Bリーグ1部(B1)は10月5日から9日にかけて各地でレギュラーシーズンの第1節が行われ、名古屋ダイヤモンドドルフィンズはホームのドルフィンズアリーナでサンロッカーズ渋谷と対戦。7日に行われた第1戦を79ー70、8日に行われた第2戦を76ー74で勝利し、両日とも5000人を超えるファンの後押しを受けた名古屋Dが開幕節を2連勝と好スタートを切った。
8日の第2戦は序盤から互いにミスが重なり、重苦しい展開に。第1クォーター残り7分53秒にジョシュ・ホーキンソンのジャンプショットが決まるとSR渋谷がペースをつかみ、名古屋Dは前半を31ー38と7点のビハインドで折り返す。後半は、須田侑太郎や中東泰斗の3ポイントシュートで追い上げを見せ、持ち味のアップテンポなバスケットボールで逆転。終盤まで接戦の展開が続くも、ホームの名古屋Dが逃げ切り76ー74で勝利を収めた。
この試合では、ロバート・フランクスが22得点10リバウンド、須田が15得点2スティール、レイ・パークスジュニアが10得点2スティール、中東とジョシュア・スミスがそれぞれ9得点を記録した。
アップテンポなバスケで後半逆転
前半はターンオーバーなどミスが目立ち、第1Q終了時には11ー25と14点を追うスタートとなった名古屋D。しかし、後半は持ち味である強度の高いディフェンスとアップテンポなオフェンスでリズムをつかんだ。
ショーン・デニスヘッドコーチ(HC)は「ハーフタイムにはディフェンスのインテンシティを上げることについて話しました。そして、オフェンスではもっと走らなければならないと。歩いてオフェンスに入るのではなく、走ってオフェンスに入ろうと伝えました。そうしたことでシュートが決まりだし、ディフェンスでは相手のターンオーバーを誘うことができ、ファンの皆さんも乗って、選手も乗ってうちらしいエナジーがあるバスケットが出来たと思います」とコメント。後半はチームのアイデンティティを取り戻し、逆転勝利へとつなげた。
開幕を2連勝と幸先の良いスタートを切れたことについて須田は「渋谷さんのようなタレント力のある、間違いなくBリーグの中でも強豪クラブであるチーム2連勝できたことは非常に価値があると思っています」と手ごたえを口にする。
「なかなか1日目に勝って2日目(も勝つ)というのは難しいんですけど、そこを苦しい時間帯が多かったですけど、ディフェンスでしっかり我慢し切って、自分たちの流れに持ってこられたというところが、今までになかった地力みたいなところを感じたので、すごくこのチーム可能性と伸びしろを感じた2日間でした」
武器のスリー復活の須田「自分のリズムを思い出せた」
この試合では3Pを5本(71.4%)と高確率で沈めた須田がチームをけん引。そのうちの4本が追い上げを見せた後半でのショットだった。
「一つは本当にチームメイトが打ちやすいところでアシストしてくれたというところで、セレクションが良かったからだと思っているのと、自分のリズムで打てたことが非常に大きい要因かなと思っています」。
このオフにはW杯に向けて日本代表の合宿に参加していた須田。持ち味の高確率のスリーがなかなか決まらずスランプに苦しみ、最終的には代表メンバーから外れるという悔しさを味わった。代表活動などを経験する中で、自らの「シュート」を見失っていた時期もあったという。
「代表とかいろいろ経験して、自分のフォームというか、リズムっていうのを最近見失っていたんですけど、そこを思い出せた試合かなと。自分が余裕を持って、打ち急ぐのではなく、早く打つという、自分のリズムが取れたシュートがほぼ7本とも打てたので、個人的にはすごく良かったと思います」
「来て2秒で」ジョシュア・スミスら新外国籍もフィット
今シーズンは新たにキャプテンに就任した須田。チームをまとめる意識について問われると、「選手1人1人のベクトルが自分の方に向いているというか、ちょっと雰囲気が良くなくて、そこをもう一度、第1Qが終わった後のインターバルの時に、もう一回ベクトルを自分じゃなくて前に向けようと、手綱をしっかりともう一度締め直したっていうところが、特に今日意識したことでした」とコメント。
「(ハーフタイムには)それぞれみんなが話をしていたので、特に僕から言うことはなかったです。でも、一つ言ったのは、こうやって流れが悪くても、うまくいかなくても、絶対に自分たちの流れが来るから、崩れたときに崩れすぎないでその歯止めをしっかりかけるように心がけをしています。それぞれ本当に誰でも意見を言い合える関係性はできているので、それはすごくいいのかなと思います。ハーフタイムでも試合中でも1人1人が意識できているから、このチーム強いなと思います」と早くもまとまりを見せているチームに自信をのぞかせた。
開幕節から活躍が光った新外国籍選手については、「もうめちゃくちゃ馴染んでいますし、ジョシュア(スミス)選手なんかは来て2秒ぐらいでもう、『あれ元々いた?』みたいなテンションで喋っています。ティム(ソアレス)もロボ(フランクス)もそうだし、すごくチーム思いというか、チームメイト思いの選手なので馴染むのは早かったと思います」と好感触。コート内外でコミュニケーションを頻繁にとっており、契約継続選手が多く基板が整った名古屋Dへの溶け込みは早かったという。
過去2シーズンはチャンピオンシップの時期にケガ人に泣かされ、本領を発揮できずにいる名古屋ダイヤモンドドルフィンズ。昨季王者の琉球ゴールデンキングスをはじめ、強豪ぞろいの「魔境」西地区を制し、悲願の優勝を果たすことができるか。デニスHC体制3季目、主力選手と新加入選手の融合によりさらなる進化を目指す。
(田名 さくら)