援をしていただけたら嬉しいなと思います。よろしくお願いします!
中東 拓実も言った通りなんですけど、僕もドルフィンズに9年くらい在籍しているんですけど、歴代ナンバーワンくらいの観客数ですし、熱さですし。今までにないくらい(お客さんの)声も出ていて、本当にやりやすいホームになってきたなと感じています。自分たちの目標はホームでCS(チャンピオンシップ)を開催することなので、そのためにもドルファミのみなさんの力が絶対に必要だと思います。これから苦しい試合が続くかと思いますが、引き続きサポートをお願いします!
終始笑いながらインタビューに答えてくれた中東と齋藤。名古屋Dの武器の一つでもあるチーム力やケミストリーの良さを改めてインタビューから感じることができた。過去2シーズンはケガに泣かされ、CSでは思うような結果が残せなかった名古屋D。「3度目の正直」に燃えるチームを支える齋藤と中東の今後の活躍にも注目したい。