勝っても驕らず開幕6連勝の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ 須田侑太郎「もっと上手くなろうというチームの姿勢がある」
名古屋ダイヤモンドドルフィンズの須田侑太郎©Basketball News 2for1
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 Bリーグ1部(B1)は10月20日から22日にかけて各地でレギュラーシーズンの第3節が行われ、名古屋ダイヤモンドドルフィンズはアウェイのホワイトリング(長野市)で信州ブレイブウォリアーズと対戦。21日に行われた第1戦を72-64、22日に行われた第2戦を101-75で勝利し、開幕から6勝0敗と勝ち星を伸ばした。強豪ひしめく西地区で、同じく6連勝の大阪エヴェッサに次ぐ2位につけるなど好スタートを切っている。

 勝ち星を積み重ねられている要因はどんな部分にあるのだろうかー。

チーム全体でバランスよく得点「誰がいないとか関係ない」

 21日の第1戦では第4クォーター(Q)の頭からチームの主軸である斎藤拓実が負傷により離脱、またスターティングメンバーに名前を連ねる伊藤達哉も4Q残り8分28秒で4ファールとなり2人のポイントガードを欠く形になる。その後、約3分間得点が停滞すると、信州のデオン・トンプソンによる2連続ダンクなどで12点のリードを一時5点差まで詰められる展開に。

 しかし、その苦しい時間帯を救ったのは今季からキャプテンに任命された須田侑太郎だった。信州のディフェンスローテーションが遅れている隙にトップにいたレイ・パークスジュニアから、フリーで右サイドにいた須田へパスが供給され、残り5分1秒、この日1本目の3ポイントシュートを沈める。続く信州のポゼッションではルーズボールを保持するとレイアップを決め、点差を10点に広げる。その後、オフィシャルタイムアウト明けに信州に2点を取られるが、すかさずこの日2本目の値千金の3ポイントシュートを沈め信州を振り切った。

 試合後、流れを引き寄せた自身のプレーについて尋ねるとこのような言葉が返ってきた。

 「僕たちは誰がいないとか関係なくて、プレーできるメンバーでしっかりと勝ち切れるというチームとしての自信があるし、誰かがステップアップできるチームなのでチームとしてネガティブな部分は全くない。その中でしっかりシュートを決め切れたのは良かったかなと思う」

 確かにこの日の試合でも得点に焦点を当てて見てみると、須田がチーム最多の14得点、佐藤卓磨が11得点と2ケタ得点は2人のみで、8得点が2人、7得点が1人、6得点が2人というように満遍なく得点を重ねた。チーム全体で得点が取れている部分、そして試合平均アシストが22.0とリーグ1位という数字は須田が口にした「誰がいないとか関係ない。誰かがステップアップできるチーム」という言葉の裏付けになっている。

変幻自在のディフェンスで相手をシャットアウト

 昨季から日本人選手が全員継続した名古屋Dは今季の平均得点「90以上」を目指しており、そのために激しいディフェンスから早い攻撃に転じるスタイルを構築している。信州との2戦でも、ゾーンプレスで相手に激しいプレッシャーをかけたり、ハーフコートに入ると2-3ゾーンや3-2ゾーンを行なったりと、コミュにケーションや細かな動きを必要とするディフェンスで相手の攻め手を消した。結果、第1戦では「11」、第2戦では「13」のターンオーバーを誘発。またファストブレイクポイントも第1戦では「11」、第2戦では「19」とし、第1戦こそシーズン最小の72得点に留まったが、第2戦では101得点とシーズン最多を記録した。

 第1戦の試合後、ショーン・デニスヘッドコーチ(HC)は「ディフェンスは全体的に良かった。チームのディフェンスアイデンティティはもう少しだが、練習や試合を重ねれば大丈夫だと思う」とディフェンスの仕上がりへの期待感を口にした。

 また印象に残っているのが、第1戦の残り12秒で相手のサイドスローインのシーン。64-72と勝負がほぼ決まっている場面で、須田が何度もスローインのボールに対してチェックを行い簡単にボールを入れさせなかった。そのことについて須田は「僕も色々なチームで経験してきて、勝つか負けるかの境界線はリバウンドやルーズボールや細かい部分。技術というよりも、そこの部分で競り勝つチームが結局優勝できるのではないかと自身の経験で思う。そういう部分をこだわってやるようにしている」と栃木ブレックス(現:宇都宮ブレックス)での優勝経験や琉球ゴールデンキングス、アルバルク東京といった強豪チームやA代表での経験をチームに還元していることが分かる。

記者の質問に答えるショーン・デニスHC©Basketball News 2for1

悲願の優勝へ「やり続けることの強さを目指す」

 開幕6連勝とスタートダッシュに成功した名古屋D。連勝できている要因について須田は「誰も5連勝(第1戦後の時点)ということに良い意味でこだわっていない。自分たちのやることに常にフォーカスし続けられているというところがすごくいいのかなと思う」と分析。続けて「今日も試合には勝ちはしたが『勝った!』というチームのテンションではなくて、どちらかというと『もっと上手くなろう』というチームの姿勢があるので、そういう姿勢があるのは良いことだと思う。いろんな試合、いろんな展開があると思うが、自分たちでしっかりぶらさずにやり続けることが5連勝につながっていると思うので、連勝というこだわりはないが自分たちのやるべきことにフォーカスしてやり続けることの強さを目指してチームとしてやっていきたい」と今後を見据えた。

 シーズン序盤ながら、勝っても驕らないチームの意識や、ひとりひとりの意識がとても高いことが強さの所以となっている。昨年はチャンピオンシップの準々決勝でやぶれた名古屋D。年々レベルが上がっている西地区で勝ち上がることは容易ではないが、常に貪欲な姿勢で自分たちのやるべきことを遂行した先に悲願のリーグ制覇が待っているかもしれない。

(芋川史貴)

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